出張先で鞄を開けたら、シャツもジャケットもシワだらけ。そのまま商談に出るのは避けたいのに、荷物は減らせない。スーツを何着も扱ってきて分かったのは、シワは詰め方でかなり防げるということでした。この記事では、1〜3泊の出張を前提に、詰め方と持ち物を整理します。
シワの原因は「折り目」と「圧力」の2つ
衣類のシワは、折れた状態で圧がかかった時間に比例します。つまり折り目を減らすか、圧を減らすかのどちらかが対策になります。
詰め方で言えば、たたむより丸めるほうがシワになりにくい。たたむと直線的な折り目がつきますが、丸めれば折れ線が分散します。
ただし、これはシャツやTシャツの話です。ジャケットやスーツは構造があるので、丸めると型が崩れます。ここは別の方法が要ります。
アイテム別・正しい詰め方
素材と構造で扱いを変えます。
| アイテム | 詰め方 | 補足 |
|---|---|---|
| Tシャツ・肌着・靴下 | きつめに丸める | 隙間を埋める緩衝材としても使える |
| シャツ | ゆるく丸めるか、たたんで一番上に置く | 襟だけは潰さない。台紙を残すと形が保てる |
| ジャケット | 肩を内側に返して二つ折り、一番上 | 重ねると必ずシワになる |
| スラックス | 折り目を合わせて縦に一度だけ折る | 折り目に沿えばシワにならない |
ジャケットの肩を内側に返す方法は、覚えておくと役に立ちます。片方の肩を裏返して、もう片方の肩に重ねると、肩の構造が守られたまま小さくなります。
そして重い順に下から詰めるのが原則です。靴や洗面用具のような重いものを上に置くと、下の衣類が圧で潰れます。
圧縮袋は使っていいのか
荷物を小さくできる一方で、シワの原因にもなります。使い分けが要ります。
| 圧縮していいもの | 圧縮しないほうがいいもの |
|---|---|
| 肌着・靴下・パジャマ | シャツ・ジャケット・スラックス |
| 帰りの洗濯物 | シワが目立つ素材(リネン・綿100%) |
| かさばるニット(冬) | 型のある衣類全般 |
つまり見えないものは圧縮していい、見えるものは圧縮しないという線引きです。特に帰りの洗濯物をまとめるのに便利で、汚れ物を分けられるという副次的な利点もあります。
ファスナー式のものは、掃除機がなくても手で押し出せるので出張向きです。バルブ式は家では便利ですが、出先で戻すのに苦労します。
着いてすぐやること
詰め方で防ぎきれないシワは、現地で戻します。
到着後5分でやる3つ
- いちばん先にジャケットとシャツを出してハンガーに掛ける
- 浴室にシャワーで湯気を立てて15分吊るす。軽いシワは落ちる
- 翌朝着るシャツは、前日の夜のうちに出しておく
2つ目の浴室の湯気は、アイロンがない出張先で最も効く方法です。湯気で繊維がゆるみ、衣類自身の重さでシワが伸びます。びしょ濡れにする必要はなく、湿った空気に15分置くだけで十分です。
ホテルにアイロンがある場合も多いのですが、スーツに直接当てると光ることがあります。当て布を使うか、迷うなら湯気のほうが安全です。
1〜3泊で持つものを固定してしまう
毎回考えるから漏れが出ます。リストを固定すると準備が5分で終わります。
| 泊数 | シャツ | 肌着・靴下 | その他 |
|---|---|---|---|
| 1泊 | 1枚(+着ていく分) | 各1 | 洗面用具・充電器 |
| 2泊 | 2枚 | 各2 | +予備のネクタイ |
| 3泊 | 2枚+現地で洗濯 | 各2〜3 | +携帯用洗剤 |
3泊以上は、枚数を増やすより現地で洗うほうが荷物が軽くなります。ホテルの洗面台で肌着と靴下を洗い、乾かしておけば1泊分減らせます。
そして洗面用具は出張用を作り置きしてください。毎回詰め替えると必ず何かを忘れます。使い切りサイズを1セット常備しておくのが確実です。
鞄をどう選ぶかで、詰め方の自由度が変わる
そもそも何に詰めるかで、できることが変わります。1〜3泊で使われるのは主に3種類です。
| 種類 | 向いている泊数 | スーツの扱い |
|---|---|---|
| ボストンバッグ | 1〜2泊 | 折る前提。上に平置きすれば最小限のシワで済む |
| 機内持ち込みスーツケース | 2〜3泊 | 平らに広げられる。仕切りで押さえられるので有利 |
| ガーメントバッグ | 1〜2泊 | 折らずに運べる。スーツ優先ならこれが最善 |
スーツを最優先するならガーメントバッグですが、荷物が増えると結局もう一つ鞄が要るという弱点があります。2泊以上で荷物が多いなら、スーツケースのほうが総合的に楽なことが多い。
スーツケースを使う場合、衣類を入れる側はフタ側ではなく深い側に平らに広げるのが基本です。フタ側は仕切りが浅く、閉めたときに折れやすい。
そして機内持ち込みサイズにこだわるかどうかも、判断のポイントです。預けない選択は移動時間を大きく縮めますが、そのぶん容量は限られます。
毎月のように出張がある人なら、機内持ち込みサイズを1つ持っておく価値は高い。受け取りを待たないだけで、到着から移動開始までが20〜30分変わります。その差が積み上がると、体力の消耗もかなり違ってきます。
液体と機内持ち込みの制限
詰め方が完璧でも、ここで足止めされることがあります。
航空機の客室に持ち込む液体には制限があります。整髪料・化粧水・香水はすべて対象です。
液体まわりの原則
- 容量制限のある容器に移し替える。詰め替えボトルを常備する
- 透明の袋にまとめる。検査で出しやすい
- 預け荷物に入れるなら制限は緩い。ただし破損対策をする
詰め替えボトルを出張用に固定しておくのが最も楽です。毎回中身を移し替える手間はありますが、洗面用具一式を袋ごと入れるだけになります。
そして預け荷物に入れる場合、気圧の変化で液体が漏れることがあります。袋に入れる、蓋の下にラップを挟む、といった対策をしてください。
漏れると衣類が全滅します。シワ対策より、こちらのほうが被害は大きい。
うまくいかないケース
できることとできないことを分けます。
| こういう場合 | 現実的な答え |
|---|---|
| どうしてもシワにできない服がある | ガーメントバッグで持つ。折らずに運ぶしかない |
| 荷物が入りきらない | 服を減らすより、宅配で先に送るほうが早い |
| 毎週出張がある | 現地に置き傘ならぬ置きスーツという手もある |
| 深いシワがついてしまった | 湯気で戻らないなら、当日はクリーニングか諦める |
1つ目については、本当に大事な日の一着は折らないのが唯一の正解です。詰め方の工夫はあくまでシワを減らすもので、ゼロにはできません。
2つ目の「入りきらない」については、宅配で先に送るのが現実的な解です。前日までに送れば当日は身軽に移動でき、帰りも荷物を送り返せば、疲れた体で大きな鞄を持ち歩かずに済みます。数千円で移動が楽になるなら、十分に元は取れます。
そして意外と効くのが靴の扱いです。革靴を鞄に入れるなら、靴の中に靴下や充電器を詰めると型崩れを防げて容量も稼げます。袋に入れて他の衣類と分けるのも忘れないでください。靴底の汚れがシャツに触れると、シワ以前の問題になります。
あわせて読みたい
- スーツ選びについては、スーツの試着ポイントの記事もどうぞ。
- 鞄そのものを選ぶなら、メンズバッグの選び方の記事もどうぞ。
- 一着目を選ぶなら、メンズスーツの完全ガイドもどうぞ。
雨の備えは、通勤で使う傘の記事もあわせてどうぞ。
要点をもう一度
シワは「折り目」と「圧力」で決まります。肌着やTシャツは丸める、シャツとジャケットは折らずに一番上へ。重い順に下から詰めるだけで、開けたときの状態がかなり変わります。
圧縮袋は見えないものだけに使うこと。そして到着したら真っ先にジャケットとシャツを掛け、軽いシワなら浴室の湯気で15分吊るせば落ちます。持ち物リストを固定すれば準備は5分で終わります。
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