求人サイトで「SaaS営業」という言葉を見る機会が増えました。未経験歓迎と書かれていることも多い。ただ、何をする仕事なのかが名前から分かりにくく、自分に向くかどうかを判断しづらい職種でもあります。仕組みから整理します。
SaaS営業が「営業」と別物に見える理由
SaaSは、ソフトウェアを買い切りではなく月額で貸す売り方のことです。売って終わりではなく、使い続けてもらって初めて元が取れる。この一点が、仕事の組み立て方を大きく変えています。
従来型の営業は、見込み客を探すところから契約、その後の対応までを一人が担うことが多かった。SaaSではそこを4つに割って、別々の人が担当します。
| 役割 | やること |
|---|---|
| マーケティング | 見込み客を集める |
| インサイドセールス(IS) | 電話やメールで見込みを温め、商談を作る |
| フィールドセールス(FS) | 商談して契約を取る |
| カスタマーサクセス(CS) | 契約後に使ってもらい、継続と拡大を作る |
この形は「ザ・モデル」と呼ばれて、多くのSaaS企業が採用しています。求人で「SaaS営業」と書かれていても、実際にはこのどれか一つを指していることがほとんどです。応募する前に、どの役割なのかを確かめる必要があるのはこのためです。
分業の利点は、一人あたりの守備範囲が狭くなることです。飛び込みで新規を取ってきて契約書も巻いて納品後の面倒も見る、という働き方に比べれば、覚えることが絞られます。未経験の入り口になりやすいのはここが効いています。
未経験が採られている理由
業界そのものが伸びていて、人が足りていないというのが第一です。ただ、それだけなら他の業界でも同じことが起きます。SaaS特有の事情がもう一つあります。
売っている物が新しいので、経験者が市場にいない。5年前に存在しなかったサービスを売る仕事に、10年の経験者はいません。だから採用側は、経験ではなく素地で採るしかない。
もう一つは、分業によって教えるべきことが減ったことです。インサイドセールスなら「商談を作るところまで」と範囲が切れているので、入社後に教える内容を標準化しやすい。
ただし未経験歓迎は、誰でも受かるという意味ではありません。むしろ経験で判断できないぶん、面接では別のところを厳しく見られます。
見られている素地は3つ
経験が問われないぶん、行動の質を見られます。求人票には書かれていない部分です。
面接で確かめられていること
- 数字で話せるか:前職の実績を、件数や率で説明できるか
- 自分で仕組みを直した経験があるか:やり方を変えて結果が動いた話
- 学び直しの速さ:知らない領域を短期間で追いかけた経験
- 断られたあとの動き方:うまくいかなかったときに何を変えたか
1つ目が特に効きます。SaaSは数字で管理される仕事です。架電数、商談化率、受注率、解約率。どの役割でも指標が決まっていて、週次で追われます。数字で考える癖がない人は、入ってから苦しくなります。
逆に言えば、前職が営業でなくても構いません。飲食で回転率を上げた、事務で処理時間を短くした、そういう話が数字で語れるなら、素地としては通ります。
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向かない人もはっきりしている
良い面だけ書いても判断材料になりません。合わない人の条件も並べます。
数字で追われるのが苦痛な人には向きません。月末に足りなければ、その事実が全員に見える形で共有されます。これを健全な緊張感と取るか、削られる環境と取るかは人によります。
分業を窮屈に感じる人にも合いません。インサイドセールスは商談を作るところまでで、契約は別の人が取ります。自分が育てた案件の最後を他人が持っていく構造なので、一気通貫でやりたい人には物足りない。
変化の速さも人を選びます。製品が数か月で変わり、売り方も変わる。覚えたやり方が半年で使えなくなることを、前提として受け入れられるかどうか。
年収も冷静に見たほうがいい。SaaSは高給というイメージがありますが、それは成果を出した人の話です。インサイドセールスの入り口は、他業界の営業と大きくは変わりません。
一人で調べても出てこない情報がある
ここまでは公開情報から整理できる話です。問題はこの先にあります。
求人票に書かれないことのほうが、入社後の満足度を決めます。
| 求人票に載ること | 載らないこと |
|---|---|
| 職種名・年収レンジ | 実際にどの役割を任されるか |
| 必須スキル | 評価がどの指標で決まるか |
| 福利厚生 | 未達が続いたときに何が起きるか |
| 事業内容 | その製品が売れている理由(あるいは売れていない理由) |
これらは面接で聞けば答えてもらえることもありますが、応募した会社に対して踏み込んで聞くのは、立場上やりにくい。受ける前に知りたいのに、受けないと聞けないという順序の問題があります。
業界に絞ったエージェントを使う理由はここです。同じ業界の求人を継続して扱っていれば、どの会社がどんな評価制度で、離職がどのあたりで起きているかの蓄積があります。応募先ではない第三者に聞ける、という点に意味があります。
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使うときに気をつけること
エージェントは無料で使えますが、それは企業側から紹介料が出ているからです。構造上、決まりやすい求人を勧められる可能性は常にあります。
対処はそう難しくありません。「なぜこの求人を勧めるのか」を聞いて、答えが自分の条件と結びついていなければ流す。こちらが判断基準を持っていれば、勧められるままにはなりません。
複数登録も普通です。1社の見立てだけで決めると視野が狭くなるので、業界特化と総合型を1社ずつ、くらいが扱いやすい。
面談を受けたからといって応募する義務はありません。情報を取るためだけに使って、今回は見送るという判断も普通にあります。
あわせて読みたい
- 総合型も含めて比較したいなら、転職エージェントの目的別の選び方もどうぞ。
- 年代によって見られる点が変わるので、20代・30代の転職で年代ごとに効く武器もどうぞ。
最後に
SaaS営業は4つの役割に分かれていて、求人の「SaaS営業」がどれを指すかで仕事の中身が変わります。未経験が採られているのは、経験者が市場にまだいないからです。
見られているのは数字で話せるかどうか。前職が営業である必要はありません。ただし分業と数字管理が合わない人には、入ってから効いてきます。
求人票に出ない部分は、受ける前に第三者から聞いておくほうが判断を誤りません。
※本記事はプロモーションを含みます

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