湿った岩と針葉樹でできた、冷たく乾いた森の香りです。アルコールを使わない水性なので、つけた瞬間から刺激なく香りが立ち、3〜4時間かけて静かに引いていく。香りで存在を主張するより、近い距離の人にだけ届けばいいと考える人に向く一本です。
香水の題材になる場所は、たいていパリやシチリアのような馴染みのある土地です。ビュリーのオー・トリプル フォレ・ドゥ・コミが選んだのは、ロシア北部のコミ共和国でした。公式の情報から読み解きます。
この記事でわかること
- フォレ・ドゥ・コミの香りの正体(ミネラルとウッディが指しているもの)
- アルコールを使わない水性香水という作りと、持続が短い理由
- 75mLで23,210円という価格と、国内で買える場所
- 職場や秋冬など、この香りが向く場面
結論:持ちは短いが、職場で一日つけていられる冷たい森
総合評価:4.0 / 5.0 ★★★★★
フォレ・ドゥ・コミを一言でいうなら、北の森の床です。公式が使う「ミネラルでウッディなノート」という表現が、そのまま湿った岩の冷たさと木の乾いた質感を指しています。この2つだけで組み立てられているので、性別を問わず使えます。
弱点は持続で、目安は3〜4時間しかない。ただしアルコールを使っていないぶん、つけ直しても最初にツンとした刺激が出ません。人前で足せるので、朝と昼に分けて濃さを調整する使い方が現実的です。拡散も穏やかなので、職場で咎められる距離感になりません。
ビュリー フォレ・ドゥ・コミの基本情報
| ブランド | オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー(1803年パリ創業/2014年復刻) |
| 商品名 | オー・トリプル フォレ・ドゥ・コミ |
| 容量 / 価格 | 75mL:23,210円 |
| 香調 | ミネラルでウッディなノート(公式の表現) |
| 系統 | ミネラル・ウッディ |
| 題材 | ロシア北部コミ共和国の極北の森(原生林は世界遺産) |
| 作り | アルコール不使用の水性。開発に2年をかけた混和性水溶液 |
| 持続 | 3〜4時間が目安 |
極北の森という舞台
公式は「コミの森の幻想世界へようこそ。ウラル山脈の果てに位置する極北の森」という言葉でこの香りを説明しています。
コミ共和国はロシア北西部にあり、原生林が世界遺産に登録されています。ヨーロッパに残る最大級の手つかずの森で、人がほとんど住んでいない。
誰も知らない森を題材にすると、聞き手は自分の想像で埋めるしかありません。それがこの香りの狙いでしょう。
ミネラルという表現
公式が使っている「ミネラルでウッディなノート」という言い方は、香水では独特です。
| 表現 | 指しているもの |
|---|---|
| ミネラル | 石や金属のような冷たさ。湿った岩肌 |
| ウッディ | 木の乾いた質感 |
| この2つの組み合わせ | 苔むした岩と針葉樹。北の森の床 |
ミネラル感は、香水では合成香料で作ります。自然界から採れる匂いではないので、調香師が組み立てるしかない。冷たさや湿り気を表現するときに使われます。
水性香水という作り
オー・トリプルの特徴はアルコールを使っていないことです。公式は2年をかけて開発した混和性水溶液だと説明しています。香料は本来アルコールに溶かすもので、水には溶けません。そこを技術で解いた、というのがこの香水の売りです。
| 観点 | 一般的な香水 | オー・トリプル |
|---|---|---|
| 溶媒 | アルコール | 水 |
| つけた瞬間 | アルコールのツンとした刺激 | 刺激がなく、最初から香りが立つ |
| 肌への負担 | 乾燥を感じることがある | 刺激が出にくい |
| 持続 | 5〜8時間ほど | 短い。3〜4時間が目安 |
アルコールは香りを飛ばす力も持っています。それが無いぶん、拡散と持続では不利になる。肌へのやさしさと引き換えに持ちを捨てている、というのがこの香水の設計です。
香料は油に近い性質を持つため、水とは本来混ざりません。ドレッシングが分離するのと同じ理屈です。そこを混ぜたまま安定させる技術が、この香水の中身にあたります。公式が2年という開発期間をわざわざ書いているのも、そこが商品の核だからでしょう。
つけた瞬間の刺激がないという点は、実際に使う場面で効いてきます。一般的な香水は最初の数十秒がアルコールの匂いに支配されるので、人前でつけ直すのがためらわれる。その制約がありません。
つけ方と付き合い方
アルコールの刺激がないので、つけた直後から完成した香りが立ちます。一般的な香水のように「最初の数分は様子を見る」必要がありません。
持ちの短さと付き合う
- 朝と昼の2回に分けてつける
- 拡散が穏やかなので、首すじなど上半身でも失礼になりにくい
- 服より肌のほうが本来の出方をする
すれ違いざまに気づかせる種類の香りではありません。近い距離にいる人にだけ届く、と考えておくと期待を外しません。
出番のある場面
| 場面 | 向き | 理由 |
|---|---|---|
| 秋冬 | ◎ | 冷たさと木が季節に合う |
| 職場 | ◎ | 拡散が穏やかで主張しない |
| 休日の外出 | ○ | 重すぎず使える |
| 夏の夜 | ○ | 水性なので涼しく出る |
量の目安
- 2プッシュ。水性は多めでも崩れない
- 朝と昼で分ける
- 肌に直接。服だと本来の質感が出にくい
このブランドのこと
オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリーは、1803年のパリで生まれた美容薬局を2014年に復刻したブランドです。創業者ジャン=ヴァンサン・ビュリーの名前と処方を引き継ぎ、内装から包装まで19世紀の意匠で統一しています。
残念なところ
持続が短いのは避けようがありません。アルコールを使わない以上、構造的な制約です。
価格も安くない。75mLで23,210円は、同容量の一般的な香水と比べても高い部類に入ります。
拡散も穏やかです。香りで存在を主張したい人には向きません。
試せる場所も限られます。国内の売り場は数が少なく、地方だと現物に触れる機会がほぼありません。水性香水は比較対象そのものが少ないジャンルなので、想像で買うことになりがちです。
コミという地名に馴染みがないぶん、人に説明しにくい香りでもあります。「どこの香り?」と聞かれて答えにくいのは、実務的な難点です。
どれも消えない短所です。ただし裏を返せば、拡散が穏やかだから職場で浮かず、説明しにくいからこそ人と被らない。強く香らせて存在を示したい人には向かない代わりに、香りを自分と近い相手だけのものにしたい人にはよく合います。
容量と買い方
日本では公式オンラインと直営店で買えます。国内に路面店と百貨店の売り場があります。
| 容量 | 価格 |
|---|---|
| 75mL | 23,210円 |
オー・トリプルは香りの種類にかかわらず同じ価格です。選ぶ基準が値段ではなく香りだけになるので、そこは分かりやすい。
| 買う場所 | 価格 | 注意 |
|---|---|---|
| 直営店・公式 | 定価 | 試してから買える。名入れにも対応 |
| 百貨店の売り場 | 定価 | 取扱店舗は限られる |
| 通販の転売品 | 上下する | 保管状態が読めない |
ビュリーには、ボトルにカリグラフィーで名入れをするサービスがあります。店頭でその場で書いてもらう形で、贈り物にする人が多い。同じ価格でも、この一手間があるかどうかで買い物の性格が変わります。
買う前に
2万3千円を超える買い物になります。しかも水性香水は数が少なく、比較対象を持っている人のほうが稀です。少量から試す方法を持っておくと、この価格帯でも踏み出しやすくなります。
あわせて読みたい
- 水性香水の使用感を知りたいなら、ベルカンヌを実際に使ったレビューもどうぞ。
- 同じブランドのビュリー ミルラ・デリトレーもどうぞ。
まとめ:知られていない森を、静かに持ち歩く
フォレ・ドゥ・コミは、ほとんど知られていない森を題材にした香りです。ミネラルという表現が、湿った岩と針葉樹という具体像を作っています。
拡散が穏やかで季節をまたぎやすい。説明のしにくさを気にしないなら、使い勝手はいい一本です。
買うかどうかの分かれ目は、持続の短さを許せるかどうかにあります。3〜4時間で引くぶん、朝と昼に分けてつける手間が要る。逆にいえば、その日の予定に合わせて濃さを決められるということでもあります。つけ直しに刺激がない水性の作りが、その手間を現実的なものにしています。
試せる売り場が少ないのは事実なので、いきなり75mLに23,210円を出すのが不安なら、少量から肌で確かめる道を先に押さえておくといいでしょう。カリグラフィーの名入れまで含めて、この一本は買い方そのものが商品になっている。誰も知らない森を、説明しないまま持ち歩ける香りです。
※本記事はプロモーションを含みます

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