杏仁のような甘い粉と、樹脂を焚いたときの煙。この2つが最初から同居する、柑橘を一つも使わないアンバーです。中盤はヘリオトロープとオリスバターで粉っぽさが増し、着地はバニラとトンカビーンズをまとった甘い革。公式が掲げる「光のあるアンバー」という言葉より、実際はずっと密度の高い香りになります。軽さや爽やかさを先に求める人には向きませんが、重さのあるアンバーを探しているなら候補に入ります。
いるか座から名前を取った香りです。ケンタウルスと同時期に出た兄弟のような1本ですが、原料を見ると方向がかなり違います。柑橘は入っていません。
この記事でわかること
- 柑橘を使わないアンバーが、粉と煙と革へどう動くか
- 兄弟のように語られるケンタウルスとの違い
- 容量ごとの価格の目安と、正規と並行輸入の差
- つける量と場所、そして嗅がずに買わないほうがいい理由
結論:柑橘を使わない、粉と煙と革のアンバー
入り口に置かれているのは、ブラックペッパーとインセンス、アーモンド、ピンクペッパー。柑橘が一つもありません。アンバー系は柑橘で軽さを作るのが定石なので、ここがまず珍しい。甘い粉と樹脂の煙が最初から並んでいるところが、デルフィヌスの顔になります。
中盤に入るとヘリオトロープ、ラン、オリスバターが効いて、甘さが粉の質感へ移ります。終盤はレザーの層をバニラとトンカビーンズが包み、甘い革として着地する。公式が掲げる夜空の壮麗さという言葉から想像するより、中身の密度は高い。価格は正規の取扱で3万円台から6万円台が中心、しかも国内の取扱店はごく限られます。だから、嗅いでから決めたい1本です。
総合評価:3.5 / 5.0 ★★★★★
クリード デルフィヌスの基本情報
| ブランド | クリード |
| 商品名 | デルフィヌス |
| 名前の由来 | いるか座 |
| 容量 | 50mL / 100mL |
| 価格 | 正規の取扱で3万円台から6万円台が中心。50mLで4万円前後、100mLで5万円台 |
| 香調 | トップ:ブラックペッパー、インセンス、アーモンド、ピンクペッパー / ミドル:ヘリオトロープ、ラン、オリスバター / ベース:パチュリ、トンカビーンズ、アンバーウッド、レザー、マダガスカル産バーボンバニラ |
| 公式の説明 | 星をちりばめた夜空の壮麗さを捉えた、光のあるアンバー |
| 国内の取扱 | 代理店はインターモード川辺。2023年8月に新宿伊勢丹で再上陸 |
比べたうえで「これだ」と思ったなら、こちらです。
ケンタウルスとの違い
公式が公開している原料はこの通りです。
| 公式が挙げている原料 | |
|---|---|
| トップ | ブラックペッパー・インセンス・アーモンド・ピンクペッパー |
| ミドル | ヘリオトロープ・ラン・オリスバター |
| ベース | パチュリ・トンカビーンズ・アンバーウッド・レザーの層・マダガスカル産バーボンバニラ |
原料の表記は媒体で揺れます。更新されないまま残った処方の情報が原因です。ここに書いたのは、ブランドが現在出している一次情報だけになります。
公式は、星をちりばめた夜空の壮麗さを捉えた、光のあるアンバーだと説明しています。
トップはブラックペッパー、インセンス、アーモンド、ピンクペッパー。柑橘が一つも入っていません。アンバー系の香りは柑橘で軽さを作ることが多いので、これは珍しい構成です。
アーモンドとインセンスの取り合わせが、この香りの個性を決めています。アーモンドは杏仁のような甘い粉の匂い、インセンスは寺院で焚かれる樹脂の煙。甘さと煙が最初から同居している。
中盤はヘリオトロープ、ラン、オリスバター。どれも粉っぽい質感を持つ原料で、甘さが粉に変わっていきます。
| デルフィヌス | ケンタウルス | |
|---|---|---|
| トップ | ブラックペッパー・インセンス・アーモンド | カルダモン・シナモン・たばこ |
| 中盤の質感 | 粉っぽい | 花と木 |
| ベース | レザーの層が入る | 樹脂とバニラ |

ベースにはレザーの層があります。革の匂いは動物的で重くなりやすいのですが、バニラとトンカビーンズが一緒に置かれているので甘い革という着地になる。
光のあるアンバーと説明されていますが、実際には粉と煙と革で作られた、かなり密度の高い香りです。
容量と価格の目安
公式が出している容量はこの通りです。
| 容量 | 使いどころ |
|---|---|
| 50mL | 日常の主軸 |
| 100mL | 定番として使い込む |
クリードは日本で買うと高いブランドです。正規の取扱では、容量にもよりますが3万円台から6万円台が中心の帯になります。50mLで4万円前後、100mLで5万円台という見当をしておくと大きくは外れません。香水としては最上位の価格帯で、ニッチ系と呼ばれるブランドの中でも高いほうに入ります。
日本で買うときに知っておくこと
クリードは2023年8月に新宿伊勢丹で日本へ再上陸しました。国内の代理店はインターモード川辺で、正規品はここを通ったものになります。ただし取扱店はごく限られていて、地方では現物に触れる機会がほとんどありません。
そのため、日本で流通しているクリードの多くは並行輸入品です。個人や業者が海外から仕入れたもので、これ自体は違法ではない。ただ、正規と並行では扱いが変わります。
| 正規(伊勢丹など) | 並行輸入 | |
|---|---|---|
| 価格 | 定価。3〜6万円台 | 2〜4割安いことが多い |
| 保証 | 国内の窓口がある | 販売店ごと |
| 保管 | 管理されている | 経路が読めない |
| 刻印サービス | 受けられる | 対象外 |
価格差は小さくありません。ただし香水は熱と光で変わるので、輸送と保管の経路が読めないことは実質的なリスクです。極端に安いものには理由があると考えたほうがいい。
偽造品も存在します。クリードは世界的に模造の多いブランドで、ボトルの作り込みまで似せたものが出回っています。定価の半額を大きく下回るような値付けは、まず疑ってかかったほうがいい。
つけ方ともち
クリードは香料の濃度が高く、少量で足ります。普段どおりの感覚で3プッシュも4プッシュも使うと、確実に多すぎます。
つける量と場所
- 1〜2プッシュから始める。足りなければ次の日に増やす
- 首すじ・耳の後ろ:人に届きやすい。仕事の場では控えめに
- 手首・肘の内側:動くたびに立ち上がる
- 腰まわり・膝の裏:下から穏やかに上がってくる。量を間違えにくい
つけた直後の30分は、自分でも強く感じます。そこで判断せず、1時間後の残り方で量を決めるといい。
香りが弱いと感じたときに足すのは、たいてい間違いです。人は自分の匂いに数分で慣れるので、自分に届かなくなった時点でも周りにはまだ届いています。「弱くなった気がする」で足していくと、外から見た量は倍になっている。自分の鼻を基準にしないことが、この価格帯の香水では特に大事になります。
肌が乾いていると持ちが落ちます。無香料のクリームを薄く塗ってからつけると、同じ量でも残り方が変わる。量を増やす前に、こちらを試したほうが安全です。
持続は香りによって差が大きい。柑橘が主役のものは3〜4時間で輪郭がぼやけ、木や樹脂が土台にあるものは半日以上残ります。外出前に一度だけつけて持たせたいなら、後者を選んだほうが現実的です。
残念なところ
まず値段です。3万円を超える買い物になるので、香りが合わなかったときの損失が大きい。この価格帯は「なんとなく良さそう」で買っていい額ではありません。
試せる場所が限られます。国内の正規取扱は都市部の百貨店が中心で、地方だと現物を嗅がずに買うことになりがちです。香水を嗅がずに買うのは、本来いちばん避けたい買い方になります。
ロット差もあります。天然原料の比率が高いぶん、同じ名前でも製造時期で印象が変わることがある。「前に買ったものと違う」という声が出るのは、この作りの裏返しです。
ケンタウルスと同時期に出たので、店頭でも並んで置かれます。続けて嗅ぐと違いが分かりにくくなるので、日を分けて試したほうがいい。
新しい香りで日本での流通が少なく、現物に触れる機会がほとんどありません。
クリードというブランド
クリードは公式の説明によれば1760年にロンドンで始まった家の名前です。もともとは仕立て屋で、手袋に香りを移す仕事から香水へ移っていったとされています。現在まで一族が経営を続けてきたことを掲げていて、そこがこのブランドの語り方の中心になっています。
ただしこの歴史については異論もあります。香水を本格的に作り始めたのは20世紀後半からではないか、という指摘が香水研究の側から出ている。買う前に知っておいて損はない話です。香り自体の質と、掲げている物語は別のものとして見たほうがいい。
作りそのものは評価が定まっています。天然原料の比率が高く、同じ名前の香りでも製造ロットによって微妙に違う。工業製品として完全に均一ではないところを、欠点と取るか個性と取るかで評価が割れます。
嗅がずに買わない
4万5千円前後の買い物です。しかも国内で試せる場所が限られている。この2つが重なると、嗅がずに買って外す確率が上がります。少量から試す手段を持っておくと、失敗したときの損失が桁で変わります。
あわせて読みたい
- クリードで最初に名前が挙がる1本を知りたいなら、クリード アバントゥスの徹底検証もどうぞ。
- 同じブランドのクリード ラブ イン ホワイトの香りもどうぞ。
まとめ:嗅いでから決めたい、密度の高いアンバー
クリード デルフィヌス は4万5千円前後の買い物になります。国内で試せる場所が限られるぶん、嗅がずに買う人が多い香りです。
少量から試す手段を先に確保しておくと、合わなかったときの損失が小さくなります。
中身をもう一度整理しておきます。柑橘を使わず、粉と煙と革を重ねたアンバーです。アーモンドとインセンスが最初から同居し、中盤で甘さが粉に変わり、バニラとトンカビーンズが革をくるんで終わる。好みは分かれますが、その分ハマる人には代わりの見つけにくい1本になります。
買うときは、正規と並行輸入の違いを踏まえて選んでください。価格差は2〜4割と小さくない一方、輸送と保管の経路が読めないぶんのリスクは残ります。偽造の多いブランドでもあるので、定価の半額を大きく下回る値付けはまず疑ってかかったほうがいい。ケンタウルスと並べて置かれることも多いので、続けて嗅がず日を分けて試すと違いが分かります。
※本記事はプロモーションを含みます

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