乾いた革と木の香りです。出だしの数分だけグレープフルーツが明るく差し込み、そのあとは最後まで表情がほとんど動かない。香りの移り変わりを追いたい人より、一日じゅう同じ顔でいてくれる1本を探している人に向きます。
フェミナン プルリエルと対になる男性向けの香りです。木と根を軸にしていて、レザーの層が入っているところが方向を決めています。
この記事でわかること
- 公式が挙げている6つの原料と、革の層が香りに何をしているか
- フェミナン プルリエルと共通する土台と、違いが出る場所
- 3万円前後という価格の考え方(正規と並行輸入の差)
- つける量と場所、持ちを落とさないための下準備
結論:変化ではなく、崩れない輪郭を選ぶ香り
総合評価:3.5 / 5.0 ★★★☆★
一言でいえば、時間の楽しみを捨てて輪郭を取った香りです。グレープフルーツが明るいのは最初の数分で、そこから先はずっと乾いた木と革。移り変わりを味わいたい人には物足りないはずですが、裏返せば朝につけた匂いが夜まで同じ顔でいるということでもある。人に会い続ける日ほど扱いやすくなります。
骨格そのものは古典的です。ラベンダーと木の組み合わせはフゼアと呼ばれ、男性向け香水が100年以上使ってきた形になります。土台のパチュリとベチバーはフェミナン プルリエルと共通で、その上に花ではなく革を載せたのがこちら。ただし3万円を超える買い物なので、革の匂いが自分に合うかどうかだけは先に確かめたほうがいい。
マスキュラン プルリエルの基本情報
| ブランド | メゾン フランシス クルジャン(2009年に設立) |
| 商品名 | マスキュラン プルリエル |
| 種類 | オードトワレ |
| 容量 | 35mL・70mL・200mL |
| 価格 | 公式のヨーロッパ向け表示で195ユーロ(70mL)。国内の実勢は3万円前後 |
| 香調 | ウッディ(木) |
| 主な原料 | パチュリ、ベチバー、レザーの層、シダー、ラベンダー、グレープフルーツ |
| 系統 | ラベンダーと木のフゼア。土台はフェミナン プルリエルと共通 |
| ブランド創設者 | フランシス・クルジャン(1995年にジャン ポール ゴルチエの「ル マル」を手がけた調香師) |
革の層が何をしているか
公式が公開している内容はこの通りです。
| 公式の表記 | |
|---|---|
| 香調の分類 | ウッディ(木) |
| 主な原料 | パチュリ・ベチバー・レザーの層・シダー・ラベンダー・グレープフルーツ |
| 種類 | オードトワレ |
クルジャンはトップ・ミドル・ベースという分け方で公開していません。香調の分類と主要な原料だけを出す方針です。時間による変化を細かく説明しない代わりに、何でできているかは正確に示す、という考え方だと思います。
香水の紹介記事には、公式と違う原料が書かれていることがあります。他の媒体の記述が写し継がれていたり、古い情報が残っていたりするためです。ここに載せているのは公式が現在公開している内容です。
公式が挙げているのは6つ。パチュリ、ベチバー、レザーの層、シダー、ラベンダー、グレープフルーツ。
フェミナンと共通しているのはパチュリとベチバーの2つ。土台は同じで、上に載せるものが花か革かという違いです。
レザーの層は特定の原料ではなく、複数の材料を組み合わせて作る印象です。なめした革の匂いを再現するもので、香水では男性向けの香りに厚みを出すときに使われます。
ラベンダーが入っているのが古典的です。ラベンダーとオークモス、あるいはラベンダーと木の組み合わせはフゼアと呼ばれる骨格で、男性向け香水が100年以上使ってきた形になります。
グレープフルーツが唯一の柑橘で、最初の数分だけ明るさを作ります。そこから先はずっと乾いた木と革が続く。変化の少ない香りなので、好みならずっと快適です。
いくらで買えるか
公式が出している容量はこの通りです。
| 容量 | 使いどころ |
|---|---|
| 35mL | 試す・持ち歩く |
| 70mL | 日常の主軸 |
| 200mL | 定番として使い込む |
価格は、公式のヨーロッパ向け表示で195ユーロ(70mL)。日本での実売は、為替と関税、そして正規か並行かで幅が出ます。1つの数字では言い切れないのが実情です。
詰め替え用のレフィルが用意されている香りもあります。本体を買った後の2本目からは、そちらのほうが安くなります。
この調香師の来歴
メゾン フランシス クルジャンは、調香師のフランシス・クルジャンが2009年に立ち上げたブランドです。ニッチ系の中では新しいほうに入ります。
クルジャンはこのブランドを作る前から知られた調香師でした。1995年、25歳のときに手がけたジャン ポール ゴルチエの「ル マル」が世界的に売れて、そこから他社向けの仕事を続けている。他人の名前で売られる香水を作ってきた人が、自分の名前で始めた店という成り立ちです。
2017年にLVMHが過半数の株式を取得しました。資本が入ったことで流通が広がり、日本でも買いやすくなっています。一方で、小さな工房だったころを知る人からは「大きくなりすぎた」という声も出ています。
香りの作り方には一貫した特徴があります。原料の数を絞って、少ない材料をはっきり立たせる。バカラ ルージュ 540が公式には3つの原料しか挙げていないのが象徴的で、複雑さより輪郭で勝負する作りです。
つけるときのこつ
クルジャンの香りは輪郭がはっきりしているので、少量で足ります。原料を絞って作っているぶん、多くつけるとその少ない材料が全部強く出ることになる。
つける量と場所
- 1〜2プッシュから始める。足りなければ翌日に増やす
- 首すじ・耳の後ろ:人に届きやすい。仕事の場では控えめに
- 手首・肘の内側:動くたびに立ち上がる
- 腰まわり・膝の裏:下から穏やかに上がってくる。量を間違えにくい
香りが弱いと感じたときに足すのは、たいてい間違いです。人は自分の匂いに数分で慣れるので、自分に届かなくなった時点でも周りにはまだ届いています。自分の鼻を基準にしないことが、この価格帯の香水では特に大事になります。
肌が乾いていると持ちが落ちます。無香料のクリームを薄く塗ってからつけると、同じ量でも残り方が変わる。量を増やす前に、こちらを試したほうが安全です。
オードパルファンとオードトワレでは持続が変わります。香料の濃度が違うためで、トワレのほうが軽く、そのぶん短い。同じ香りで両方ある場合、日中の使い方で選び分けるといいと思います。
弱いところも書いておく
まず値段です。3万円を超える買い物になるので、香りが合わなかったときの損失が大きい。この価格帯は「なんとなく良さそう」で買っていい額ではありません。
原料を絞る作り方には裏返しがあります。少ない材料で構成されているぶん、合わない材料が1つあると逃げ場がない。複雑な香水なら他の要素で紛れるところが、ここでは紛れません。
変化が少ないので、時間による移り変わりを楽しみたい人には向きません。
革の匂いは好き嫌いが割れます。苦手な人には最初の一嗅ぎで分かるはずです。
ここまでは弱点ですが、裏返せば向く人もはっきりします。変化が少ないというのは表情が崩れないということで、革の匂いが好きなら一日じゅう好きな匂いのなかにいられる。好みが割れるぶん、合った人には代わりの利かない1本になるはずです。
買う場所が決まったなら、あとは選ぶだけです。
国内での買い方
日本では公式ブティックと百貨店で買えます。路面店は表参道と銀座にあり、伊勢丹などの百貨店にも入っている。クリードのように取扱が極端に少ないブランドではありません。
ただし日本の公式サイトは存在しません。かつて使われていたドメインは第三者に売却されていて、今アクセスしても無関係なページに飛びます。検索で出てくる「公式」を名乗るページには注意が要ります。
| 正規(ブティック・百貨店) | 並行輸入 | |
|---|---|---|
| 価格 | 定価 | 1〜3割安いことが多い |
| 保証 | 国内の窓口がある | 販売店ごと |
| 保管 | 管理されている | 経路が読めない |
| 刻印・ギフト包装 | 受けられる | 対象外 |
並行輸入品も多く流通しています。香水は熱と光で変わるので、輸送と保管の経路が読めないことは実質的なリスクです。定価を大きく下回るものには理由があると考えたほうがいい。
買う前に試す
3万円前後の買い物です。原料を絞った作りなので、合わない材料が1つあると全体が駄目になる。この構造は、試さずに買うことのリスクを普通の香水より大きくします。
あわせて読みたい
- クルジャンで最初に名前が挙がる1本を知りたいなら、バカラ ルージュ 540の徹底解説もどうぞ。
- 同じブランドのクルジャン アクア セレスティアの香りもどうぞ。
まとめ:崩れない香りを、試してから買う
メゾン フランシス クルジャン マスキュラン プルリエル は3万円前後の買い物になります。原料を絞った作りなので、合わない材料が1つあると全体が駄目になります。
だからこそ、買う前に肌の上で試す順序を崩さないほうがいい。
向くのは、乾いた木と革を一日じゅう着ていたい人です。明るさは最初の数分だけで、そのあとは表情がほとんど動かない。移り変わりを楽しみたい人には物足りない代わりに、朝につけた匂いが夜まで同じ顔でいてくれます。
買い方は正規と並行輸入で差が出ます。並行は1〜3割安いことが多い一方、輸送と保管の経路が読めない。香水は熱と光で変わるので、値段の低さだけで選ばないほうが安全です。日本の公式サイトは存在しないため、検索で出てくる「公式」を名乗るページにも気をつけてください。
つける量は1〜2プッシュから。原料を絞った香りなので、多く出すと少ない材料が全部強く立ちます。自分の鼻は数分で慣れるため、届かなくなったからといって足すのは避けたい。肌が乾いているときは、量を増やす前に無香料のクリームを薄く塗るほうが効きます。
※本記事はプロモーションを含みます

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