森の温泉の湯気を写した、濡れた木の香りです。出だしは柚子の冷たい清涼感、中盤からヒノキが湯気を吸って濡れてきて、最後はフランキンセンスの厚みと石の質感が残ります。ヒノキ風呂や柚子湯の記憶を持つ人になじむ1本です。
韓国のブランドが日本の温泉を題材にした、という一本があります。ノンフィクションのフォーレスト(FOR REST)。公式の説明には、温泉という言葉がローマ字のまま出てきます。
この記事でわかること
- フォーレストの香りの正体(森の温泉の湯気を写した濡れた木)
- 柚子からヒノキ、フランキンセンスへ移る時間の流れ
- 50mLで18,400円という価格をどう見るか
- 数千円で買える国産のヒノキ系との分かれ目
結論:説明せずに伝わる、湯気のヒノキ
総合評価:4.3 / 5.0 ★★★★☆
フォーレストを一言でいうなら、森の温泉の湯気です。乾いた木ではなく、湯気を吸って濡れた木と石。ヒノキ風呂も柚子湯も日本人には身体で覚えている匂いなので、香水として初めて嗅いでも記憶のほうが先に反応します。説明せずに伝わる、というのがこの香りのいちばんの強みでしょう。
弱点は価格と、試せる場所の少なさです。50mLで18,400円。ヒノキ系なら数千円の国産も選べるなかで、この価格差に納得できるかが分かれ目になります。ただし取扱店が少ないぶん人と被る心配はほとんどなく、和の席でも職場でも浮かない。少量から試す手段を先に用意しておけば、失敗の幅は小さく抑えられます。
ノンフィクション フォーレストの基本情報
| ブランド | ノンフィクション(2019年・ソウル) |
| 商品名 | フォーレスト(FOR REST)オードパルファン |
| 容量 / 価格 | 50mL:18,400円 |
| 香調 | トップ:柚子 / ミドル:ヒノキ、ナツメグ / ラスト:フランキンセンス、ミネラル |
| 系統 | 和の素材に西洋の樹脂を重ねたウッディ |
| 題材 | 森に囲まれた温泉から立ちのぼる水蒸気 |
| 持続 | おおむね5〜7時間 |
香りの変化:冷たい柑橘から、濡れた木へ
公式の説明は「ヒノキと柚子、ナツメグとフランキンセンスで完成される繊細でモダンな香り」。
そして情景として「森に囲まれた温泉から立ちのぼる、かぐわしい水蒸気。額を冷ます涼しい風と、水気を含んだ石の間に生えた苔」と書かれています。
湯気という状態を写しているのが特徴です。乾いた木ではなく、濡れた木と石。日本人にとっては説明不要の情景でしょう。
トップ:柚子の清涼感が先に立つ
最初に立つのは柚子の清涼感です。公式の言う「額を冷ます涼しい風」がそのまま出だしになる。冷たく乾いた柑橘で、湯気の気配はまだ薄い。
ミドル:ヒノキが湯気を吸って濡れてくる
真ん中で主役はヒノキへ移ります。それも乾いた建材の木ではなく、湯気を吸った濡れた木と石。ナツメグがここで温度を足し、冷たかった香りがじんわり温まっていく。乾いた木から湿った木への切り替わりが核だと感じます。
ラスト:フランキンセンスの厚みと石の質感
最後まで残るのはフランキンセンスの厚みと、ミネラルの石の質感です。「水気を含んだ石の間に生えた苔」という公式の情景に届くのはこの段階。和の素材で始まり、西洋の樹脂で静かに終わります。
原料と役割:和の素材に西洋の樹脂が入る
| 原料 | 役割 |
|---|---|
| ヒノキ | 日本の建材。清潔で明るい木 |
| 柚子 | 柑橘。清涼感 |
| ナツメグ | スパイス。温度を足す |
| フランキンセンス | 乳香。神聖さと厚み |
| ミネラル | 石と水の質感 |
ヒノキと柚子はどちらも日本の風呂と結び付きが強い素材です。そこにフランキンセンスという西洋の樹脂が入ることで、和のままでは終わらない構成になっています。
日本人が嗅ぐと有利な理由と、似合う場面
ヒノキ風呂も柚子湯も、日本人には身体で覚えている匂いです。香水として初めて嗅いでも、記憶のほうが先に反応する。
これは他の香りにはない強みです。説明せずに伝わる香りは、贈り物にも使いやすい。
| 場面 | 向き | 理由 |
|---|---|---|
| 秋冬 | ◎ | 湯気と木が季節に合う |
| 職場 | ◎ | 清潔感として受け取られる |
| 和の席 | ◎ | 題材と正面から噛み合う |
| 夏の日中 | ○ | 柚子の清涼感が効く |
いちばん映えるのは秋冬の夜だと思います。外気が冷えてくる時間帯に、ウールの襟元の内側から湯気の温度が立つ。職場なら朝は1プッシュに抑えて、清潔感だけを残す使い方が合います。夏の日中は柚子の涼しさ頼みになるので、量はさらに軽く。
どうつけて、どれくらいもつか
オードパルファンなので、1〜2プッシュで足ります。
つける場所の目安
- 首すじ・耳の後ろ:最も届く。人に伝えたいとき
- 手首:動作のたびに香る
- 腰まわり:下から穏やかに立ち上がる
- 服:残りやすいが、本来の出方はしない
オードパルファンの持続はおおむね5〜7時間です。朝につければ夕方まで残る計算になります。
韓国のブランドは、欧州の老舗に比べて拡散が穏やかに作られている傾向があります。満員電車や会議室で持て余しにくい反面、すれ違いざまに気づかせる力は弱い。近い距離にいる人にだけ届く、と考えておくと期待を外しません。
つけ直すなら昼過ぎが目安です。ただし自分の鼻は最初の30分で慣れてしまうので、「消えた」と感じても他人にはまだ届いていることがあります。足す前に一度、服の袖などで確かめるほうが安全です。
つけ方の見当がついたら、あとは手に入れるだけです。
このブランドのこと
ノンフィクションは2019年にソウルで始まったブランドです。フレグランスとボディケアを軸に、店舗の設計まで含めて世界観を作り込んでいます。
香りの名前が「サンタルクリーム」「オープンアームズ」のように情景や状態を指す言葉で付けられているのが特徴で、何の匂いかを名前から読み取れるものと、読み取れないものが混在しています。
韓国のフレグランスブランドが日本で存在感を持ち始めたのは、ここ数年のことです。スキンケアやメイクで先に市場を取り、そこから香りへ広げてきた。価格帯も欧州のニッチ系と並ぶところまで上がっています。1万円台後半から2万円台という設定は、ジョー マローンやディプティックと同じ帯です。つまり価格で選ばれることを前提にしていない。世界観と香りそのもので勝負する、という立ち位置になります。
正直な注意点:試せる場所の少なさと価格
試せる場所が限られます。日本での取扱店舗はまだ少なく、地方では現物に触れる機会がほぼありません。
情報も少ない。欧州の老舗と違って、原料の産地や調香師まで公開されている香りは限られます。
転売品にも注意が要ります。韓国から個人輸入した品が国内で流通していますが、輸送中の温度も保管状態も読めません。香りは熱と光で変わるので、定価より極端に安いものは理由を確認したほうがいい。
ヒノキ系は日本のブランドからも多く出ています。無印やSHIROなど、数千円で買える選択肢があるなかで、1万8千円という価格をどう見るかは判断が要ります。
どの容量を買うか
日本では公式オンラインと一部の百貨店・セレクトショップで買えます。
| 容量 | 価格 |
|---|---|
| 50mL | 18,400円 |
並行輸入や個人輸入の品も出回りますが、保管状態が読めません。香りは熱と光で変わるので、正規の流通で買うほうが確実です。
買う前に:少量から試す方法
1万8千円近い買い物になります。韓国のフレグランスは日本で試せる店舗がまだ限られていて、実物に触れずに買う人が多い。少量から試す方法を持っておくと、失敗の幅が小さくなります。
あわせて読みたい
- ノンフィクションの使用感を知りたいなら、ジェントルナイトを使い込んだレビューもどうぞ。
- 同じブランドのノンフィクション ザ・ローズ、冷たく始まるバラもどうぞ。
まとめ:価格に納得できるなら、長く使える一本
フォーレストは、森の温泉の湯気を写した香りです。ヒノキと柚子という日本人に馴染みの深い素材が中心にあります。
説明せずに伝わるのが最大の利点。ただし同系統の安価な選択肢も多いので、価格差に納得できるかは試してから決めたほうがいい。
向くのは、秋冬の夜に和の情景をまといたい人です。外気が冷えてくる時間帯に、ウールの襟元の内側から湯気の温度が立ちます。職場でも朝は1プッシュに抑えれば清潔感として受け取られ、和の席なら題材と正面から噛み合う。近い距離にいる相手にだけ届く香りだと考えておくと、期待を外しません。
逆に、すれ違いざまに気づかせたい人には物足りないはず。ただしその控えめさは、満員電車や会議室で持て余さない距離感でもあります。取扱店が少なく、原料の産地や調香師まで公開されていない点も不便ではある。裏を返せば、人と被りにくい一本ということです。18,400円を一度で決めきれないなら、少量から肌に乗せて湯気の温度が自分に合うか確かめてから買えばいい。
ノンフィクション フォーレストオードパルファンに近い方向で探すなら
この一本が刺さった人に、次の候補を挙げます。重なる部分と外れる部分をはっきりさせておくほうが、買ってから後悔しません。
| 銘柄 | 価格の目安 | 近いところ | 違うところ |
|---|---|---|---|
| diptyque オードパルファン オーデュエル | 18,700円〜 | フランキンセンスが重なる | ピンクペッパーが入り、軽い刺激が乗る |
| ジョー マローン ロンドン ダーク アンバー&ジンジャー リリー コロン インテンス | 23,650円〜 | 同じアンバー・オリエンタルの方向 | ジンジャーが入り、ぴりっとした辛みが出る |
| イソップ アバヴ アス、ステオーラ | 23,870円〜 | フランキンセンスが重なる | カルダモンが入り、乾いたスパイスが立つ |
3本とも系統は近いものの、残り方が違います。長く使うなら、残り香が自分の生活に合うかで決めるほうが失敗しません。
※本記事はプロモーションを含みます

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