柑橘から始まって、太い木に着地する香りです。出だしはベルガモット・レモン・ライム・マンダリンと柑橘が4つ並ぶ明るい立ち上がり、中盤のラベンダーとスパイスは短く、そこから先はサンダルウッドやベチバーの木と根が長く残ります。輪郭のはっきりした男性的な木の香りを探している人に向く1本。
1987年に出た古い香りです。イベリア半島の森から発想されていて、木の香りとして知られている。ただし原料を見ると、出だしは意外なほど明るく作られています。
この記事でわかること
- 柑橘4つで開いて木と根に着地する香りの流れ
- 国内の価格帯と、容量4種類の選び分け
- 正規と並行輸入の差、偽造品を疑う値付けの線
- 濃度が高い香水で、つける量をどう決めるか
結論:柑橘で開いて、太い木で終わる
総合評価:4.0 / 5.0 ★★★★☆
木の香りとして名前が通っているのに、開いた直後は柑橘で明るい。中盤のラベンダーとスパイスが薄いぶん移行が速く、早い段階からサンダルウッド・パチュリ・ベチバー・シダーウッドという本体に入ります。微妙なニュアンスを積むのではなく、木を正面から立たせた作りです。
弱点もはっきりしています。国内では3万円台から6万円台が中心で、外したときの損が大きい。発売から40年近くたっているぶん古く感じる場面もあり、20代がつけると背伸びして見えることがある。ただし裏を返せば、年齢が乗ってからのほうが収まる香りで、軽い香水が並ぶ今の街では逆に重ならない。まず少量から試して、合うと分かってから容量を決めるのが現実的です。
クリード ボア デュ ポルトガルの基本情報
| ブランド | クリード(公式は1760年ロンドン創業と説明) |
| 商品名 | ボア デュ ポルトガル |
| 発売 | 1987年 |
| 容量 | 50mL / 100mL / 240mL / 500mL(240mLと500mLは詰め替え用でスプレーなし) |
| 価格 | 正規で3万円台〜6万円台(50mLで4万円前後、100mLで5万円台) |
| 香調 | トップ:ベルガモット・レモン・ライム・マンダリン・バジル / ミドル:ラベンダー・スパイス / ベース:サンダルウッド・パチュリ・ベチバー・シダーウッド |
| 系統 | ウッディ(男性的) |
| 題材 | イベリア半島の森 |
| 日本の代理店 | インターモード川辺(2023年8月に新宿伊勢丹で再上陸) |
木の香りなのに柑橘から始まる
公式が公開している原料はこの通りです。
| 公式が挙げている原料 | |
|---|---|
| トップ | ベルガモット・レモン・ライム・マンダリン・バジル |
| ミドル | ラベンダー・スパイス |
| ベース | サンダルウッド・パチュリ・ベチバー・シダーウッド |

香水の紹介記事には、公式と違う原料が書かれていることがあります。古い処方の情報がそのまま引き継がれていたり、他の媒体の記述が写されていたりするためです。ここに載せているのは公式が現在公開している内容です。
公式は、豊かで木の質感があり、力みのない男性的な香りだと説明しています。
意外なのはトップに柑橘が4つも並んでいることです。ベルガモット、レモン、ライム、マンダリン。木の香りという評判からは想像しにくい明るい出だしになっています。
そこにバジルが加わります。バジルはハーブの中でも青くて少し甘い匂いを持ち、柑橘とつなぐ役割をしている。
中盤はラベンダーとスパイスだけ。ここが薄いぶん、柑橘からベースへの移行が速く感じられます。
ベースはサンダルウッド、パチュリ、ベチバー、シダーウッド。木と根が4つ並んでいて、ここがこの香りの本体です。1980年代の男性向け香水の典型で、輪郭が太くはっきりしている。微妙なニュアンスで勝負するのではなく、木の香りとして明確に立たせています。
なお、この香りにバニラやアンバーグリスが入っているという記述を見かけますが、公式が現在挙げている原料にそれらはありません。
いくらで買えるか
公式が出している容量はこの通りです。
| 容量 | 使いどころ |
|---|---|
| 50mL | 日常の主軸 |
| 100mL | 定番として使い込む |
| 240mL | 詰め替え用の大容量 |
| 500mL | 詰め替え用の大容量 |
大容量は詰め替え用のボトルで、スプレーが付きません。使い続けると決めた香りに移るときの選択肢です。まず1本目を選ぶ段階なら、スプレー付きの容量から。
クリードは日本で買うと高いブランドです。正規の取扱では、容量にもよりますが3万円台から6万円台が中心の帯になります。50mLで4万円前後、100mLで5万円台という見当をしておくと大きくは外れません。香水としては最上位の価格帯で、ニッチ系と呼ばれるブランドの中でも高いほうに入ります。
この家の歴史をどう見るか
クリードは公式の説明によれば1760年にロンドンで始まった家の名前です。もともとは仕立て屋で、手袋に香りを移す仕事から香水へ移っていったとされています。現在まで一族が経営を続けてきたことを掲げていて、そこがこのブランドの語り方の中心になっています。
ただしこの歴史については異論もあります。香水を本格的に作り始めたのは20世紀後半からではないか、という指摘が香水研究の側から出ている。買う前に知っておいて損はない話です。香り自体の質と、掲げている物語は別のものとして見たほうがいい。
作りそのものは評価が定まっています。天然原料の比率が高く、同じ名前の香りでも製造ロットによって微妙に違う。工業製品として完全に均一ではないところを、欠点と取るか個性と取るかで評価が割れます。
つけるときのこつ
クリードは香料の濃度が高く、少量で足ります。普段どおりの感覚で3プッシュも4プッシュも使うと、確実に多すぎます。
つける量と場所
- 1〜2プッシュから始める。足りなければ次の日に増やす
- 首すじ・耳の後ろ:人に届きやすい。仕事の場では控えめに
- 手首・肘の内側:動くたびに立ち上がる
- 腰まわり・膝の裏:下から穏やかに上がってくる。量を間違えにくい
つけた直後の30分は、自分でも強く感じます。そこで判断せず、1時間後の残り方で量を決めるといい。
香りが弱いと感じたときに足すのは、たいてい間違いです。人は自分の匂いに数分で慣れるので、自分に届かなくなった時点でも周りにはまだ届いています。「弱くなった気がする」で足していくと、外から見た量は倍になっている。自分の鼻を基準にしないことが、この価格帯の香水では特に大事になります。
肌が乾いていると持ちが落ちます。無香料のクリームを薄く塗ってからつけると、同じ量でも残り方が変わる。量を増やす前に、こちらを試したほうが安全です。
持続は香りによって差が大きい。柑橘が主役のものは3〜4時間で輪郭がぼやけ、木や樹脂が土台にあるものは半日以上残ります。外出前に一度だけつけて持たせたいなら、後者を選んだほうが現実的です。
弱いところも書いておく
まず値段です。3万円を超える買い物になるので、香りが合わなかったときの損失が大きい。この価格帯は「なんとなく良さそう」で買っていい額ではありません。
試せる場所が限られます。国内の正規取扱は都市部の百貨店が中心で、地方だと現物を嗅がずに買うことになりがちです。香水を嗅がずに買うのは、本来いちばん避けたい買い方になります。
年齢層を選ぶ香りです。20代がつけると背伸びして見える可能性がある。
発売から40年近くたっているので、今の空気に対して古く感じることがあります。そこを味と取れるかどうかで評価が変わります。
ここまでが弱いところです。裏返すと、値段と試せなさで買う人がふるい落とされるぶん、街で同じ香りとすれ違うことはほとんどない。古さのほうも、軽い香水が並ぶ場所では輪郭の太さとして効きます。年齢が乗ってから手に取ると、いちばん収まりのいい1本になります。
買う場所が決まったなら、あとは選ぶだけです。
日本で買える場所
クリードは2023年8月に新宿伊勢丹で日本へ再上陸しました。国内の代理店はインターモード川辺で、正規品はここを通ったものになります。ただし取扱店はごく限られていて、地方では現物に触れる機会がほとんどありません。
そのため、日本で流通しているクリードの多くは並行輸入品です。個人や業者が海外から仕入れたもので、これ自体は違法ではない。ただ、正規と並行では扱いが変わります。
| 正規(伊勢丹など) | 並行輸入 | |
|---|---|---|
| 価格 | 定価。3〜6万円台 | 2〜4割安いことが多い |
| 保証 | 国内の窓口がある | 販売店ごと |
| 保管 | 管理されている | 経路が読めない |
| 刻印サービス | 受けられる | 対象外 |
価格差は小さくありません。ただし香水は熱と光で変わるので、輸送と保管の経路が読めないことは実質的なリスクです。極端に安いものには理由があると考えたほうがいい。
偽造品も存在します。クリードは世界的に模造の多いブランドで、ボトルの作り込みまで似せたものが出回っています。定価の半額を大きく下回るような値付けは、まず疑ってかかったほうがいい。
買う前に試す
4万円前後の買い物です。しかも国内で試せる場所が限られている。この2つが重なると、嗅がずに買って外す確率が上がります。少量から試す手段を持っておくと、失敗したときの損失が桁で変わります。
あわせて読みたい
- クリードで最初に名前が挙がる1本を知りたいなら、クリード アバントゥスの徹底検証もどうぞ。
まとめ:値段と試せなさを越えられるかで決まる
クリード ボア デュ ポルトガル は4万円前後の買い物になります。国内で試せる場所が限られるぶん、嗅がずに買う人が多い香りです。
少量から試す手段を先に確保しておくと、合わなかったときの損失が小さくなります。
香りの中身をもう一度並べておきます。柑橘4つとバジルで明るく開き、ラベンダーとスパイスの中盤を短く抜けて、サンダルウッド・パチュリ・ベチバー・シダーウッドの木と根に落ち着く。1980年代の男性向け香水の型そのままで、輪郭が太くはっきりした作りです。
買い方は正規と並行輸入で分かれます。並行は2〜4割安い代わりに輸送と保管の経路が読めないので、長く使うつもりなら正規のほうが結局は納得しやすい。定価の半額を大きく下回る値付けは、偽造品を疑ってかかったほうがいい。好みのほうもはっきり分かれる香りですが、分かれるぶん、木の香りを正面から求めている人には長く付き合える1本になります。
※本記事はプロモーションを含みます

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