ワセリンは、成分としては地味の極みです。保湿成分のように水を抱えるわけでもなく、有効成分のように何かを防ぐわけでもない。
やっていることは覆うことだけです。ただ、それが乾燥に対しては非常に強い。手元の149品を走査したところ10品に入っていて、どれも同じ役割で使われていました。
この記事でわかること
- ワセリンが何をしている成分か
- 純度による名前の違い
- 入っている製品と入っていない製品の設計の差
- 顔に使うときに気をつけること
石油から作られた炭化水素
ワセリンは石油を精製して作られる炭化水素の集まりです。「石油由来」と聞くと身構える人もいますが、精製の過程で不純物は取り除かれていて、医薬品としても使われています。
化学的にほとんど反応しないので、肌の上で何かをすることがありません。反応しないことが利点という珍しい成分です。
純度で名前が変わる
| 名前 | 位置づけ |
| ワセリン | 化粧品の全成分表示での書き方 |
| 白色ワセリン | 日本薬局方の規格。医薬品としても使われる |
| プロペト | 白色ワセリンをさらに精製したもの |
| サンホワイト | さらに精製度を上げた製品名 |
| 黄色ワセリン | 精製度が低い。工業用途など |
精製度が上がるほど不純物が減り、色が白く、においも少なくなります。価格も上がる。
ただし保湿の力そのものは変わりません。覆うという働きは同じなので、刺激が気になる人以外は高純度にこだわる必要はあまりないと思います。
149品での使われ方
全成分から読めること
| リップクリーム(複数品) | キュレル リップケア クリーム、リップケア バーム、オルビス ミスター リップケア スティックなど。唇を覆う目的で使われていて、上位に来ることが多い |
| ハンドクリーム | キュレル ハンドクリーム。水仕事で落ちやすい場所に膜を作る役 |
| ボディ用のバーム | キュレル バスタイム モイストバリアクリームなど。面積の広い場所に厚く塗る前提の製品 |
| 入っていなかったのは | バルクオム THE LIP BALM。こちらはエステル油とワックスで組んでいて、ワセリンを使わない設計を選んでいる |
149品のうちワセリンが入っていたのは10品。顔用の化粧水や乳液には入らず、唇・手・体という「覆いたい場所」に集中していた。
成分は各社公式の表示の表示による(化粧品)
なぜ顔用の化粧水には入らないのか
ワセリンは水に溶けません。だから化粧水のような水ベースの製品には入れられない。入れるとすれば乳化して乳液やクリームにする必要があります。
それと、顔に厚く塗るとテカって見えるという実際の問題があります。男性は皮脂量が多いので、そこにワセリンを重ねると脂っぽい印象になりやすい。
だから顔には、スクワランやエステル油のような軽い油が選ばれることが多くなります。覆う力では劣りますが、見た目の問題が出にくい。
欠点と、向かない場面
いちばんの欠点は、テカることです。顔全体に塗ると光ります。男性の場合、これだけで印象が変わってしまうので日中に使う製品としては扱いにくい。
それと、水分を足す力はありません。乾いた肌にワセリンだけ塗ると、乾いた状態を閉じ込めることになります。化粧水などで水分を入れたあとに使うのが前提です。
ニキビがある場所も避けたほうがいい。毛穴を覆うことになるので、皮脂の出口を塞ぐ形になります。
使いどころを絞ると強い
| 場所 | ワセリンが向くか |
| 唇 | 向いている。舐めても比較的安全な部類 |
| 手・指先 | 向いている。水仕事で落ちやすい場所 |
| すね・かかと | 向いている。乾燥が強く出る場所 |
| 顔全体 | テカる。夜だけ、または部分的に |
| ニキビのある場所 | 避ける。毛穴を覆う |
量は「薄く」が基本です。たっぷり塗っても効果が上がるわけではなく、ベタつきだけが増えます。光って見えない程度が適量の目安でしょう。
よくある誤解
「石油由来だから危険」
原料は石油ですが、精製の過程で不純物は取り除かれています。医薬品として使われている事実が、その安全性の目安になります。原料が何かと、精製後に何が残っているかは別の話です。
「毛穴を塞ぐから使ってはいけない」
厚く塗れば覆うことになるので、ニキビのある場所は避けたほうがいい。ただ、薄く塗るぶんには肌が呼吸できなくなるようなことは起きません。量と場所の問題です。
「保湿力が最強」
覆う力は強いのですが、水分を足す力はゼロです。乾いた肌に塗れば乾いたまま閉じ込めることになる。化粧水のあとに使ってこそ意味があります。
| 言われていること | 実際のところ |
| 石油由来だから危険 | 精製されている。医薬品にも使われる |
| 毛穴を塞ぐ | 厚く塗れば。薄ければ問題になりにくい |
| 保湿力が最強 | 覆う力は強いが、水分は足せない |
| 高純度でないと効かない | 覆う働きは変わらない。刺激の話 |
何もしないことの強さ
ワセリンは反応せず、水も抱えず、ただ覆うだけの成分です。だからこそ、刺激が出にくく、荒れているときにも使いやすい。
派手な成分を探す前に、覆うものが足りているかを見る。順番としてはそちらが先のことも多いはずです。全体の組み立てはメンズ美容の基本ガイドにあります。
149品を調べて分かったのは、ワセリンが顔用には使われず、唇・手・体という「覆いたい場所」に集中していたことでした。メーカーはそこを分けて設計している。使う側も場所で分けるのが素直だと思います。
価格も安く、どこでも買えて、変質しにくい。成分としては地味ですが、常備しておいて損のない部類だと思います。
※本記事はプロモーションを含みます









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