腕時計のサイズはケース径で語られますが、腕に乗るかどうかを決めているのは径ではありません。ラグの先からラグの先までの長さ、つまり縦の寸法です。この記事では、セイコーとオリエントが公表している縦・横・厚さの実数を並べて、ケース径が2ミリ大きいのに縦は短い、という逆転が実際に起きていることを見ます。そのうえで、自分の手首周りから何ミリまでなら乗るのかを計算で出します。
同じ40ミリでも、腕の上での収まりが揃わない
腕時計を探すとき、最初に絞るのはたいていケース径です。40ミリ、42ミリ、38ミリ。ところが同じ40ミリで比べても、店で試着すると片方は収まり、片方はラグの先が浮く。
理由は簡単で、ケース径は丸い部分の直径しか表していないから。実際に手首と接するのは、その外側に伸びたラグの先端です。ここが手首の丸みより外へ出ると、バンドが手首に沿わずに角が立ちます。
そして各社は縦の寸法もちゃんと公表しています。見ていないだけでした。
手首周りから、手首の幅を計算で出す
上限を決めるのは手首の幅です。ただ、幅をメジャーで測るのは難しい。巻きつけて測れるのは周囲のほうなので、そこから幅を出します。
手首を真円とみなすなら、幅は周囲を円周率で割った値。周囲16センチなら160ミリ÷3.14で約51ミリ。ただし実際の手首は上下に平たい楕円です。幅が厚みの1.3倍あるとして計算し直すと約57ミリ。つまり本当の幅は、この2つの間のどこかに入ります。
| 手首周り | 真円とみなした幅 | 平たい楕円とみなした幅 | 見ておく範囲 |
|---|---|---|---|
| 15センチ | 約47.7ミリ | 約53.7ミリ | 48〜54ミリ |
| 16センチ | 約50.9ミリ | 約57.3ミリ | 51〜57ミリ |
| 17センチ | 約54.1ミリ | 約60.9ミリ | 54〜61ミリ |
| 18センチ | 約57.3ミリ | 約64.5ミリ | 57〜65ミリ |
この幅より縦が長い時計を着けると、ラグの先が手首の丸みから外れて浮きます。安全側で見るなら、左の列、つまり真円で計算した数字を上限にしておくといい。手首15センチ台なら縦47ミリまで、16センチなら縦51ミリまでという見当になります。
径が2ミリ大きいのに縦は短い、という逆転が起きている
ここからは公表値です。セイコーとオリエントの製品ページに載っている縦・横・厚さを並べました。
| モデル | 縦(ラグを含む) | 横(ケース径) | 厚さ | 備考 |
|---|---|---|---|---|
| オリエント バンビーノ 38(RN-AC0M04Y) | 44.0ミリ | 38.4ミリ | 12.5ミリ | 質量54g・バンド幅20ミリ・革 |
| オリエント バンビーノ | 46.5ミリ | 40.5ミリ | 12.3ミリ | 同じ系列の標準サイズ |
| セイコー セレクション SBTM269 | 46.6ミリ | 40.3ミリ | 8.9ミリ | ソーラー電波・55,000円 |
| セイコー 5スポーツ SBSA309 | 46.0ミリ | 42.5ミリ | 13.9ミリ | 質量100g・53,900円 |
下の2行を見てください。ケース径はSBSA309のほうが2.2ミリ大きいのに、縦はSBTM269のほうが0.6ミリ長い。径だけを比べて「42.5ミリは自分には大きすぎる」と外していたら、実は手首に乗る長さは短いほうを外していたことになります。
なぜこうなるかというと、SBSA309はダイバー由来の形でラグが短く詰めてあり、SBTM269はドレス寄りの薄型でラグが素直に伸びているから。ラグの長さは径と連動しません。ここが径だけで選んだときの落とし穴でした。
38・40・42の使い分けは、手首周りで線を引く
さきほどの幅の計算と、公表されている縦の寸法を突き合わせると、どのクラスがどの手首に向くかが見えてきます。
| 手首周り | 無難なケース径 | 縦の上限の目安 | はみ出すおそれのある組み合わせ |
|---|---|---|---|
| 15センチ前後 | 38ミリ級 | 47ミリ | 径42ミリで縦48ミリを超えるもの |
| 16センチ前後 | 38〜40ミリ級 | 51ミリ | 径44ミリ以上のダイバー |
| 17センチ前後 | 40〜42ミリ級 | 54ミリ | 径36ミリ以下は小さく見えやすい |
| 18センチ以上 | 42ミリ級以上 | 57ミリ | 薄型の38ミリは物足りなく感じることがある |
縦の上限だけなら、この表のとおり多くの時計が乗ります。物理的にはみ出す組み合わせは、実はそれほど多くない。
そのうえで、僕が自分で決めているもうひとつの線があります。ケース径が手首の幅の7割前後に収まっているか。手首16センチ、幅を54ミリとして計算すると、38.4ミリで71パーセント、40.5ミリで75パーセント、42.5ミリで79パーセントです。8割を超えたあたりから、腕時計というより腕に乗せた板に見えはじめる。これは僕の好みの話なので、数値そのものより割合で見る癖をつけることのほうが役に立ちます。
厚みが食うのは、手首ではなく袖口の周囲
厚さが効いてくるのは、着けたときの見え方より先に、袖に入るかどうかのほう。
円筒に板を乗せると考えると分かりやすい。腕時計を着けたぶん、袖が通らなければならない周囲はおおよそ厚みの2倍だけ増えます。厚さ8.9ミリのSBTM269なら約18ミリ、13.9ミリのSBSA309なら約28ミリ。差は1センチほどで、これがシャツのカフスでは効きます。
袖口の内周は、既製のシャツでおおよそ20センチ台。手首16センチの人なら余裕は4センチ前後です。そこへ2.8センチを足すと、残りは1センチ強。腕を曲げたときに引っかかる領域に入ります。
ただし、これは平均の話でしかありません。自分のシャツのカフスをメジャーで測るほうが早い。ボタンを留めた状態で内側を一周させれば数十秒で出ます。手首周りとの差が3センチを切っているなら、厚さ11ミリあたりを上限にしたほうが穏やかに済みます。
厚さで迷ったときの目安
- スーツを着る日が多いなら、厚さ11ミリ以下。カフスの内側で止まりにくい
- 私服中心で袖口が広いなら、13ミリ台でも困らない。むしろ厚みは存在感になる
- 厚さは風防の出っ張りと裏蓋の丸みを含んだ数字なので、実際の当たりは公表値より小さく感じる
寸法で決めきれない部分も、はっきりある
ここまで数字で押してきたので、通用しないところも並べます。
まずラグの形。同じ縦46ミリでも、ラグが下へ曲がっているか、まっすぐ伸びているかで手首への沿い方が違います。曲がっているほうが手首を抱え込むので、数字より小さく感じる。そしてこの曲がりの角度は、どのメーカーもほぼ公表していません。
バンドも数字に出ません。SBSA309のシリコンバンドは柔らかく手首に巻き付きますが、同じ寸法でも硬い金属バンドだと、コマの単位でしか長さが変えられない。手首16センチだと、コマ1つの差で緩すぎるか締まりすぎるかに振れることがあります。
見え方の話もあります。文字板が明るい色だと大きく、黒だと小さく見える。ベゼルが太ければ、同じケース径でも文字板の面積は小さくなります。縦の寸法で「乗るかどうか」は決められても、「大きく見えるかどうか」までは決められない。
最後に、重さ。SBSA309は100グラム、革バンドのバンビーノ38は54グラム。倍近い差があります。一日着けていると、この差は寸法より先に体感に来る。数字で候補を3本に絞って、最後は手に取って決める。順番としてはこれが現実的でした。
注文する前にやっておく3つ
通販で買うなら、届く前に済ませておけることがあります。
押す前の確認
- 手首周りをメジャーで測る。時計を着ける位置、手首の骨の少し胴体寄りで一周させる
- 候補の製品ページで縦の寸法を探す。「ケースサイズ 縦◯×横◯×厚さ◯」の形で載っていることが多い
- 手持ちの時計の縦・横・厚さを実測して、候補と引き算する。何ミリ増えるのかが分かれば判断が速い
3つ目がいちばん効きます。今使っている時計が大きいのか小さいのか、自分では意外と分かっていないものだから。基準が1本あれば、公表値の差だけで判断できるようになります。
サイズ違いで返品する手間を考えれば、メジャーを1本出す数分は安い。僕はこれをやらずに42ミリを買って、ラグが浮いたまま2年ほど着けていました。
まとめ
腕時計が手首に乗るかどうかを決めるのは、ケース径ではなくラグを含む縦の寸法。セイコーの公表値では、径42.5ミリのSBSA309が縦46.0ミリ、径40.3ミリのSBTM269が縦46.6ミリで、径の大小と縦の長短が逆転しています。
自分の上限は、手首周りを円周率で割れば出ます。15センチなら縦47ミリ、16センチなら縦51ミリまで。そのうえでケース径が手首の幅の7割前後に収まると、僕の目には落ち着いて見えました。
厚みは腕ではなく袖口で効きます。厚さの2倍だけカフスの余裕を食うので、スーツが中心なら11ミリ以下。ここまで決めてから、あとは実物を見て選んでください。
※本記事はプロモーションを含みます

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