手首に一吹きして、コートの襟を立ててから店の扉を押します。この一年、僕が繰り返してきた動作です。アルキストのエラは、蜜のような甘さと乾いた根の苦みが、いっしょに香る香水でした。結論から言うと、腕を寄せた相手の記憶にだけ居座るタイプです。腕の上での香り方、僕の体感の持続、真夏にやらかした話、国内での探し方まで並べます。
この記事でわかること
- 花と蜜、それに乾いた根がどう組み合って一本になっているか
- 僕の腕での体感の持続と、足すかどうかを決めている基準
- 買う前に飲み込んでおきたい弱点が二つと、国内での探し方
- 似合う服装と、この香りが素直に立ってくれる場面
ARQUISTE Ella Eau de Parfum 100mL
参考価格 34,515円前後
70年代ディスコの華やかさを思わせるシプレー調の香りをまといたい人向け。
このブログを書いている人
30代前半メンズ、都内在住。「大手製薬企業 → 大手EC企業 → 大手メーカー企業」と、ライフスタイルに合わせて転職をしながら現在3社目で日々奮闘中。ファッションや美容といった身だしなみのことから、生活を豊かにするガジェット類、インテリアや雑貨まで、実際に使ってよかったものだけを書いています。
私は極度の脂性肌×敏感肌で、スキンケアは市販薬からデパコス、20以上の美容医療やイソトレチノイン治療まで一通り試してきました。
大好きな香水は500本以上、洋服には累計2,000万円ほどを使用(使いすぎ…)
これまで身を削って試してきた実体験を皆様にお伝えします!
結論:エラ は「蜜をまとった夜のシプレ」
腕にのせて最初に浮かんだのは、濃く淹れた紅茶に黒い蜂蜜をひとさじ落として、そのカップを持った手で古い革の椅子の肘掛けをなでたような光景でした。甘いのに、べたつく方向へは進みません。甘さの下に土や根の苦みがずっと敷いてあって、そこで全体が引き締まっています。花の香水だと思って嗅ぐと、たぶん一度目は面食らうはずです。
商品ページに置かれている説明文は英語だけで、日本語版がありません。そこには「A voluptuous chypre scent evoking 1970s disco glamour, plunging necklines and honeyed skin.」と書かれていて、官能的なシプレ、七〇年代のディスコの華やかさ、深く開いた襟ぐり、蜜を塗ったような肌、という言葉が一息で並びます。続く一文は「Tropical flowers and red lipstick give way to a spicy sweetness and the carnal notes of an intense, heady embrace.」で、南国の花と赤い口紅、そこから香辛料めいた甘さへ、というつながりでした。腕の上で嗅いでいると、この文章が飾りではないことがよく分かります。
僕がこれを買ったのは、棚に瓶が十本近く並んだあとでした。甘い方向も石けん系も一通り触ったうえで、そろそろ違う骨格が欲しいと思っていた時期です。人に言われた回数はそれほど多くありませんが、腕を近づけた相手からは決まって何か聞かれます。同僚には「花なのに、なんでこんなに土の匂いがするんですか」と真顔で言われました。すれ違いざまに主張してくる性格ではないので、初めて嗅ぐと地味に感じるかもしれません。一年たって残量を見比べたとき、いちばん減っていたのがこの瓶でした。
総合評価:4.5 / 5.0 ★★★★☆
Ryo
花束を渡された記憶ではなく、花束を抱えた人の腕の匂いのほうを思い出す香水です。

アルキスト エラ の基本情報
表記はオードパルファムで、僕が持っているのは100mLです。ブランドのページには3.4fl ozという書き方も併記されていて、海外の表記に慣れていないと一瞬迷うかもしれません。値段は$225.00という数字が出ています。円になおすといくらか気になるところですが、ここは一ドル百五十三円台のレートで概算すると三万四千円台、という言い方までにしておきます。ドル建てで売られている以上、円での支払い額は決済した日のレートと手数料で動くからです。僕が買ったときも、カートで見た概算と後日の請求額は同じになりませんでした。
小さいほうに30mLの記載があるのは、この香水を試すうえで大きい話でした。いきなり100mLに踏み込むのがこわい人は、まずこちらで自分の肌との相性を確かめられます。僕は最初から大きいほうを選びましたが、蜜と土という方向性を考えると、小さいほうから入る人の気持ちはよく分かります。旅行用にあとから足す使い方もできそうです。
もうひとつ知っておくと得をするのが、日本語で書かれた説明文が存在しないことです。香りの手がかりを原文から拾いたい人は、英語のページを翻訳にかけて読むことになります。表記のゆれで検索が空振りしやすいので、探すときは香水名を直接打ち込むより、ブランド名から一覧を出して、その中でエラを見つける順番のほうが早いはずです。「エラ」だけで打ち込むと、頭の文字が同じ別ブランドの瓶が先に並んでしまいます。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ブランド | アルキスト |
| 香水名 | エラ |
| 濃度 | オードパルファム |
| 容量 | 100mL(3.4fl oz) |
| 別のサイズ | 30mL |
| 参考価格 | $225.00(概算34,515円) |
| 香調 | カノンボールツリーフラワー/アンジェリカルート/キャロットシード/ターキッシュローズ/フレンチジャスミンアブソリュート/カルダモンアブソリュート/ブラックバックウィートハニー/アンバーグリス/パチュリ/シベット/ベチバー/シガレットスモークアコード/シプレアコード |
| 国内の取扱い | エラの単体は見つけられず、ブランドの通販から |
ARQUISTE Ella Eau de Parfum 100mL
参考価格 34,515円前後
70年代ディスコの華やかさを思わせるシプレー調の香りをまといたい人向け。
香りをつくっている素材
腕の上で聞いていると、どれかが順番に顔を出してくるようには感じません。それぞれ強さは違いますが、途中で入れ替わることもありませんでした。体温と吹いた量で、どれが大きく香るかだけが変わります。以下は僕の腕での聞こえ方です。
STEP 1|0〜30分
音量が大きく、同じ部屋にいる人にも届きます
吹いた直後の甘さと明るさがここに集まります
STEP 2|〜3時間
半径が縮んで、同じテーブルの相手にだけ伝わります
僕が狙って使っているのはこの帯です
STEP 3|それ以降
肌のすぐ近くに、乾いた気配だけが座っています
足すかどうかを決めるのはここに入ってからです
ターキッシュローズとジャスミン:真ん中に立つ花
エラの中心にいるのは花です。ターキッシュローズとフレンチジャスミンアブソリュート、それにカノンボールツリーフラワーという、あまり見かけない名前の花が並びます。説明文が tropical flowers and red lipstick と書いているとおり、庭に咲いている花というより、化粧をした人が抱えている花束のほうへ寄っていました。みずみずしさで押してくる出方はしません。
僕がこの花をいいと思ったのは、甘さの角が丸くないところでした。ジャスミンは濃く出るとむせるような方向へ振れることがありますが、ここでは下に敷かれた苦みが受け止めてくれます。腕に一吹きして三十分ほど置いてから嗅ぐと、花がすっと細くなって、そこからが本番だと分かります。急いで判断せず、この時間を待てるかどうかで印象がずいぶん変わるはずです。
黒そばの蜂蜜とカルダモン:甘さに温度を入れる役
エラを特徴づけているのは、たぶんブラックバックウィートハニーだと思います。日本語にすれば黒そばの蜂蜜で、僕の頭に浮かぶのは色の濃い、鉄っぽさが混ざったあの甘さでした。説明文の honeyed skin という一語がそのまま肌の上で起きている感じがあって、砂糖の甘さとは方向がまるで違います。ここが好きになれるかどうかで、この香水の評価はほとんど決まると言ってよさそうです。
その甘さに温度を足しているのがカルダモンアブソリュートです。説明文は spicy sweetness という言い方をしていて、たしかに吹いた直後に鼻の奥がじんわりします。量としては前に出てきません。それでもこの一本があるおかげで、蜜がぬるく広がらずに立ち上がりました。僕が冬に手を伸ばしがちなのは、たぶんこの温度のせいです。もうひとつ、アンバーグリスが甘さの厚みを担当していて、肌との境目をぼかしてくれます。
シプレアコードとシベット:これもいっしょに香ります
エラをシプレと名乗らせているのが、シプレアコードとパチュリ、それにベチバーです。この三つが足元で組んでいるおかげで、花と蜜が散らばらずに済んでいます。ベチバーは掘り起こした根や、刈ったあとの乾いた草に近い匂いで、甘さの下に細い縦線を引いてくれました。同僚に土の匂いを指摘されたのは、まちがいなくこのあたりの仕事です。アンジェリカルートとキャロットシードも並んでいて、根っこの気配はかなり厚く積んであります。
さらに奥にシベットとシガレットスモークアコードが置かれています。説明文が carnal notes という言葉で書いている部分で、色気が出てくるのはここでした。時計をした手首に鼻を寄せると、革のベルトの匂いと香水の境目が分からなくなる瞬間があります。煙のほうは、誰かが吸っていた部屋の壁紙に残る気配くらいの音量でした。夜にシャツを脱いで襟のあたりを嗅ぐと、花はもう飛んでいて、この蜜と煙だけが残っています。柔らかい服には移りやすいので、その日のうちに洗えない服へ吹くのは避けたほうが無難でした。
正直な注意点
いいところだけ並べても買う前の役に立たないので、僕がつまずいた点を出しておきます。ひとつは真夏の重さです。去年の八月、昼の外出に使って完全に外しました。汗と蜜が混ざると、香りというより体の匂いが濃くなったように感じます。電車のなかで自分でも落ち着きませんでした。昼間のオフィスも同じで、換気の効いていない会議室では持て余します。気温と風がそろっていない場所では、この香水は素直に働いてくれません。
もうひとつは、買う窓口の少なさです。ブランドの他の香水は国内のモールでも見かけるのに、エラだけは単体の取り扱いを見つけられませんでした。しかも基本のサイズが100mLなので、最初の一本としては金額の壁がそれなりにあります。ドル建てで買うことになるため、円での支払い額もその日のレート次第でした。ここを面倒に感じる人は、先に30mLで確かめる手が残っています。
三つめとして、持続も期待したほどではありませんでした。僕の腕では、強く香っているのが2〜3時間、肌の近くに気配が残るのが7時間ほどです。朝に吹いて出かけると、夜の待ち合わせの頃にはほとんど自分では分からなくなっています。そこで僕は、小さいアトマイザーに移して鞄へ入れ、夕方に一度だけ足す形に落ち着きました。この手順を覚えてからは、不満がほとんど消えています。
注意
① 真夏と閉じた場所に弱い。汗と蜜が混ざると匂いが濃くなって、換気の効かない会議室では自分でも落ち着かなくなりました
② 基本が100mLなので、最初の一本には量が多い。エラの単体は国内のモールで見つけられず、ドル建ての買い物になるぶん円での支払い額も動きます

合う人・合わない人
甘い香水と石けん系を一通り持っていて、そろそろ違う骨格を試したい人には気持ちよくはまります。棚の五本目や六本目に置く性格で、一本目に選ぶと使いどころが見つからないまま置物になるはずです。古い革の椅子や、雨のあとの土の匂いにもともと反応してしまう人なら、最初の一吹きでうれしくなると思います。夜に会う予定が多い人ほど、出番は増えるでしょう。
逆に、洗いあがりのような清潔感を香水に求めている人には噛み合いません。ここで香っているのは、化粧をして出かけた人の腕に残る匂いだからです。遠くまで香らせて存在感を出したい人も、たぶん物足りなく感じます。この香りは半径を広げる方向へは動かず、腕を寄せた距離で止まるからです。花の甘さだけを期待している人も、根の苦みで一度つまずくはずでした。
こんな人に合う
- ✓ 甘い香水と石けん系を通り過ぎて、違う骨格を探している人
- ✓ 古い革や、雨のあとの土の匂いにもともと反応してしまう人
合わないかも
- × 洗いあがりのような清潔感を香水に求めている人
使う場所と時間
この香りが機嫌よく働くのは、日が落ちてからの時間でした。金曜の二十一時、グラスの音がまばらに聞こえる店のカウンター。エラはそういう場所の空気とよく釣り合います。気温が下がった秋から冬にかけて、外の冷たい風を通ってきたあとに嗅ぐと、蜜がきれいに立ち上がりました。服装で相性がよかったのは、厚手のニット、起毛のジャケット、それに黒いコートです。つるつるした化繊のシャツに合わせた日は、香りだけが浮いて聞こえました。
仕事の日に持ち出すこともあります。遠くまで飛ばないので、手首に一吹きだけなら夕方の打ち合わせでも量は変えずに済みました。ただし量を間違えると一気に主張が出るので、職場に持っていくときはアトマイザーで一押しに決めています。休日に使うなら、風のある屋外がおすすめです。真夏の日中を外す理由は、先ほど書いたとおりでした。
使う場面
| 仕事・オフィス | △ | 夕方に手首へ一吹きなら収まりますが、換気の効かない会議室では持て余します |
| 夜デート | ◎ | 照明の落ちた店の空気と、蜜と煙がよく釣り合いました |
| 休日 | ○ | 風のある屋外なら、甘さがきれいに立ち上がります |
| 真夏 | × | 汗と蜜が混ざると匂いが濃くなって、昼の外出では完全に外しました |
保管で中身は変わる
置き場所は最後のひと吹きに出ます。僕は以前、別の瓶を洗面台に出しっぱなしにして、吹いた瞬間の匂いだけ酸っぱくなった経験がありました。それ以来、箱に戻して寝室の引き出しへしまう形に切り替えています。エラは蜜の甘さと根の苦みの釣り合いで成り立っているので、どちらか一方が痩せると、途端に間の抜けた匂いになってしまう心配がありました。
100mLを夕方に足しながら使う速さだと、一年やそこらでは到底なくなりません。手元に置く期間が長いぶん、置き場所の差がそのまま残りの何年かに響きます。瓶の見た目が良いので棚に飾りたくなるのですが、ここは我慢のしどころでした。国内でエラの単体を見つけられない以上、次の一本がすぐには届かないという事情もあります。
置き場所と影響
| 直射日光の当たる窓際 | × | 光と温度で中身が先に痛みます |
| 浴室・洗面所 | × | 湿気と温度差が同時にかかります |
| 暖房の近く | × | 温まった状態が続くと香りが痩せます |
| 100mLは減りが遅い | 要注意 | 使い切るまでに年単位でかかるので、置き方の差がそのまま後半の香りに出ます |
口コミの読み方
言われがちなことに、使ってきた側から三つ答えておきます。読むときは、その人がどれくらいの量を、どんな気温で嗅いだのかを想像してみてください。噛み合わない感想の多くは、そこが違うだけでした。
口コミの読み方
| 甘すぎる | 吹いた直後の三十分が甘さの山なので、そこだけで判断されがちです。半径が縮んでからのほうが本体に近く、一吹きに絞ると印象が変わります | |
| 花なのに土くさい | 根と苦みは意図して積んである部分で、シプレと名乗っている以上そこが骨格です。花の甘さだけを期待して嗅ぐとつまずきます | |
| 高すぎる | 100mLが基本サイズなので一回の金額は大きく見えますが、30mLの記載もあるので、まずそちらで肌との相性を確かめる道が残っています |
まとめ
アルキスト エラは、花と蜜、それに乾いた根の苦みが同じ場所で組み合っている一本でした。半径を広げず、腕を寄せた距離で止まります。持続は期待したほど長くないので、夕方に一度足す前提で組み立てると気持ちよく使えます。真夏の日中と換気の効かない会議室だけ外して、秋から冬の夜に寄せてしまえば、棚のなかでいちばん出番の多い瓶になるはずです。国内でエラの単体を見つけられないぶん手間はかかりますが、小さいほうから試せる道は用意されています。甘い一本と石けん系を通り過ぎた人にこそ、腕にのせてみてほしいと思っています。
この記事のまとめ
- ✓花を真ん中に置きながら、黒そばの蜂蜜が甘さを、シプレアコードとベチバーが苦みを受け持つ一本
- ✓僕の腕では強く香るのが2〜3時間、肌の近くで7時間ほど。夕方に一度足す使い方が合いました
- ✓秋から冬の夜に寄せるのが正解。真夏の日中と換気の効かない会議室だけは外すのが無難です
ARQUISTE Ella Eau de Parfum 100mL
参考価格 34,515円前後
70年代ディスコの華やかさを思わせるシプレー調の香りをまといたい人向け。
※本記事はプロモーションを含みます

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