甘さと苦さの混じった、枯れた木の香りです。出だしはジンジャーとグレープフルーツの辛くて苦い立ち上がり、中盤で茶とコーヒーとラムが重なり、最後に乾いたたばこの葉とサンダルウッドが肌に残ります。若さより落ち着きを香りで出したい人に向く1本。
たばこの葉を思わせる香りとして知られています。ただし公式の原料表を見ると、たばこが出てくるのは最後で、その手前には別のものが並んでいます。
この記事でわかること
- 名前になっているたばこが香調のどこに出てくるか
- 容量ごとの使いどころと、国内の価格の帯
- 正規と並行輸入の違い、偽造品を疑う値段の目安
- つける量と場所、どれくらいもつか
結論:たばこは最後にしか来ない、枯れた木の香り
総合評価:4.0 / 5.0 ★★★★★
名前になっているたばこは、公式の原料表ではベースに置かれた2つのうちの1つです。その手前にいるのは茶、コーヒー、ラム、カシス。この嗜好品ばかりの中盤が、焦げた苦さと甘い酒気で「枯れた」印象を作っています。ベースで出てくるたばこも、火をつけた煙ではなく乾かした葉そのものの匂い。
価格は3万円台から6万円台が中心で、50mLなら4万円前後。年齢と場面をかなり選ぶ香りで、20代・30代がつけると香りだけが先に年を取った印象になりやすい。ただ裏を返せば、落ち着きを香りで出したい人にはこれ以上ない道具になります。この方向の香りは今ほとんど作られておらず、代わりがききにくいからです。
クリード タバロメ ミレジムの基本情報
| ブランド | クリード(公式は1760年ロンドン創業をうたう) |
| 商品名 | タバロメ ミレジム |
| 容量 | 50mL / 100mL / 250mL / 490mL(250mLと490mLは詰め替え用でスプレーなし) |
| 価格 | 3万円台〜6万円台が中心(50mLで4万円前後、100mLで5万円台) |
| 香調 | トップ:ジンジャー、ピンクベリー、グレープフルーツ / ミドル:茶、コーヒー、ラム、カシス / ベース:サンダルウッド、たばこ |
| 系統 | 温かい木の香り(公式の説明) |
| 国内の取扱 | 代理店はインターモード川辺。2023年8月に新宿伊勢丹で再上陸 |
たばこの前に何が来るか
公式が公開している原料はこの通りです。
| 公式が挙げている原料 | |
|---|---|
| トップ | ジンジャー・ピンクベリー・グレープフルーツ |
| ミドル | 茶・コーヒー・ラム・カシス |
| ベース | サンダルウッド・たばこ |

香水の紹介記事には、公式と違う原料が書かれていることがあります。古い処方の情報がそのまま引き継がれていたり、他の媒体の記述が写されていたりするためです。ここに載せているのは公式が現在公開している内容です。
公式は、官能的で意志があり、時代を超えた優雅さを備えた温かい木の香りだと説明しています。
トップはジンジャー、ピンクベリー、グレープフルーツ。辛さと苦い柑橘で始まります。
中盤が独特で、茶、コーヒー、ラム、カシスが並びます。嗜好品ばかりで、香水の原料表としては珍しい並びです。コーヒーの焦げた苦さとラムの甘い酒気が、この香りの「枯れた」印象を作っています。
ベースはサンダルウッドとたばこの2つだけ。名前になっているたばこは、ここで初めて出てきます。
たばこといっても、火をつけた煙の匂いではありません。乾燥させた葉そのものの匂いで、甘さと苦さが混じっています。中盤のコーヒーとラムから続けて嗅ぐと、葉巻を吸う人の部屋のような空気になる。
この方向の香りは今ほとんど作られていません。そのぶん個性は強く、代わりがききにくい1本ではあります。
容量と価格の目安
公式が出している容量はこの通りです。
| 容量 | 使いどころ |
|---|---|
| 50mL | 日常の主軸 |
| 100mL | 定番として使い込む |
| 250mL | 詰め替え用の大容量 |
| 490mL | 詰め替え用の大容量 |
大容量は詰め替え用のボトルで、スプレーが付きません。使い続けると決めた香りに移るときの選択肢です。まず1本目を選ぶ段階なら、スプレー付きの容量から。
クリードは日本で買うと高いブランドです。正規の取扱では、容量にもよりますが3万円台から6万円台が中心の帯になります。50mLで4万円前後、100mLで5万円台という見当をしておくと大きくは外れません。香水としては最上位の価格帯で、ニッチ系と呼ばれるブランドの中でも高いほうに入ります。
日本で買うときに知っておくこと
クリードは2023年8月に新宿伊勢丹で日本へ再上陸しました。国内の代理店はインターモード川辺で、正規品はここを通ったものになります。ただし取扱店はごく限られていて、地方では現物に触れる機会がほとんどありません。
そのため、日本で流通しているクリードの多くは並行輸入品です。個人や業者が海外から仕入れたもので、これ自体は違法ではない。ただ、正規と並行では扱いが変わります。
| 正規(伊勢丹など) | 並行輸入 | |
|---|---|---|
| 価格 | 定価。3〜6万円台 | 2〜4割安いことが多い |
| 保証 | 国内の窓口がある | 販売店ごと |
| 保管 | 管理されている | 経路が読めない |
| 刻印サービス | 受けられる | 対象外 |
価格差は小さくありません。ただし香水は熱と光で変わるので、輸送と保管の経路が読めないことは実質的なリスクです。極端に安いものには理由があると考えたほうがいい。
偽造品も存在します。クリードは世界的に模造の多いブランドで、ボトルの作り込みまで似せたものが出回っています。定価の半額を大きく下回るような値付けは、まず疑ってかかったほうがいい。
どうつけて、どれくらいもつか
クリードは香料の濃度が高く、少量で足ります。普段どおりの感覚で3プッシュも4プッシュも使うと、確実に多すぎます。
つける量と場所
- 1〜2プッシュから始める。足りなければ次の日に増やす
- 首すじ・耳の後ろ:人に届きやすい。仕事の場では控えめに
- 手首・肘の内側:動くたびに立ち上がる
- 腰まわり・膝の裏:下から穏やかに上がってくる。量を間違えにくい
つけた直後の30分は、自分でも強く感じます。そこで判断せず、1時間後の残り方で量を決めるといい。
香りが弱いと感じたときに足すのは、たいてい間違いです。人は自分の匂いに数分で慣れるので、自分に届かなくなった時点でも周りにはまだ届いています。「弱くなった気がする」で足していくと、外から見た量は倍になっている。自分の鼻を基準にしないことが、この価格帯の香水では特に大事になります。
肌が乾いていると持ちが落ちます。無香料のクリームを薄く塗ってからつけると、同じ量でも残り方が変わる。量を増やす前に、こちらを試したほうが安全です。
持続は香りによって差が大きい。柑橘が主役のものは3〜4時間で輪郭がぼやけ、木や樹脂が土台にあるものは半日以上残ります。外出前に一度だけつけて持たせたいなら、後者を選んだほうが現実的です。
残念なところ
まず値段です。3万円を超える買い物になるので、香りが合わなかったときの損失が大きい。この価格帯は「なんとなく良さそう」で買っていい額ではありません。
試せる場所が限られます。国内の正規取扱は都市部の百貨店が中心で、地方だと現物を嗅がずに買うことになりがちです。香水を嗅がずに買うのは、本来いちばん避けたい買い方になります。
ロット差もあります。天然原料の比率が高いぶん、同じ名前でも製造時期で印象が変わることがある。「前に買ったものと違う」という声が出るのは、この作りの裏返しです。
年齢と場面をかなり選びます。20代・30代がつけると、香りだけが先に年を取った印象になる可能性が高い。
たばこを嫌う人が増えているので、香りの由来を説明した時点で受け取られ方が変わることがあります。
ここまでの短所は、裏返すと向く人がはっきりしているということでもある。値段と入手のしにくさで手を出す人が減るぶん街で被らず、年齢を選ぶということは、その年代がつけたときにいちばん似合うということです。合うかどうかさえ先に確かめられれば、残る短所は値段だけになります。
クリードというブランド
クリードは公式の説明によれば1760年にロンドンで始まった家の名前です。もともとは仕立て屋で、手袋に香りを移す仕事から香水へ移っていったとされています。現在まで一族が経営を続けてきたことを掲げていて、そこがこのブランドの語り方の中心になっています。
ただしこの歴史については異論もあります。香水を本格的に作り始めたのは20世紀後半からではないか、という指摘が香水研究の側から出ている。買う前に知っておいて損はない話です。香り自体の質と、掲げている物語は別のものとして見たほうがいい。
作りそのものは評価が定まっています。天然原料の比率が高く、同じ名前の香りでも製造ロットによって微妙に違う。工業製品として完全に均一ではないところを、欠点と取るか個性と取るかで評価が割れます。
買う前に試す
4万円前後の買い物です。しかも国内で試せる場所が限られている。この2つが重なると、嗅がずに買って外す確率が上がります。少量から試す手段を持っておくと、失敗したときの損失が桁で変わります。
あわせて読みたい
- クリードで最初に名前が挙がる1本を知りたいなら、クリード アバントゥスの徹底検証もどうぞ。
- 同じブランドのクリード フルーリッシモの香りもどうぞ。
まとめ:たばこは最後に来る、代わりのきかない1本
クリード タバロメ ミレジム は4万円前後の買い物になります。国内で試せる場所が限られるぶん、嗅がずに買う人が多い香りです。
香りの中身をもう一度並べておきます。トップはジンジャー、ピンクベリー、グレープフルーツ。中盤に茶、コーヒー、ラム、カシスが重なり、ベースはサンダルウッドとたばこの2つだけ。名前になっているたばこが顔を出すのは最後で、それも火をつけた煙ではなく、乾かした葉そのものの甘さと苦さ。
年齢と場面はかなり選びます。ただ、この方向の香りは今ほとんど作られていないので、合う人にとっては替えのきかない1本になる。濃度が高く1〜2プッシュで足りるので、4万円という額も1本を使い切る時間で割れば見え方が変わるはずです。
少量から試す手段を先に確保しておくと、合わなかったときの損失が小さくなります。
※本記事はプロモーションを含みます

コメント