甘さのない、硬く乾いたウードの香りです。公式が挙げている原料はパチュリ、サフラン、シダー、エレミ、ウードの5つ。甘い材料が1つも混ざらないので、木と樹脂の手触りがそのまま前に出ます。中東の香水で嗅ぐウードを崩さずに探している人に向く1本です。
ウードのシリーズで最初に出た1本です。他の2本と違って分類がアンバーで、花を使わずにウードそのものを立たせています。シリーズの中では最も硬い香りです。
この記事でわかること
- シリーズで花を使わないのはこの1本だけという位置づけ
- 公式が挙げる5つの原料と、甘い材料が入っていない理由
- 容量の選び分けと、正規・並行輸入の違い
- 3万円を超える買い物を、試さずに決めないほうがいい理由
結論:甘さを足さずにウードだけを立たせた1本
シリーズは3本ありますが、花を入れていないのはこれだけです。ほかの2本がダマスクローズで包むのに対し、こちらは甘い方向へ寄せる材料を1つも使っていません。中東の香水を思い浮かべてクルジャンを探しているなら、3本の中でいちばん近いのはこの1本。
ただし、原料を絞る作りには裏返しがあります。サフランとウードはどちらも癖が強く、この2つが合わなければ逃げ場がない。3万円を超える買い物なので、甘さのないウードを探している自覚がある人向けです。裏を返せば、その自覚がある人にとっては代わりの見つかりにくい1本になります。
総合評価:3.8 / 5.0 ★★★★★
メゾン フランシス クルジャン ウードの基本情報
| ブランド | メゾン フランシス クルジャン(2009年設立) |
| 商品名 | ウード |
| 種類 | オードパルファン |
| 香調の分類 | アンバー(樹脂と甘さ) |
| 主な原料 | パチュリ・サフラン・シダー・エレミ・ウード |
| 容量 | 35mL / 70mL / 200mL |
| 価格 | 公式のヨーロッパ向け表示で255ユーロ(70mL)。日本の実売は為替・関税と、正規か並行かで幅が出る |
| 日本での扱い | 公式ブティック(表参道・銀座)と百貨店。日本の公式サイトは無い |
3つのウードの関係
公式が公開している内容はこの通りです。
| 公式の表記 | |
|---|---|
| 香調の分類 | アンバー(樹脂と甘さ) |
| 主な原料 | パチュリ・サフラン・シダー・エレミ・ウード |
| 種類 | オードパルファン |
クルジャンはトップ・ミドル・ベースという分け方で公開していません。香調の分類と主要な原料だけを出す方針です。時間による変化を細かく説明しない代わりに、何でできているかは正確に示す、という考え方だと思います。
香水の紹介記事には、公式と違う原料が書かれていることがあります。他の媒体の記述が写し継がれていたり、古い情報が残っていたりするためです。ここに載せているのは公式が現在公開している内容です。
公式が挙げているのは5つ。パチュリ、サフラン、シダー、エレミ、ウード。
| ウード | サテン ムード | シルク ムード | |
|---|---|---|---|
| 分類 | アンバー | フローラル | フローラル |
| 特徴 | 花を使わない | ダマスクローズで包む | ダマスクローズとパピルス |
| 印象 | 硬く乾いている | 甘く濃厚 | 乾いて静か |
花が入っていないのはこの1本だけです。そのぶんウードの木の質感が直接出ます。
エレミという原料が入っています。フィリピンなどで採れる樹脂で、レモンに似た明るさと松のような香りを併せ持つ。香水では珍しい材料で、これがウードの重さに隙間を作っています。
サフランは革のような乾いた匂いを持つ香辛料。パチュリとシダーも合わせると、甘さのある材料が1つもない構成になっています。
つまりこれは甘くないウードです。中東の香水を想像する人には、シリーズの中でこれが最も近い。
容量と価格の目安
公式が出している容量はこの通りです。
| 容量 | 使いどころ |
|---|---|
| 35mL | 試す・持ち歩く |
| 70mL | 日常の主軸 |
| 200mL | 定番として使い込む |
価格は、公式のヨーロッパ向け表示で255ユーロ(70mL)。日本での実売は、為替と関税、そして正規か並行かで幅が出ます。1つの数字では言い切れないのが実情です。
詰め替え用のレフィルが用意されている香りもあります。本体を買った後の2本目からは、そちらのほうが安くなります。
日本で買うときに知っておくこと
日本では公式ブティックと百貨店で買えます。路面店は表参道と銀座にあり、伊勢丹などの百貨店にも入っている。クリードのように取扱が極端に少ないブランドではありません。
ただし日本の公式サイトは存在しません。かつて使われていたドメインは第三者に売却されていて、今アクセスしても無関係なページに飛びます。検索で出てくる「公式」を名乗るページには注意が要ります。
| 正規(ブティック・百貨店) | 並行輸入 | |
|---|---|---|
| 価格 | 定価 | 1〜3割安いことが多い |
| 保証 | 国内の窓口がある | 販売店ごと |
| 保管 | 管理されている | 経路が読めない |
| 刻印・ギフト包装 | 受けられる | 対象外 |
並行輸入品も多く流通しています。香水は熱と光で変わるので、輸送と保管の経路が読めないことは実質的なリスクです。定価を大きく下回るものには理由があると考えたほうがいい。
つけ方と続き方
クルジャンの香りは輪郭がはっきりしているので、少量で足ります。原料を絞って作っているぶん、多くつけるとその少ない材料が全部強く出ることになる。
つける量と場所
- 1〜2プッシュから始める。足りなければ翌日に増やす
- 首すじ・耳の後ろ:人に届きやすい。仕事の場では控えめに
- 手首・肘の内側:動くたびに立ち上がる
- 腰まわり・膝の裏:下から穏やかに上がってくる。量を間違えにくい
香りが弱いと感じたときに足すのは、たいてい間違いです。人は自分の匂いに数分で慣れるので、自分に届かなくなった時点でも周りにはまだ届いています。自分の鼻を基準にしないことが、この価格帯の香水では特に大事になります。
肌が乾いていると持ちが落ちます。無香料のクリームを薄く塗ってからつけると、同じ量でも残り方が変わる。量を増やす前に、こちらを試したほうが安全です。
オードパルファンとオードトワレでは持続が変わります。香料の濃度が違うためで、トワレのほうが軽く、そのぶん短い。同じ香りで両方ある場合、日中の使い方で選び分けるといいと思います。
期待しないほうがいい点
まず値段です。3万円を超える買い物になるので、香りが合わなかったときの損失が大きい。この価格帯は「なんとなく良さそう」で買っていい額ではありません。
原料を絞る作り方には裏返しがあります。少ない材料で構成されているぶん、合わない材料が1つあると逃げ場がない。複雑な香水なら他の要素で紛れるところが、ここでは紛れません。
似た香りが安価に出回っています。クルジャンは模倣の対象になりやすいブランドで、「〇〇に似ている」と称する香水が多く売られている。本物を買う理由を自分の中で持っておかないと、割高に感じます。
甘さが一切ないので、初めてウードを試す人には厳しい可能性があります。
サフランとウードはどちらも癖が強く、この2つが合わなければ他に逃げ場がありません。
クルジャンというブランド
メゾン フランシス クルジャンは、調香師のフランシス・クルジャンが2009年に立ち上げたブランドです。ニッチ系の中では新しいほうに入ります。
クルジャンはこのブランドを作る前から知られた調香師でした。1995年、25歳のときに手がけたジャン ポール ゴルチエの「ル マル」が世界的に売れて、そこから他社向けの仕事を続けている。他人の名前で売られる香水を作ってきた人が、自分の名前で始めた店という成り立ちです。
2017年にLVMHが過半数の株式を取得しました。資本が入ったことで流通が広がり、日本でも買いやすくなっています。一方で、小さな工房だったころを知る人からは「大きくなりすぎた」という声も出ています。
香りの作り方には一貫した特徴があります。原料の数を絞って、少ない材料をはっきり立たせる。バカラ ルージュ 540が公式には3つの原料しか挙げていないのが象徴的で、複雑さより輪郭で勝負する作りです。
先に試す方法がある
4万円前後の買い物です。原料を絞った作りなので、合わない材料が1つあると全体が駄目になる。この構造は、試さずに買うことのリスクを普通の香水より大きくします。
あわせて読みたい
- クルジャンで最初に名前が挙がる1本を知りたいなら、バカラ ルージュ 540の徹底解説もどうぞ。
- 同じブランドのクルジャン ア ラ ローズの香りもどうぞ。
まとめ:甘くないウードを、試してから選ぶ
メゾン フランシス クルジャン ウード は4万円前後の買い物になります。原料を絞った作りなので、合わない材料が1つあると全体が駄目になります。
だからこそ、買う前に肌の上で試す順序を崩さないほうがいい。
香りの要点は単純です。パチュリ、サフラン、シダー、エレミ、ウードの5つだけで組まれていて、甘い材料は1つも入っていません。だから中東の香水を思い浮かべる人には、シリーズの3本でこれがいちばん近い。癖の強さのぶん好みは割れますが、合った人にとっては代わりを探しにくい香りになります。
買う場所でも結果は変わります。並行輸入は1〜3割安いことが多い一方、輸送と保管の経路が読めません。香水は熱と光で変わるので、価格差だけで選ぶのは危ない。正規なら国内に窓口があり、刻印やギフト包装も受けられます。安さと安心のどちらを取るかは、使い方で決めていいと思います。
メゾン フランシス クルジャン ウードに近い方向で探すなら
似た方向で探すなら、この3本が候補になります。同じ香りではないぶん、何が近くて何が違うのかを書いておきます。
| 銘柄 | 価格の目安 | 近いところ | 違うところ |
|---|---|---|---|
| ノンフィクション フォーレストオードパルファン | 18,400円〜 | 同じアンバー・オリエンタルの方向 | ヒノキが入り、和の木の香りになる |
| ジョー マローン ロンドン ダーク アンバー&ジンジャー リリー コロン インテンス | 23,650円〜 | アンバーが重なる | ジンジャーが入り、ぴりっとした辛みが出る |
| イソップ ミラセッティ | 23,870円〜 | シダーが重なる | ミルラが入り、薬っぽさが出る |
どれも代わりにはなりません。「近い方向をもう1本持ちたい」のか「これの代わりを安く済ませたい」のかで、選ぶ先が変わります。
※本記事はプロモーションを含みます

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