メゾン マルジェラのレプリカは、香りに場所と年号を添えて売る珍しいシリーズです。オータム バイブスに付いているのは「モントリオール, 2018」。カナダの秋を写し取ったという建て付けになっています。
僕はこの香りを持っていません。だから使用感を語ることはせず、公式が公表している原料と設計から読み取れることを整理します。
秋の森を、丸ごと写し取ろうとした香り
香調はウッディースパイシー。公式の説明は「森林の歩道と紅葉の香り」です。
香水の森というと、針葉樹の爽やかさに寄せたものが多い。この香りはそちらではなく、地面のほうを向いています。落ち葉、苔、樹液。踏むと乾いた音がする歩道。公式の描写に出てくるのは、見上げる景色ではなく足元の景色です。
だから澄んだ空気の香りを期待すると、少し湿った印象を受けるはずです。
「モントリオール, 2018」が指しているもの
レプリカのラベルにある地名と年は、原料の産地でも発売年でもありません。再現しようとした場面の座標です。
| 表記 | 意味 |
|---|---|
| モントリオール | カナダ東部。メープルの紅葉で知られる |
| 2018 | 再現の対象になった年。発売年とは限らない |
| REPLICA | 複製の意。実在の情景を写すというシリーズの名前 |
モントリオールの秋は9月末から10月にかけてで、街路樹が一斉に色を変えます。その時期の森を歩いたときの空気、というのがこの香りの出発点です。
原料の並びを見る
| 段階 | 原料 | 役割 |
|---|---|---|
| 最初 | ピンク ペッパー、コリアンダー、カルダモン | 弾ける刺激。踏んだ落ち葉の乾いた音に当たる |
| 中盤 | キャロット シード、ナツメグ、オリバナム | 土と根の匂い。乳香が奥行きを足す |
| 最後 | シダーウッド、モス、ファー バルサム | 苔と樹皮。ここが一番長く残る |
公式が主要な香りとして挙げているのは、シダーウッド・モス アコード・ピンク ペッパー・カルダモンの4つです。
注目したいのはキャロット シード。人参の種から採る原料で、土っぽさと甘さを同時に持ちます。森の地面を表現するとき、この原料が効きます。
公式は原料の採り方まで公開しています。ピンクペッパーは一般的な高温抽出ではなく、常温で抽出する方法を使っている。熱をかけないぶん、実際のピンクペッパーに近いスパイシーさが残るという説明です。
ベースのモス アコードも、土や樹皮の質感を残しながら温度を持たせた調整になっています。苔をそのまま置くのではなく、湿った森の床として組み立てているわけです。
ファー バルサムはモミの樹脂。針葉樹の要素はここに入っていますが、主役ではありません。
立ち上がりから残り香まで
ピンクペッパーとカルダモンが先に出るので、最初の数分はスパイスが目立ちます。ここだけ嗅ぐと、想像より鋭いと感じるかもしれません。
30分ほどでキャロットシードとオリバナムに移り、輪郭がやわらぎます。最後に残るのはシダーウッドとモス。公式はこのシダーウッドについて「ドライさや樹脂っぽさを抑えたクリーミーさ」と説明していて、とがった木の香りではないことがわかります。
向く場面と、向かない場面
| 場面 | 向き | 理由 |
|---|---|---|
| 秋の外出 | ◎ | 設計そのものがこの季節に合う |
| 室内の仕事 | ○ | 木と苔が中心なので広がりすぎない |
| 真夏 | △ | スパイスと樹脂が重く出やすい |
| 食事の席 | △ | 土の匂いが料理とぶつかることがある |
量と場所で印象が変わる
つけ方の目安
- オードトワレなので1〜2プッシュで足りる
- 首すじより腰まわりのほうが穏やかに出る
- 服にかけると苔の残り香が長く居座る
スパイスが立つ香りは、量を増やすと刺激だけが前に出ます。少なめから試すほうが失敗しません。
レプリカの他の木の香りとどう違うか
| 銘柄 | 情景 | 違い |
|---|---|---|
| オータム バイブス | 秋の森の歩道 | 苔と土。屋外の湿り気 |
| バイ ザ ファイヤープレイス | 暖炉のそば | 煙と栗の甘さ。屋内で乾いている |
| ジャズ クラブ | 酒場 | ラム酒とタバコ。人工物の匂い |
同じウッディーでも、オータム バイブスだけが屋外を向いています。3本を並べると性格の違いがはっきりします。
レプリカには2つの系統があります。実在の場所と年を持つメモリーと、空想の情景を扱うファンタジー。オータム バイブスは前者で、モントリオールという実在の街が紐づいています。
どちらが上ということはありません。ただ、場所を持つ香りのほうが説明しやすく、人に伝えるときに困りません。
気になるのはこのあたり
季節がはっきり限定されます。秋に合わせて作られている以上、真夏に使うと重く感じる場面が出てきます。
キャロットシードとモスは、好き嫌いが分かれる原料でもあります。土の匂いを不快と感じる人には向きません。
もうひとつ、100mLは500回ぶんに相当します。秋だけ使うなら数年かけて使う量なので、箱に入れて暗所に置くなど、保管のほうを整えておくと安心です。
買う前に考えておきたいこと
| 容量 | 価格 | 向く人 |
|---|---|---|
| 30mL | 12,210円 | 季節限定で使う人 |
| 100mL | 24,970円 | 通年で主軸にする人 |
この香りは30mLで十分に足ります。秋の3か月で使い切る量として、そのくらいがちょうどいい。
30mLのボトルは、スプレーヘッドが工具なしで外せる作りになっています。手持ちのアトマイザーへ移し替えられるほか、使い切ったあとに一輪挿しとして使う人もいる。100mLのほうはコットンのラベルが巻かれていて、こちらは見た目が主張します。
置き場所を決めてから容量を選ぶ、という順番でも失敗しません。
店頭のテスターは紙に吹いたものが多く、肌にのせたときの出方まではわかりません。3万円近い買い物になる前に、少量で確かめる方法を持っておくと判断が早くなります。
まとめ
オータム バイブスは、秋の森の足元を写した香りです。落ち葉と苔と土。爽やかさを期待すると外れます。
季節を絞って使うぶんには、これ以上ないくらい狙いが明確な1本といえます。使う時期が決まっているなら30mL、通年で使う気があるなら100mL。そこだけ先に決めておけば、買ってから迷うことはありません。
取扱の有無と在庫は店によって分かれます。まとめて確認しておくと早い。
※本記事はプロモーションを含みます









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