マルジェラのレプリカで冬の定番として名前が挙がるのが、バイ ザ ファイヤープレイスです。暖炉のそばという場面をそのまま香りにした一本で、レプリカの中でも指名買いされる部類に入ります。僕はこれを持っていないので、使った感想ではなく、公式が公開している原料と設計の話をします。
暖炉のそばを、匂いだけで再現している
香調はウッディー アンバー。公式が付けている説明は「燃える暖炉とチェスナッツの香り」です。舞台はフランス、シャモニー。モンブランのふもとにある山岳の街で、年号は1971年が振られています。
この香りが面白いのは、火そのものではなく火のそばにいる状態を写している点です。焦げた木の匂いだけを強調すると煙たくなりますが、そこに焼いた栗の甘さを重ねることで、部屋の中の温度が入ってくる。窓の外は雪で、室内は暖かい、という温度差が香りの骨格になっています。
「シャモニー, 1971」が置かれている理由
| 表記 | 指しているもの |
|---|---|
| シャモニー | フランス東部の山岳リゾート。冬は氷点下が続く |
| 1971 | 再現の対象になった年。発売年とは無関係 |
| ウッディー アンバー | 木と樹脂で温かさを作る構成の呼び名 |
レプリカは香りに場所と年を添えるシリーズです。原料の産地ではなく、再現しようとした場面の座標だと考えるとわかりやすい。シャモニーという寒冷地を指定していることで、この香りが暖かさを主題にしていることが最初から示されています。
原料の並びを追う
| 段階 | 原料 | 役割 |
|---|---|---|
| 最初 | ピンク ペッパー、クローブ、オレンジ フラワー | 火の粉のような弾ける刺激 |
| 中盤 | チェスナッツ アコード | 焼いた栗。この香りの中心 |
| 最後 | バニラ、ペルーバルサム、カシュメラン | 樹脂と甘さ。長く残るのはここ |
公式が主要な香りとして並べているのは、チェスナッツ・ピンク ペッパー・クローブ・カシュメランの4つです。中盤がチェスナッツ アコード一本で構成されているのは珍しく、それだけこの原料に寄りかかった設計だとわかります。
ペルーバルサムは中南米の樹木から採れる樹脂で、バニラに似た甘さと薬っぽさを併せ持ちます。カシュメランは合成香料で、ムスクとウッディーの中間のような、粉っぽく温かい質感を出す原料です。この2つが暖炉の残り火にあたる部分を担っています。
なぜ冬に強いと言われるのか
香りの拡散は気温に左右されます。寒いと分子が飛びにくく、香りは弱く感じられる。だから冬は、もともと重さのある香りのほうが本来の姿で立ち上がります。
バイ ザ ファイヤープレイスは樹脂と甘さで組まれていて、まさにその条件に当てはまります。逆に夏場は、同じ量でも甘さが膨らんで重く出る。季節をまたぐと印象が別物になるタイプです。
季節ごとの目安
- 11月から3月がいちばん本領を出す
- 梅雨時と真夏は量を半分に落とす
- 室内では1プッシュで足りる。閉じた空間では蓄積しやすい
似た方向の香りとの違い
| 銘柄 | 火の扱い | 印象 |
|---|---|---|
| バイ ザ ファイヤープレイス | 暖炉のそば。焼いた栗の甘さ | 屋内で、温かい |
| ジャズ クラブ | 酒場のタバコ。ラム酒 | 屋内で、大人びている |
| オータム バイブス | 屋外の森。落ち葉と苔 | 屋外で、湿っている |
同じ木の系統でも、この3本は舞台がまるで違います。バイ ザ ファイヤープレイスは甘さがはっきりあるぶん、香水に慣れていない人にも受け取りやすい。最初の一本として挙げられることが多いのはそのためです。
手放しには勧められない点
まず、季節がはっきり限られます。年間を通して主軸にするには甘さが強く、夏に使うと重さが目立ちます。
甘い香りが苦手な人にも向きません。チェスナッツとバニラとペルーバルサムが重なるので、全体としてはデザート寄りに感じられる場面があります。
もうひとつ、人気があるぶん被りやすい。街ですれ違って気づくくらいには広まっている香りです。個性を求めるなら別の選択肢を考えたほうがいいかもしれません。
容量と、買う前に確かめること
| 容量 | 価格 | 向く人 |
|---|---|---|
| 30mL | 12,210円 | 冬だけ使う人 |
| 100mL | 24,970円 | 毎年の定番にする人 |
冬の3〜4か月に絞って使うなら30mLで足ります。1プッシュを0.1mLとすると300回ぶんで、毎日使っても1シーズンは持たない量ではありません。開封後の香りの寿命が1〜3年であることを考えると、大きく買いすぎないほうが結果的に無駄になりません。
甘さの許容量は人によって差が大きい原料構成です。店頭のテスターは紙に吹いたものが多く、肌の上でどう転ぶかまではわかりません。2万円を超える買い物になる前に、少量を肌にのせて確かめる方法があると判断が早くなります。
まとめ
バイ ザ ファイヤープレイスは、暖炉の火ではなく暖炉のそばにいる状態を写した香りです。焼いた栗の甘さと樹脂の温かさで、寒い時期にいちばん映えます。
季節を絞って使うぶんには狙いが明確で、外しにくい一本といえます。使う時期が冬に限られると分かっているなら30mL、毎年の定番にする覚悟があるなら100mL。そこを先に決めておけば迷いません。
取扱の有無と在庫は店によって分かれます。まとめて確認しておくと早い。
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