レプリカが扱う場所は、パリやフィレンツェのようなヨーロッパの都市が中心です。その中で上海を選んだ一本があります。スプリングタイム イン ア パーク。2019年の上海の公園、という設定を持つ香りです。僕はこれを使っていないので、公式が公開している原料と設計から読める話を書きます。
つぼみが開く瞬間を狙った香り
香調はフローラルフルーティー。説明は「花開く季節の甘美な香り」です。公式の描写では、光を浴びた植物が一斉につぼみを開き始める午後、という場面が示されています。
春の香水は多いのですが、この香りが狙っているのは満開ではなくその手前です。開ききる前の、青さが残っている段階。だから甘さの中にわずかな硬さがあります。
「上海, 2019」という選択
| 表記 | 指しているもの |
|---|---|
| 上海 | 中国最大の都市。春は3月から5月 |
| 2019 | 再現の対象になった年。レプリカの中では新しい部類 |
| フローラルフルーティー | 花と果実で構成する枠組み |
レプリカのラベルにある地名と年は、原料の産地ではなく再現する場面の座標です。国際都市の公園という設定は、自然そのものではなく都市の中に作られた自然を指しています。手入れされた緑地の匂い、と考えるとつかみやすい。
原料の並び
| 段階 | 原料 | 役割 |
|---|---|---|
| 最初 | ペア(洋梨)アコード、ベルガモット、カシス | みずみずしさと、わずかな酸 |
| 中盤 | スズラン、ジャスミン、ダマスクローズ | 花の層。ここが主役 |
| 最後 | ムスク、バニラ、アンブロックス | 肌に残る甘さ |
公式が主要な香りとして挙げるのは、スズラン・ジャスミン・洋ナシの3つです。
冒頭のカシスは、黒すぐりの芽から採る原料で、果実の甘さと同時に青くとがった匂いを持ちます。この青さが、開ききっていない花のニュアンスを作っている。ジャスミン グランディフローリウムはインドなどで採れる品種で、濃厚さのある花です。
ベースのアンブロックスは合成の琥珀系原料で、少量で長い残り香を作ります。花の香りは飛びやすいので、この種の原料で下から支えるのが定石です。
スズランも合成に頼る原料のひとつです。この花からは精油が採れないため、香水で使われるスズランはすべて調香師が組み立てたもの。だからブランドごとに解釈が違い、同じスズランでも印象が変わります。
公式が主要な香りの筆頭にスズランを置いているのは、この香りの性格をそこで決めているという意思表示でもあります。
レイジーサンデー モーニングとの近さと違い
| 銘柄 | 共通点 | 違い |
|---|---|---|
| スプリングタイム イン ア パーク | 洋梨とスズランを使う | 花がはっきり出る。甘さが前に |
| レイジーサンデー モーニング | 同じく洋梨とスズラン | 布と肌の質感。花は控えめ |
この2本は冒頭の原料が重なっています。それでも印象が違うのは、中盤以降の作り方が別だから。スプリングタイム イン ア パークは花を主役に据え、レイジーサンデー モーニングは花を素材として布の質感に溶かしています。
レプリカ全体を見ると、洋梨とスズランの組み合わせは何度も出てきます。清潔感を作るときの定石になっているのでしょう。違いは、そこに何を重ねて何を主役にするかにあります。
自分の使う場面に当てはまったなら、こちらです。
向く季節と場面
| 場面 | 向き | 理由 |
|---|---|---|
| 春の外出 | ◎ | 設計そのものがこの季節 |
| 初夏 | ○ | 軽さがあるので暑くても崩れにくい |
| 真冬 | △ | 拡散しづらく、印象が薄くなる |
| 夜のフォーマル | △ | 明るすぎて場面に合わない |
つけ方の目安
- 花の香りは量が増えると急に重くなる。1プッシュから
- 日中に使うほうが設計に合う
- 手首より腰まわりのほうが穏やかにまとまる
気になるところ
まず、日本では100mLしか展開がありません。他の多くのレプリカにある30mLがないので、試してから量を決めるという買い方ができない。ここが一番の障壁です。
季節も限定されます。春に合わせて作られている以上、冬に使うと本来の姿では立ち上がりません。
もうひとつ、花の香りは好みが割れます。ジャスミンとダマスクローズが重なる中盤は、人によっては強く感じられるはずです。
中国の都市を題材にしていることを、購入の判断材料にする人もいます。ただ、香りの中身に上海らしさが直接入っているわけではありません。都市の公園という普遍的な場面を借りているだけで、地域性を期待すると肩透かしになります。
買う前に
| 容量 | 価格 | 備考 |
|---|---|---|
| 100mL | 24,970円 | 日本ではこの1種類のみ |
100mLは1プッシュ0.1mLとして500回ぶんです。春の3か月だけ毎日使っても、1シーズンでは使い切れません。開封後の寿命が1〜3年であることを考えると、複数の季節にまたいで使う想定が必要になります。
小容量の展開がないぶん、最初から100mLを選ぶことになります。気に入れば単価はいちばん安く済むので、先に香りだけ確かめておくと判断が楽になります。
まとめ
スプリングタイム イン ア パークは、花が開ききる前を狙った春の香りです。カシスの青さが甘さを引き締めていて、単なる花の香水にはなっていません。
ただし日本では100mLのみ。試さずに2万円台を払う形になるので、そこをどう埋めるかが実際の判断になります。
取扱の有無と在庫は店によって分かれます。まとめて確認しておくと早い。
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