苦味のある柑橘から、濡れた土と燻した木へ流れていく香りです。出だしは甘さを断った柑橘の皮、中盤でパチョリの黒くぬれた土が前に出て、最後にガイアックの燻した木が肌の近くへ下りていく。石けんのような清潔感ではなく、雨上がりの森の湿った気配を探している人に向く1本。
シャワーという名前ですが、浴室の香りではありません。ノンフィクションのインザシャワー(IN THE SHOWER)が指しているのは夕立のほうです。公式の情報から読み解きます。
この記事でわかること
- インザシャワーが写しているのは夕立が去った森だということ
- カンパリの苦味で甘さを断つ、という香りの設計
- トップからラストへの変化と、5〜7時間という持続
- 50mL 18,400円をどう買うか、試してから決める方法
結論:インザシャワーが写すのは「夕立が去った森」
総合評価:4.3 / 5.0 ★★★★☆
公式の説明は「森と季節が織りなす官能的な風景。カンパリアコードにムードを加えたシトラスウッディの新たな解釈」。
情景としては「夕立が去った森、黒くぬれた土と煤けた木の葉の上を渡るさわやかな風の記憶」と書かれています。
雨そのものではなく雨上がり。しかも濡れた土と焼けた落ち葉という、湿りと乾きが同居する状態を狙っています。
ノンフィクション インザシャワーの基本情報
| ブランド | ノンフィクション(2019年・ソウル) |
| 商品名 | インザシャワー(IN THE SHOWER)オードパルファン |
| 容量 / 価格 | 50mL:18,400円 |
| 香調 | カンパリアコード、シトラス、パチョリ、ガイアック |
| 系統 | シトラスウッディ |
| 題材 | 夕立が去った森、黒くぬれた土と煤けた木の葉 |
| 持続 | おおむね5〜7時間 |
香りの構成と変化:甘くならない柑橘から、土と煙へ
カンパリはイタリアの食前酒です。ハーブと柑橘の皮が効き、そのままでは飲みにくいほど苦い。その苦さを持ち込む狙いは甘さを断つこと。砂糖を足さない柑橘は輪郭だけが残り、その軽さを土と煙が下から支えます。
| 香りの要素 | 役割 |
|---|---|
| カンパリアコード | 苦味のある柑橘。軽快さ |
| シトラス | 明るさ |
| パチョリ | 土。濡れた地面 |
| ガイアック | 燻した木。スモーキーな余韻 |
トップ:苦味を残した柑橘の皮が立ち上がる
立ち上がりは柑橘です。ただし果汁ではなく皮のほう、それも苦味を残した皮。カンパリアコードとシトラスが同時に出るので、明るいのに甘くならない。声を張らずに、近くの人へ届く程度の音量で始まります。
ミドル:パチョリの「黒くぬれた土」が前に出る
柑橘が薄くなると、パチョリの土が前に出ます。公式が書く黒くぬれた土は、ここで効く部分。湿りと乾きが同居するという設計は、この重なりを指しているはずです。自分の鼻は先に慣れるので、いちばん張っている時間を取り逃しやすい。
ラスト:残るのはガイアックの燻した木
最後に立っているのはガイアックです。燻した木の余韻が土の湿りをゆっくり乾かし、柑橘の苦味は気配だけになる。香りは肌に近いところまで下りていきます。焚き火の残り香に似た質感で、好みが割れるのもこの段階。
合う場面と季節:湿度の高い日ほど噛み合う
| 場面 | 向き | 理由 |
|---|---|---|
| 梅雨から夏 | ◎ | 湿度と設計が噛み合う |
| 秋 | ◎ | 落ち葉の要素が効く |
| 職場 | ○ | スモーキーさは量で調整 |
| フォーマル | △ | カジュアル寄りに出る |
朝に一度つければ、土と煙が出てくる頃には夕方になります。秋は、焼けた落ち葉の要素が外の空気と重なる。湿度の高い日は立ちやすいので量を欲張らず、厚手の上着より綿や麻のシャツの日に向きます。職場なら腰まわりに一度だけ、下から立ち上げると持て余しません。
量の目安
- 1プッシュ。スモーキー系は増やすと重い
- 下半身につけると穏やかに立ち上がる
- 湿度の高い日はさらに控える
つけ方と持続:朝つけて夕方まで
オードパルファンなので、1〜2プッシュで足ります。
オードパルファンの持続はおおむね5〜7時間です。朝につければ夕方まで残る計算になります。
韓国のブランドは、欧州の老舗に比べて拡散が穏やかに作られている傾向があります。満員電車や会議室で持て余しにくい反面、すれ違いざまに気づかせる力は弱い。近い距離にいる人にだけ届く、と考えておくと期待を外しません。
つけ直すなら昼過ぎが目安です。ただし自分の鼻は最初の30分で慣れてしまうので、「消えた」と感じても他人にはまだ届いていることがあります。足す前に一度、服の袖などで確かめるほうが安全です。
つけ方が決まったら、あとは買うだけです。
容量の選び方
| 容量 | 使いどころ |
|---|---|
| 30mL | 試す・持ち歩く |
| 50mL | 日常の主軸 |
| 100mL | 定番にする |
ブランドについて
ノンフィクションは2019年にソウルで始まったブランドです。フレグランスとボディケアを軸に、店舗の設計まで含めて世界観を作り込んでいます。
香りの名前が「サンタルクリーム」「オープンアームズ」のように情景や状態を指す言葉で付けられているのが特徴で、何の匂いかを名前から読み取れるものと、読み取れないものが混在しています。
韓国のフレグランスブランドが日本で存在感を持ち始めたのは、ここ数年のことです。スキンケアやメイクで先に市場を取り、そこから香りへ広げてきた。価格帯も欧州のニッチ系と並ぶところまで上がっています。1万円台後半から2万円台という設定は、ジョー マローンやディプティックと同じ帯です。つまり価格で選ばれることを前提にしていない。世界観と香りそのもので勝負する、という立ち位置になります。
惜しいところ
試せる場所が限られます。日本での取扱店舗はまだ少なく、地方では現物に触れる機会がほぼありません。
情報も少ない。欧州の老舗と違って、原料の産地や調香師まで公開されている香りは限られます。
転売品にも注意が要ります。韓国から個人輸入した品が国内で流通していますが、輸送中の温度も保管状態も読めません。香りは熱と光で変わるので、定価より極端に安いものは理由を確認したほうがいい。
スモーキーな要素は好みが割れます。焚き火や煙を連想する人もいて、日常でまとうことに抵抗を覚えるかもしれません。
名前と中身がずれているのも難点です。シャワーという言葉から浴室を想像すると、まったく違う香りが出てきます。
裏を返せば、取扱いが少ないぶん街で誰かと重なりません。煙の質感を面白がれる人、名前と中身のずれごと楽しめる人には、ここまでの難点がそのまま選ぶ理由へ回ります。清潔感のある無難な一本を探しているなら、素直に別の香りへ行くほうが早い。
どの容量を買うか
日本では公式オンラインと一部の百貨店・セレクトショップで買えます。
| 容量 | 価格 |
|---|---|
| 50mL | 18,400円 |
並行輸入や個人輸入の品も出回りますが、保管状態は読めません。正規の流通で選ぶほうが確実です。
買う前に確かめる
1万8千円近い買い物になります。しかも名前から想像する匂いとは、中身がはっきり違う一本。少量から試す方法を持っておくと、失敗の幅が小さくなります。
あわせて読みたい
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まとめ:夕立が去った森を、甘さを断った柑橘で写した一本
インザシャワーは、浴室ではなく夕立が去った森を写した香りです。カンパリの苦味が、甘くならない柑橘を作っています。
湿りと乾きが同居する構成は珍しい。名前から想像する匂いとは違うので、試してから判断すべき一本です。
噛み合うのは湿度の高い日です。梅雨から夏、そして落ち葉の要素が効く秋。綿や麻のシャツを着る日に、腰まわりへ1プッシュ。それで朝から夕方まで持ちます。逆に、フォーマルな場ではカジュアル寄りに出るので、そこは外したほうが無難でしょう。
引っかかるのは、試せる場所が限られることと、スモーキーな要素で好みが割れること。ただ、割れる香りはハマった人に深く刺さります。取扱いが少ないぶん街で誰かと重なることもない。1万8千円を一度で決めずに、少量から試して自分の肌で確かめる。その順番なら、外したときの痛手も小さく済みます。
※本記事はプロモーションを含みます

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