重く粉っぽいムスクを、白い花で薄めた香りです。出だしは白い花の上品さと粉っぽさが同時に来て、中盤はシプリオールの土の質感が前に出る。最後はベンゾインのバニラに似た甘さが肌の近くに残ります。洗濯物のように清潔なムスクでは物足りない人に向く1本です。
グレーという色は、白と黒のあいだにあります。ノンフィクションのザ・グレー(THE GREY)が扱っているのも、その中間です。僕はこれを持っていないので、公表されている内容から読み取れることを整理します。
この記事でわかること
- ザ・グレーの香りの正体(ムスクの階調だけで濃淡を作るという発想)
- ダークムスク・シプリオール・マグノリア・ベンゾインが担う役割
- 届く距離と持続時間、つけ直しの目安
- 50mLで22,000円という価格をどう判断するか
結論:ザ・グレーは「ムスクだけで濃淡を作る」香り
総合評価:4.3 / 5.0 ★★★★☆
公式の説明は「繊細かつ力強いダークムスクとマグノリアの柔らかいコントラストが、肌に神秘的な香りの跡を残します」。
そして「表現するのは、境界を恐れない大胆さ。ムスクの幅広い濃度と彩りのスペクトラムを映し出す、大胆なシルエット」と続きます。
ムスクだけで濃淡を作るという発想です。普通は花や木で色を付けますが、この香りはムスクの階調そのものを主題にしています。
ムスクと一口に言っても幅は広く、洗濯物のように清潔なものから動物的なものまでが同じ名前で呼ばれます。ザ・グレーが選んだのは、そのなかで重く粉っぽい、肌に近い側のダークムスクです。
ノンフィクション ザ・グレーの基本情報
| ブランド | ノンフィクション(2019年・ソウル) |
| 商品名 | ザ・グレー(THE GREY) オードパルファン |
| 容量 / 価格 | 50mL:22,000円 |
| 香調 | ダークムスク/シプリオール/マグノリア/ベンゾイン |
| 系統 | ムスク。重く粉っぽい、肌に近い側のダークムスク |
| 題材 | 白と黒のあいだ。ムスクの階調そのもの |
香りの変化:粉っぽいムスクから、ベンゾインの甘さへ
濃淡を作っているのは、公式が挙げる四つです。
| 原料 | 役割 |
|---|---|
| ダークムスク | 基調。重く粉っぽい |
| シプリオール | クールで落ち着いた土の質感 |
| マグノリア | 白い花。上品さ |
| ベンゾイン | 安息香。バニラに似た甘さ |
聞き慣れないシプリオールは、インドの草の根から採る原料です。土と煙の中間のような匂いを持ちます。
どれがいつ立つかまでは公表されていません。以下は公式の記述から読み取れる範囲です。
トップ:白い花と粉っぽさが同時に来る
吹きかけた直後から、白い花の上品さと粉っぽさが同時に来ます。公式の言う「柔らかいコントラスト」は、どちらが先に立つでもなく最初から重なっている、という意味に読める。腕を上げたとき自分の鼻が拾う程度です。
ミドル:前に出るのはシプリオールの土の質感
しばらくすると重心が下がります。粉っぽいムスクとシプリオールの土の質感が前に出て、白い花はその上に薄くかかる程度になる。届く範囲はちょうど半歩ぶんで、手を伸ばせば触れる相手にしか分かりません。この顔がいちばん長く続く。
ラスト:ベンゾインのバニラに似た甘さが残る
終わりに近づくと、残るのはベンゾインのバニラに似た甘さと、ムスクの粉っぽさだけです。肌の内側に入ったような出方になり、腕を鼻に近づけないと分からない。他人に届く距離はなくなりますが、服には気配が残っています。
どうつけて、どれくらいもつか
オードパルファンなので、1〜2プッシュで足ります。
つける場所の目安
- 首すじ・耳の後ろ:最も届く。人に伝えたいとき
- 手首:動作のたびに香る
- 腰まわり:下から穏やかに立ち上がる
- 服:残りやすいが、本来の出方はしない
オードパルファンの持続はおおむね5〜7時間です。朝につければ夕方まで残る計算になります。
韓国のブランドは、欧州の老舗に比べて拡散が穏やかに作られている傾向があります。満員電車や会議室で持て余しにくい反面、すれ違いざまに気づかせる力は弱い。
つけ直すなら昼過ぎが目安です。ただし自分の鼻は最初の30分で慣れてしまうので、「消えた」と感じても他人にはまだ届いていることがあります。足す前に一度、服の袖などで確かめるほうが安全です。
使う場面
| 場面 | 向き | 理由 |
|---|---|---|
| 秋冬の夜 | ◎ | 重心の低さが整う |
| きちんとした席 | ◎ | 大人びた印象 |
| 職場 | △ | ムスクの重さは好みが割れる |
| 夏の日中 | △ | 汗と混ざると重い |
秋から冬の夜がいちばん噛み合います。厚手の上着に囲まれた席なら、腰まわりに1プッシュ。下から立ち上がり、動くたびに上着の内側から出てきます。
きちんとした席でも量は多くて2プッシュまで。首すじに付ければ向かいの相手には届き、テーブルの端までは行きません。
夏の日中と職場は、手首に1プッシュだけで様子を見る。汗と混ざると重くなり、好みも割れます。
合う場面が見えたら、あとは扱いのある店を見るだけです。
このブランドのこと
ノンフィクションは2019年にソウルで始まったブランドです。フレグランスとボディケアを軸に、店舗の設計まで含めて世界観を作り込んでいます。
香りの名前が「サンタルクリーム」「オープンアームズ」のように情景や状態を指す言葉で付けられているのが特徴で、何の匂いかを名前から読み取れるものと、読み取れないものが混在しています。
韓国のフレグランスブランドが日本で存在感を持ち始めたのは、ここ数年のことです。スキンケアやメイクで先に市場を取り、そこから香りへ広げてきた。価格帯も欧州のニッチ系と並ぶところまで上がっています。1万円台後半から2万円台という設定は、ジョー マローンやディプティックと同じ帯です。つまり価格で選ばれることを前提にしていない。世界観と香りそのもので勝負する、という立ち位置になります。
惜しいと感じたところ
試せる場所が限られます。日本での取扱店舗はまだ少なく、地方では現物に触れる機会がほぼありません。
情報も少ない。欧州の老舗と違って、原料の産地や調香師まで公開されている香りは限られます。
転売品にも注意が要ります。韓国から個人輸入した品が国内で流通していますが、輸送中の温度も保管状態も読めません。香りは熱と光で変わるので、定価より極端に安いものは理由を確認したほうがいい。
ダークムスクは体臭と混ざったときの出方が読みにくい素材です。人によって清潔にも官能的にも転びます。
22,000円という価格も、シグネチャー系の18,400円より上。その差額を説明できるかが判断になります。
どこで買うか
日本では公式オンラインと一部の百貨店・セレクトショップで買えます。
| 容量 | 価格 |
|---|---|
| 50mL | 22,000円 |
並行輸入や個人輸入の品も出回りますが、保管状態が読めません。香りは熱と光で変わるので、正規の流通で買うほうが確実です。
買う前に確かめる
2万2千円近い買い物になります。韓国のフレグランスは日本で試せる店舗がまだ限られていて、実物に触れずに買う人が多い。
あわせて読みたい
- 評価が割れる香りの実際を知りたいなら、ザ・ベージュのレビューもどうぞ。
- 同じブランドのノンフィクション ボワ・ド・イランもどうぞ。
まとめ:ムスクの階調だけで中間色を描いた一本
ザ・グレーは、ムスクの階調だけで濃淡を作った香りです。花や木で色を付けず、中間色そのものを主題にしています。
肌の上での出方が読みにくい素材なので、試さずに買うのは勧められません。
価格は50mLで22,000円。シグネチャー系の18,400円より上なので、その差額を説明できるかが分かれ目になります。取扱店舗はまだ少なく、地方では現物に触れる機会がほぼない。裏を返せば、街で人と重なりにくい香りでもあります。
噛み合うのは秋から冬の夜と、きちんとした席。厚手の上着の内側から立ち上がる出方がいちばん活きます。夏の日中と職場は手首に1プッシュだけで様子を見るのが無難。届く範囲は半歩ぶんで、すれ違いざまに気づかせる力は弱いぶん、近い距離の相手にだけ伝わります。
※本記事はプロモーションを含みます

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