メゾン フランシス クルジャンは、調香師フランシス・クルジャンが自分の名前で立ち上げたメゾンです。ディオールやジャンポール・ゴルチエの香りを手がけてきた人が、制約なしに組んだらどうなるか。それがこのブランドの中身です。
日本で名前が広まったきっかけは、間違いなくバカラ ルージュ 540でした。ただ、あの1本だけでこのメゾンを判断するのはもったいない。僕はここで26本をレビューしています。
クルジャンの面白さは、少ない原料で作り分けるところにあります。名前が似た香りが多いのも、同じ主題を違う角度から解いているからです。その対応関係が分かると、選ぶのが一気に楽になる。
まず「対になっている香り」を知る
クルジャンには、意図的に対を成す銘柄がいくつもあります。ここを知らずに名前だけ見ると、似た商品が並んでいるようにしか見えません。
- アブソリュ プール ル ソワールとアブソリュ プール ル マタン。夜と朝
- ジェントル フルーイディティ ゴールドとジェントル フルーイディティ シルバー。同じ材料で別の香り
- マスキュラン プルリエルとフェミナン プルリエル。男性名詞と女性名詞
- アミリス オムとアミリス ファム。アミリスという原料の解き方
- ア ラ ローズとロー ア ラ ローズとロム ア ラ ローズ。バラの3通り
気になった名前の相方も一緒に読むと、クルジャンの設計思想がよく分かります。どちらが自分に合うかは、たいてい片方を嗅いだ時点で決まる。
清潔・柑橘から入るなら
香水に慣れていない人、職場で使いたい人はこの列から。アクアのシリーズは4本あって、性格がそれぞれ違います。
- アクア ユニヴェルサリス。アクア4種の基準になる1本
- アクア セレスティア。ミモザとカシスの芽
- アクア ヴィテ。原料3つの柑橘
- アクア メディア。フェンネルが入る柑橘
- プティ マタン。早朝を柑橘で作る
- アポム。原料3つでオレンジフラワーを立てる
花で選ぶなら
華やかさが欲しい日、贈り物を探しているならこの列。クルジャンの花は、甘くしすぎないのが特徴です。
- ア ラ ローズ。バラを2種類使うということ
- ロー ア ラ ローズ。ライチが入るとどう変わるか
- ロム ア ラ ローズ。男がバラをつけるという提案
- 724。アルデヒドが入る白い花
- ル ボー パルファム。白い花を4つ重ねる
- フェミナン プルリエル。原料7つの古典的な花
- アミリス ファム。アミリスという原料を知る
甘さ・重さで選ぶなら
夜や冬に効かせたいならこちら。バカラ ルージュもここに属します。強さがあるので、量は控えめに。
- バカラ ルージュ 540。振り返られる甘さと透明感
- グラン ソワール。アンバーを4つの原料で作る
- アブソリュ プール ル ソワール。クミンが入る夜
- アブソリュ プール ル マタン。夜の対になる朝
- ジェントル フルーイディティ ゴールド。同じ材料で別解を出す
- ジェントル フルーイディティ シルバー。ゴールドとの差
- ルフレ ダンブル。革とアンバーを3つで作る
木・ウードで選ぶなら
落ち着きと存在感を両立させたいならこの列です。ウードのシリーズは、包み方の違いで3本に分かれます。
- ウード。シリーズの原点をどう見るか
- ウード サテン ムード。バラで包んだウード
- ウード シルク ムード。パピルスが入るウード
- マスキュラン プルリエル。革が入る木の香り
- アミリス オム。サフランが入る木の香り
- クルキー。原料が2つしかない
バカラ ルージュから始めるべきか
結論から言うと、基準として一度は嗅ぐ価値があります。ただし最初の1本として買うのは勧めません。あまりに有名で、あまりに被るからです。
清潔感で選ぶならアクア ユニヴェルサリス、甘さで選ぶならグラン ソワール。この2本のほうが、日常で使える場面は多い。バカラ ルージュは、自分の好みが定まってから改めて向き合うほうが納得できます。
原料の少なさが、このメゾンの持ち味
クルジャンのレビューを書いていて何度も驚いたのが、構成原料の少なさです。クルキーは2つ、アポムやアクア ヴィテは3つ。数を絞ったぶん、ひとつひとつの輪郭がはっきり出る。
原料が多い香水は複雑さで押しますが、少ない香水は逃げ場がない。素材の質がそのまま出るので、良い原料を使っているかどうかが分かりやすくもある。この潔さが好きなら、原料数の少ない銘柄から試すと、このメゾンの良さが最短で分かります。
逆に「香りの変化を長く楽しみたい」人には物足りないかもしれません。時間による表情の移り変わりより、完成した1枚の絵を差し出すタイプの香りが多い。
弱点は3つ
価格が高い。50mLでも数万円の水準なので、外したときの痛手が大きいブランドです。
名前が似すぎている。アブソリュ、ジェントル フルーイディティ、アミリス、ウード。どれも対になる相方がいるので、店頭で取り違えることがあります。買う前に正式名を控えておいてください。
そして、バカラ ルージュの知名度が高すぎること。良い香りではありますが、香水に詳しい人ほど「またそれか」と思う。人と違うものを求めるなら、あえて外す判断もありです。
買う前に決めておくこと
清潔か、花か、甘さか、木か。この4つのどれで攻めるかを決めてから店へ行くと、対になる銘柄に惑わされません。
容量は小さいものから。クルジャンは香りが強い銘柄が多いので、小さくても使い切るまで時間がかかります。1プッシュで足りるかを確かめてから、大きい容量を考えてください。
店頭で試すときは、同じ日に3本以上は嗅がないこと。強い香りが続くと鼻が慣れて、判断が鈍ります。候補を絞ってから行くのは、そのためでもある。
対を知れば、26本は13組になる
似た名前が並ぶこのメゾンは、対応関係が見えた瞬間に整理されます。まず対を知り、系統を決め、レビューで短所まで確かめる。この順番が近道です。
気になる名前が決まったら、各レビューへ進んでください。このページは新しいレビューが増えるたびに更新します。
※本記事はプロモーションを含みます

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