早朝の空気を写した、澄んだ柑橘です。柑橘の鋭さはサンザシの粉っぽい甘さとラベンダーの薬草感で丸められ、柑橘が飛んだ後もムスクが肌に残る。柑橘の香水はすぐ消えるからと敬遠してきた人に向きます。
夜明けの少し前を指す名前です。柑橘の分類に入っていますが、実際にはサンザシとオレンジフラワーが効いていて、ただの柑橘水にはなっていません。
この記事でわかること
- 公式が挙げる5つの原料と、「早朝」という主題の作られ方
- 柑橘なのにすぐ消えない理由
- 容量ごとの選び分けと、正規・並行輸入の違い
- 買う前に試したほうがいい、この香り特有の理由
結論:朝に絞れば強い、甘くない柑橘
総合評価:3.8 / 5.0 ★★★★★
一言でいえば、朝の空気をそのまま瓶に入れた柑橘です。入口にあるのはリツェアクベバの青く明るい柑橘で、そこへサンザシの杏仁に似た粉っぽさとラベンダーの薬草感が重なり、鋭さが丸められる。花の甘さで押してくる香りではないので、柑橘を甘くしたくない人ほど噛み合います。
柑橘の香水にありがちな「すぐ消える」問題は、土台のムスクである程度片づいている。持続はクルジャンの中では短めですが、そのぶん重くならず、朝から昼にかけての時間帯に絞れば扱いやすい1本です。価格は3万円を超えるので合わなかったときの損失は小さくない。だからこそ、肌の上で試してから決める順序が効きます。
プティ マタンの基本情報
| ブランド | メゾン フランシス クルジャン(2009年創業) |
| 商品名 | プティ マタン |
| 種類 | オードパルファン |
| 容量 | 35mL / 70mL / 200mL |
| 価格 | 70mL:205ユーロ(公式のヨーロッパ向け表示)/日本の実売は3万5千円前後 |
| 香調 | シトラス(柑橘) |
| 主な原料 | リツェアクベバ・ムスク・サンザシ・オレンジフラワー・ラベンダー |
| 題材 | 夜明けの少し前 |
早朝の空気をどう作るか
公式が公開している内容はこの通りです。
| 公式の表記 | |
|---|---|
| 香調の分類 | シトラス(柑橘) |
| 主な原料 | リツェアクベバ・ムスク・サンザシ・オレンジフラワー・ラベンダー |
| 種類 | オードパルファン |
クルジャンはトップ・ミドル・ベースという分け方で公開していません。香調の分類と主要な原料だけを出す方針です。時間による変化を細かく説明しない代わりに、何でできているかは正確に示す、という考え方だと思います。
香水の紹介記事には、公式と違う原料が書かれていることがあります。他の媒体の記述が写し継がれていたり、古い情報が残っていたりするためです。ここに載せているのは公式が現在公開している内容です。
公式が挙げているのは5つ。リツェアクベバ、ムスク、サンザシ、オレンジフラワー、ラベンダー。
リツェアクベバは中国原産の木の実で、レモングラスに似た明るい柑橘の香りを持ちます。レモンそのものより青く、少し草の匂いが混じる。
サンザシが入っているのが独特です。バラ科の低木で、白い小さな花をつける。香水では杏仁に似た粉っぽい甘さを作ります。柑橘の鋭さを丸くする役目です。
ラベンダーの薬草っぽさが加わることで、全体が清潔な方向にまとまっています。この3つの組み合わせが「早朝」という主題を作っている。
ムスクが土台にあるので、柑橘が飛んだ後も肌に残ります。柑橘の香水にありがちな「すぐ消える」問題を、ここである程度解決しています。
いくらで買えるか
公式が出している容量はこの通りです。
| 容量 | 使いどころ |
|---|---|
| 35mL | 試す・持ち歩く |
| 70mL | 日常の主軸 |
| 200mL | 定番として使い込む |
価格は、公式のヨーロッパ向け表示で205ユーロ(70mL)。日本での実売は、為替と関税、そして正規か並行かで幅が出ます。1つの数字では言い切れないのが実情です。
詰め替え用のレフィルが用意されている香りもあります。本体を買った後の2本目からは、そちらのほうが安くなります。
この調香師の来歴
メゾン フランシス クルジャンは、調香師のフランシス・クルジャンが2009年に立ち上げたブランドです。ニッチ系の中では新しいほうに入ります。
クルジャンはこのブランドを作る前から知られた調香師でした。1995年、25歳のときに手がけたジャン ポール ゴルチエの「ル マル」が世界的に売れて、そこから他社向けの仕事を続けている。他人の名前で売られる香水を作ってきた人が、自分の名前で始めた店という成り立ちです。
2017年にLVMHが過半数の株式を取得しました。資本が入ったことで流通が広がり、日本でも買いやすくなっています。一方で、小さな工房だったころを知る人からは「大きくなりすぎた」という声も出ています。
香りの作り方には一貫した特徴があります。原料の数を絞って、少ない材料をはっきり立たせる。バカラ ルージュ 540が公式には3つの原料しか挙げていないのが象徴的で、複雑さより輪郭で勝負する作りです。
つけ方
クルジャンの香りは輪郭がはっきりしているので、少量で足ります。原料を絞って作っているぶん、多くつけるとその少ない材料が全部強く出ることになる。
つける量と場所
- 1〜2プッシュから始める。足りなければ翌日に増やす
- 首すじ・耳の後ろ:人に届きやすい。仕事の場では控えめに
- 手首・肘の内側:動くたびに立ち上がる
- 腰まわり・膝の裏:下から穏やかに上がってくる。量を間違えにくい
香りが弱いと感じたときに足すのは、たいてい間違いです。人は自分の匂いに数分で慣れるので、自分に届かなくなった時点でも周りにはまだ届いています。自分の鼻を基準にしないことが、この価格帯の香水では特に大事になります。
肌が乾いていると持ちが落ちます。無香料のクリームを薄く塗ってからつけると、同じ量でも残り方が変わる。量を増やす前に、こちらを試したほうが安全です。
オードパルファンとオードトワレでは持続が変わります。香料の濃度が違うためで、トワレのほうが軽く、そのぶん短い。同じ香りで両方ある場合、日中の使い方で選び分けるといいと思います。
弱いところも書いておく
まず値段です。3万円を超える買い物になるので、香りが合わなかったときの損失が大きい。この価格帯は「なんとなく良さそう」で買っていい額ではありません。
原料を絞る作り方には裏返しがあります。少ない材料で構成されているぶん、合わない材料が1つあると逃げ場がない。複雑な香水なら他の要素で紛れるところが、ここでは紛れません。
柑橘が主役なので、持続はクルジャンの中では短めです。
朝という主題が明確なぶん、夜の場面には合いにくい。通年で使えますが、時間帯を選びます。
買う場所が決まったなら、あとは選ぶだけです。
日本での取り扱い
日本では公式ブティックと百貨店で買えます。路面店は表参道と銀座にあり、伊勢丹などの百貨店にも入っている。クリードのように取扱が極端に少ないブランドではありません。
ただし日本の公式サイトは存在しません。かつて使われていたドメインは第三者に売却されていて、今アクセスしても無関係なページに飛びます。検索で出てくる「公式」を名乗るページには注意が要ります。
| 正規(ブティック・百貨店) | 並行輸入 | |
|---|---|---|
| 価格 | 定価 | 1〜3割安いことが多い |
| 保証 | 国内の窓口がある | 販売店ごと |
| 保管 | 管理されている | 経路が読めない |
| 刻印・ギフト包装 | 受けられる | 対象外 |
並行輸入品も多く流通しています。香水は熱と光で変わるので、輸送と保管の経路が読めないことは実質的なリスクです。定価を大きく下回るものには理由があると考えたほうがいい。
先に試す方法がある
3万5千円前後の買い物です。原料を絞った作りなので、合わない材料が1つあると全体が駄目になる。この構造は、試さずに買うことのリスクを普通の香水より大きくします。
あわせて読みたい
- クルジャンで最初に名前が挙がる1本を知りたいなら、バカラ ルージュ 540の徹底解説もどうぞ。
- 同じブランドのクルジャン ジェントル フルーイディティ ゴールドの香りもどうぞ。
まとめ:朝の時間帯に絞れば強い1本
メゾン フランシス クルジャン プティ マタン は3万5千円前後の買い物になります。原料を絞った作りなので、合わない材料が1つあると全体が駄目になります。
だからこそ、買う前に肌の上で試す順序を崩さないほうがいい。
香りの中身をもう一度整理します。公式が挙げるのはリツェアクベバ、ムスク、サンザシ、オレンジフラワー、ラベンダーの5つ。青く明るい柑橘をサンザシの粉っぽい甘さが丸め、ラベンダーが全体を清潔な方向へ寄せる。土台にムスクがあるので、柑橘が飛んだ後も肌に残ります。
持続はクルジャンの中では短めで、朝という主題がはっきりしているぶん夜の場面には合いにくい。裏を返せば、通勤から昼までに的を絞るなら迷いのない選択になります。買うときは正規と並行輸入のどちらにするか、35mL・70mL・200mLのどれを選ぶかを先に決めておくといい。
クルジャン香水の選び方では、系統ごとに整理しています。
メゾン フランシス クルジャン プティ マタンに近い方向で探すなら
似た方向で探すなら、この3本が候補になります。同じ香りではないぶん、何が近くて何が違うのかを書いておきます。
| 銘柄 | 価格の目安 | 近いところ | 違うところ |
|---|---|---|---|
| ノンフィクション オープンアームズ オードパルファン | 18,400円〜 | オレンジが重なる | ネロリが入り、苦みのある白い花が乗る |
| イソップ エレミア | 23,870円〜 | 同じシトラスの方向 | ユズが入り、和柑橘の香りが混じる |
| ディプティック ロー ド ネロリ | 25,960円〜 | 同じシトラスの方向 | オレンジブロッサムが入り、甘い白い花が乗る |
3本とも系統は近いものの、残り方が違います。長く使うなら、残り香が自分の生活に合うかで決めるほうが失敗しません。
※本記事はプロモーションを含みます

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