りんごと杏から入って、花屋の店先のような花に着地する香りです。出だしはアップルとアプリコットのみずみずしさ、中盤はローズに茎の青さが混じり、最後はやわらかなフローラルの余韻だけが薄く残ります。甘さで押してくる花が苦手な人、人前で引っかからない一本を探している人に向く香りです。
SHIRO PERFUMEで最も人気が高い香り、と公式が明記しているのがフリージア ミスト(FREESIA MIST)です。1万円を超えるラインで売れ続けているのには理由があるはず。公式が公開している内容から、その設計を読み解きます。
この記事でわかること
- フリージア ミストが「花」ではなく花屋という場所を写した香りであること
- りんごと杏から花へ移る香りの流れと、公式が示す持続時間
- 最も売れている理由と、その裏側にある「被る」という弱点
- パフュームとフレグランスシリーズの違い、容量ごとの価格
結論:フリージア ミストは「花」ではなく「花屋」の香り
総合評価:3.8 / 5.0 ★★★★★
公式の説明は「澄んだ空気に包まれたフラワーマーケットをイメージした、花束を抱えているようなフローラルの香り」。
花そのものではなく花屋という場所を題材にしているのが効いています。花屋には切り花の香りだけでなく、水と青い茎の匂いがある。だから甘さ一辺倒になりません。
公式が「まるでお花屋さんに立ち寄った時のような気分になれる、誰からも愛される香り」と書いているとおり、狙いは万人受けです。
SHIRO フリージア ミストの基本情報
| ブランド | SHIRO(1989年に北海道・砂川で創業) |
| 商品名 | フリージア ミスト(FREESIA MIST) |
| ライン | SHIRO PERFUME(調香師の作家性を出したライン) |
| 容量 / 価格 | 50mL・11,203円 / 100mL・16,005円 |
| 香調 | 最初:アップル、アプリコット / 中盤:グリーン、ローズ / 最後:やわらかなフローラル |
| 系統 | フローラル |
| 題材 | 澄んだ空気に包まれたフラワーマーケット |
| 持続時間 | 公式表記で約5〜6時間 |
香りの変化:りんごと杏から、やわらかな花へ
| 段階 | 原料 | 役割 |
|---|---|---|
| 最初 | アップル、アプリコット | みずみずしい果実。入り口 |
| 中盤 | グリーン、ローズ | 透明感と、上品な花 |
| 最後 | やわらかなフローラル | 可憐な花の余韻 |

トップ:りんごと杏が入り口をつくる
最初に立つのはアップルとアプリコットです。みずみずしい果実が入り口を作り、花の気配はまだ後ろにあります。
花だけで始めると重くなりますが、りんごと杏なら誰でも知っている匂い。身構えずに入れます。香水に慣れていない人がつけても、いきなり花に押される感じにはなりません。
ミドル:ローズに混じる茎の青さ
果実が引いたあとに出てくるのが、グリーンとローズです。グリーンは葉や茎の青さを指す表現で、花屋の匂いを再現するときはこの要素があるかどうかで生花らしさが変わります。
この時間帯は、花の甘さに茎の青さが混じります。ローズが上品さを足しても重くならないのは、この青さが下敷きにあるからです。香りの中心はここにあります。
ラスト:やわらかな花の余韻だけが残る
最後はやわらかなフローラルに着地します。果実の輪郭も青さも引いて、可憐な花の余韻だけが薄く残る形です。
朝につけたなら、昼過ぎにはこのあたりまで来ています。強く主張する段階ではないので、香りを引きずりたくない日にはむしろ都合がいい。
なぜ嫌われにくいのか
この香りには突出した部分がありません。甘さも、青さも、花も、どれも前に出すぎない。
香水で失敗する原因の多くは、自分が好きな香りと他人が受け取る香りのずれです。フリージア ミストはそのずれが起きにくい。安全側に振り切った設計だと考えると、人気の理由が見えてきます。
| 場面 | 向き | 理由 |
|---|---|---|
| 日常 | ◎ | 誰にも引っかからない |
| 職場 | ○ | 量を絞れば問題ない |
| デート | ◎ | 近い距離で心地よく働く |
| 印象を残したい場面 | △ | 個性が薄く記憶に残りにくい |
どうつけて、どれくらいもつか
公式は、肌から15センチほど離して1〜2プッシュと案内しています。
つける場所と出方
- 首すじ・耳の後ろ:最も届く。人に伝えたいとき
- 手首:動くたびに香る
- 足首・内もも:自分だけが感じる程度
- ウエストまわり:下から穏やかに立ち上がる
公式が「しっかり香らせたいなら上半身、穏やかに楽しみたいなら下半身」とはっきり書いているのは親切です。同じ1プッシュでも、場所を変えるだけで印象が変わります。
場面ごとに振り分けると迷いません。席の近い職場なら1プッシュをウエストか足首に置き、下から穏やかに立ち上がる状態にとどめる。距離が近いデートでは首すじか耳の後ろ、すれ違いざまに香らせたい日は手首。同じ量でも届く範囲がまるで違います。
公式が公表している持続時間は、どの香りも約5〜6時間です。
朝につけて昼過ぎに薄くなる計算になります。夕方まで残したいなら、昼に一度足す前提で考えておくと外しません。足すときは午後の予定に合わせて位置を選び直すといい。
比べたうえで「これだ」と思ったなら、こちらです。
SHIRO PERFUMEというライン:フレグランスシリーズとの違い
SHIRO PERFUMEは、テーマやコンセプトを設けず、世界各地の調香師がそれぞれの世界観を自由に表現したラインです。だから香りの名前が抽象的で、何の匂いなのかは名前から読み取れません。フレグランスシリーズが「サボン」「キンモクセイ」と中身をそのまま名乗るのとは逆の作りになっています。
誰が作ったかを公開しているのも、このラインの特徴です。国籍や性別、着想の元まで書かれている香りがあり、香水を作品として扱う姿勢が見えます。
SHIROの香水には2つのラインがあります。値段が4倍近く違うので、先に整理しておいたほうがいい。
| ライン | 容量と価格 | 性格 |
|---|---|---|
| フレグランス | 40mL・4,180円 | サボンなど。日常に置く価格帯 |
| パフューム | 50mL・11,203円/100mL・16,005円 | 調香師の作家性を出したライン |
サボンやキンモクセイが4,180円で買えることを知っていると、1万円を超えるこちらは同じブランドとは思えないかもしれません。狙っている場所がそもそも別です。
SHIROは1989年に北海道の砂川で始まった会社です。化粧品の受託製造から入り、自社ブランドを立ち上げたのは2009年。ガゴメ昆布や酒かすなど日本の素材を使うことで知られ、香水も水の代わりに植物の抽出液を使っています。香料以外の部分に手をかけるのが、この会社らしいところ。
人気ゆえの弱点
被ります。SHIRO PERFUMEで最も売れている香りなので、同じ香りの人と居合わせる確率が高い。
個性も薄いままです。香りで自分を印象づけたい人には物足りないはずです。
価格は1万円を超えます。無難さに対してこの金額を払えるかは、判断が分かれるところです。
ひとつ注意があります。公式はアトマイザーへの詰め替えを「吐出不良の原因になる」として控えるよう案内しています。小分けして持ち歩く使い方は想定されていません。
容量と値段の目安
日本では公式オンラインと直営店で買えます。
| 容量 | 価格 |
|---|---|
| 50mL | 11,203円 |
| 100mL | 16,005円 |
フレグランスシリーズの40mLが4,180円であることを考えると、この価格差は小さくありません。同じSHIROでも、別の買い物だと考えたほうがいい。
| 買う場所 | 価格 | 注意 |
|---|---|---|
| 直営店・公式 | 定価 | 試してから買える。返金・交換の対象 |
| 取扱のある店舗 | 定価 | パフュームは置いていない店もある |
| 通販の転売品 | 上下する | 保管状態が読めない |
買う前に:紙のテスターでは肌の出方が分からない
1万円を超える買い物になります。店頭のテスターは紙に吹いたものが多く、肌の上でどう出るかまでは分かりません。
まとめ:フリージア ミストは「無難さ」を買う一本
フリージア ミストは、花ではなく花屋という場所を写した香りです。果実から入って花に着地する構成が、万人受けを支えています。
売れている理由は個性ではなく安全性にあります。人と被る覚悟があるなら、外しにくい一本であることは間違いありません。
弱点ははっきりしています。最も売れている香りなので人と被り、香りで自分を印象づけたい人には個性が足りない。裏を返せば初対面の相手にも職場の同僚にも引っかからないということで、誰と会うか読めない日ほど強みが出ます。
価格は50mLで11,203円、100mLで16,005円。フレグランスシリーズの40mL・4,180円と並べれば軽い買い物ではありませんが、持続は約5〜6時間あり、朝につければ昼過ぎまで自分の香りとして働きます。1万円を超える出費なので、直営店か公式で肌にのせ、紙ではなく自分の肌でどう出るかを確かめてから決めるのが確実です。
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