オルガンに捧げた香水、という一行を読んでから、僕はまる一年ほど棚の前を行ったり来たりしていました。ウナム シンフォニー パッション は、その一年をもったいなく思わせた一本です。結論から言うと、これは荘厳さの香水というより、古い建物に入った瞬間の空気の香水でした。僕の腕での香り方、量の加減、買う前に知っておきたい弱点まで書きますね。
この記事でわかること
- レモンと芍薬から古い木へ着地する三つの顔
- 僕の腕での体感の持続と、量の加減のコツ
- 買う前に知りたい弱点と、よく決まる季節
このブログを書いている人
30代前半メンズ、都内在住。「大手製薬企業 → 大手EC企業 → 大手メーカー企業」と、ライフスタイルに合わせて転職をしながら現在3社目で日々奮闘中。ファッションや美容といった身だしなみのことから、生活を豊かにするガジェット類、インテリアや雑貨まで、実際に使ってよかったものだけを書いています。
私は極度の脂性肌×敏感肌で、スキンケアは市販薬からデパコス、20以上の美容医療やイソトレチノイン治療まで一通り試してきました。
大好きな香水は500本以上、洋服には累計2,000万円ほどを使用(使いすぎ…)
これまで身を削って試してきた実体験を皆様にお伝えします!
結論:シンフォニー パッション は「古い建物に入った瞬間の空気」
半年ほど使って僕の手元に残った印象は、香りというより場所でした。冷えた石の床、何十年も人の手が触れてきた木、そこにひとり座っている人。この三つが肌の上で入れ替わりながら、最後は人の匂いのほうへ寄っていきます。すれ違いざまに振り向かせる力はありません。そのかわり、近づいた相手の背筋がすっと伸びるような立ち方をします。
ブランドが出している説明も、香水の紹介としてはかなり変わっています。「歴史に残るオルガニストであり、音楽教育家の大家であるマルセル・デュプレが、アメリカツアーで演奏し、1921年に3年もの歳月をかけて楽譜に書き起こした即興作品に捧げる香り。」初めて読んだとき、僕は正直それで香水を作るのかと笑ってしまいました。英語で書かれたほうには、フィリッポがルーアンでオルガンを弾いたときに感じた匂いだ、という一文も添えられています。嗅いでから読み返すと、この二行が急に効いてきます。
名前で身構えていたわりに、肌に乗ってからはずっと軽いです。お香を焚いたような煙さも、宗教画みたいな重さも出てきません。木と石という素材の匂いだけが、体温でゆっくりほどけていく感じ。荘厳という言葉から想像する方向とは、少しずれたところに着地します。
総合評価:4.5 / 5.0 ★★★★☆
ウナム シンフォニー パッション の基本情報
買える場所は多くありません。僕はノーズショップで買いました。楽天で名前をそのまま入れてみたこともあるのですが、上のほうに出てくるのはジョルジオ アルマーニの「シ パッション」で、ウナムのほうは並んできませんでした。名前が半分かぶっているせいで、探しているつもりが別のブランドの棚に立っている、ということが起きます。商品名で追いかけるより、ウナムというブランド名から入るほうが早いです。
瓶は百ミリリットルで、税込五万二八〇〇円。この容量を一息に買う形になるので、財布の話としては軽くありません。ただ、僕の押し方だと水位がほとんど動かないんですよね。エキストレド パルファムという濃度表記のとおり、一回で十分に足ります。買う前に気にするべきなのは瓶の額そのものより、自分が一日に何回押す人なのかだと思います。
作っているのはイタリア。ブランドのページはフィリッポ・ソルチネリの名前で出ていて、香水と楽器の話が同じ場所に並んでいます。そういう成り立ちを知ってから瓶を持つと、五万円台の見え方が少し変わってきました。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ブランド | UNUM(ウナム) |
| 商品名 | Symphonie-Passion(シンフォニー パッション) |
| 濃度 | エキストレド パルファム |
| 容量 | 100mL |
| 価格 | 52,800円(税込) |
| 香調 | トップ:レモン、ピオニー/ボディ:カシュメラン、ベチバー/ベース:サンダルウッド、ムスク、シダーウッド |
| 原産国 | イタリア |
Ryo
五万円の香水というより、古い建物ひとつぶんの空気を買った感覚でした。

香りの変化
変化の幅は、はっきり大きいほうです。三十分後と三時間後で、同じ瓶から出たものとは思えない顔をしています。ブランドは香調を三つの層に分けて出していて、僕の腕でもその三つは順番に顔を見せました。ただ、境目でぱきっと切り替わるわけではありません。気づいたら景色が変わっていた、くらいの受け取り方が実物に近いです。
STEP 1|0〜30分
レモン、ピオニー
酸の粒と花の冷たさが同時に来て、まだ体温と混ざりきりません
STEP 2|〜3時間
カシュメラン、ベチバー
厚みのある木と乾いた根が前に出て、香りの重心が下がります
STEP 3|それ以降
サンダルウッド、ムスク、シダーウッド
木の甘さと人の肌だけが残って、やわらかく香ります
トップ
置かれているのはレモンとピオニーの二つです。表記としては横並びなので、どちらが先という話ではありません。それでも僕の腕では、レモンのほうが大きく出ました。吹いた直後に酸の粒が鼻へ飛んできて、そのすぐうしろから花の冷たさが立ち上がってきます。
ここが、買う前の僕がまるごと誤解していた場所です。レモンと聞いて想像する明るさとは、方向がかなり違います。皮を剥いたときの果汁っぽい甘さは出てこなくて、来るのは磨いたばかりの金属に近い冷たさでした。ピオニーも花束の華やかさではなく、水に浸けた茎の青さのほうに寄っています。この二つが重なる最初の数分は、正直かなりそっけないです。
ボディ
三十分を過ぎたあたりから、急に手触りが変わります。カシュメランとベチバーが前に出てくる時間帯で、僕はこの香水をここで好きになりました。冷たかった空気に厚みが乗って、体温と同じ高さまで下りてきます。
カシュメランのほうは、毛足の短い布のような質感で香ります。ベチバーはその下で、乾いた根と土の匂いを担当している感じ。二つが重なると、長く使われてきた木の椅子に顔を近づけたときの匂いに近くなります。艶があるのに埃っぽい、というよく分からない状態が肌の上で成立していて、嗅ぐたびに面白いです。
香りが届く距離も、この時間帯がいちばん広がります。といっても部屋の端まで届くほどではありません。向かい合って座った相手が気づくかどうか、という程度の広さ。出だしのそっけなさで判断された人には、この時間帯まで付き合ってもらえないのがもったいないところです。
ベース
最後に残るのはサンダルウッド、ムスク、シダーウッドの三つです。木の甘さがゆっくり前に出てきて、そこへ人の肌の匂いが混ざります。石の冷たさはもう引いていて、残っているのは日の当たった木の部分だけ、という終わり方。
面白いのは、肌の上が静かになってからも服のほうが覚えていることです。シャツの内側に一回だけ置いた日は、脱いだときに襟からまだ木の匂いが返ってきます。翌朝、洗濯機に入れる前にもう一度気づくこともありました。この残り方があるので、一日のうち香っている時間は数字より長く感じます。
正直な注意点
いいところばかり書いてきたので、僕が実際にやらかした話も置いておきます。買ったばかりの週、いつもの癖で手首と首すじに二回ずつ押して外へ出ました。エキストレドの濃さでこれをやると、ベチバーの土っぽさが一気に前へ出てきます。電車の中で自分の鼻が疲れてきて、これは量の問題だと気づきました。
いまは胸のあたり、シャツの内側になる位置へ一回だけ。首から上には置きません。布の内側で温まって、襟元からゆっくり上がってくる押し方に落ち着きました。この一回で夕方まで持つので、詰め替えを持ち歩く必要も出てきていません。
弱点として先に知っておいてほしいのは二つ。ひとつは出だしの三十分が硬いことです。レモンの酸とベチバーの乾きが正面からぶつかる時間帯があって、ここだけ嗅いで「思ったより地味だ」と切り上げると、この香水の本番まで届きません。僕も最初の数分で決めていたら、たぶん棚へ戻していました。
もうひとつは、一回と二回で別の香水になること。一回なら布越しの静かな匂いですが、二回押すと土と根が強く出ます。この差が思っていたよりはっきり出るので、慣れるまで僕は数日かけました。毎朝きっちり同じ量を押せる人には気にならない話ですが、日によって手が滑るタイプの人は覚悟しておいたほうが安全です。
注意
① 出だしの三十分が硬い。レモンの酸とベチバーの乾きが正面衝突するので、試香の数分だけでは良さが出ません
② 一回と二回で別物になる。エキストレドで濃いので、一回と二回でかなり変わります。二回押すと土と根が強く出ます
合う人・合わない人
勧める相手と勧めない相手は、使ううちにはっきり分かれてきました。境目は好みというより、香水に何をさせたいかのほうにあります。
向いているのは、甘い方向を一周してしまった人。バニラや果実で作る色気に飽きているなら、木と石で同じことをやるこの一本は新しい入口になります。それから、香りを自分のためにつけている人。近づいた相手にだけ届く広がり方なので、一日じゅう自分の手首の匂いを楽しみたいタイプとは相性がいいです。
勧めにくいのは、すれ違った相手に「いい匂い」と言ってもらいたい人。この香りは距離が近くならないと分かりませんし、分かった人が全員褒めてくれるとも限りません。分かりやすい好印象がほしいなら、五万円台の使い道としては外します。
こんな人に合う
- ✓ 甘い香りを一周して、甘さを使わない色気を探している人
- ✓ 人に届かせるより、自分の手首の匂いを一日楽しみたい人
合わないかも
- × すれ違いざまに「いい匂い」と言われる分かりやすさが欲しい人
使う場所と時間
いちばん決まったのは、十月の日曜の午前でした。生成りのコットンシャツにチャコールのウールジャケット、足元は焦茶の革靴。空気がまだ冷たい時間に古い建物の中を歩くと、石の冷たさと木の甘さが両方そのまま立ちます。天井の高い場所で嗅ぐと、香りが上に逃げずに体のまわりへ留まってくれるんですよね。
仕事の日にも使いますが、押す場所を変えています。シャツの内側へ一回だけで、手首は空けておきます。机を挟んだ距離で止まってくれるので、向かいに座った人が気づくかどうかというあたりに収まる。来客のある午後は、この落ち着き方がちょうどいいんですよね。
夜に人と会う日は、出かける一時間前に押しておくのが僕のやり方です。出だしの硬い時間を家で済ませておくと、着いた頃にはボディの厚みから始められます。革のジャケットや厚手のコットンのような、表面に凹凸のある素材と相性がいいです。つるっとした夏素材に乗せると、香りだけが浮いて聞こえました。
使う場面
| 仕事・オフィス | ◎ | シャツの内側へ一回なら、机を挟んだ距離でちょうど止まります |
| 夜デート | ○ | 一時間前に押して硬い出だしを家で済ませると、厚みのある時間帯から始まります |
| 休日 | ◎ | 秋の午前に古い建物を歩く日、石と木が両方そのまま立ちます |
| 真夏 | △ | エキストレドの濃さでカシュメランが膨らみ、汗と重なると厚くなりすぎます |

保管で中身は変わる
いま僕がこの瓶を置いているのは、寝室のクローゼットの中の棚です。箱に入れたまま、扉を閉めてしまい込んでいます。日に当たらないのと、一日の温度差が小さいのが理由。毎朝そこから出して一回押して、また戻すという流れができあがりました。
窓際には置きません。百ミリリットルを一回ずつ減らしていく前提なので、この瓶とは何年も付き合うことになります。一日や二日で傷む話ではないぶん、日に当たった日数のほうが静かに積み上がっていくんですよね。長く使う瓶ほど、置き場所の影響を受ける期間も長くなります。
洗面所と暖房の近くも同じ理由で外しました。湯気と温度差を毎朝浴びせる場所に、何年も使う瓶を置く気にはなれません。暖房の吹き出し口のほうは、温風が当たった日数がそのまま残ります。減りの遅い香水ほど、置き場所を先に決めておいたほうが得だというのが使ってみての実感です。
置き場所と影響
| 直射日光の当たる窓際 | × | 百ミリリットルを一回ずつ減らす瓶なので、日に当たる日数が何年ぶんも積み上がります |
| 浴室・洗面所 | × | 毎朝の湯気と温度差を浴びる場所に、長く付き合う前提の瓶は置けません |
| 暖房の近く | × | 一日一回しか押さないぶん一本と過ごす期間が長く、温風の当たった日数まで残ります |
口コミの読み方
五万円台を出す価値があるのか。買う前の僕が何日も止まったのはここでしたが、答えは僕の使い方では見合った、になりました。一日に一回しか押さないので、百ミリリットルの水位が目に見えて動きません。一回あたりに割り戻すと、僕の棚ではむしろ安いほうに入ります。ただし、たっぷり浴びて香りに包まれたい人だと、この計算はまるごと崩れます。
オルガンの由来が後付けの設定ではないか、というのも買う前に引っかかったところでした。嗅いでみると、木と石の匂いは本当に来ます。物語のほうが先にあって香りを無理やり寄せた感じはしませんでした。むしろ説明を読まずに嗅いだ日のほうが、素直に木の匂いだと受け取れたくらいです。
レモンが入っていると知って、よくある爽やか系を想像したのも僕です。これは半分だけ当たっていました。たしかにレモンは立ちますが、飲み物や洗剤のような甘い明るさではありません。金属を磨いたときの冷たい酸のほうに近くて、爽やかというより硬い、という言い方が合います。
香調の顔ぶれだけ並べると地味に見えないか、という心配もありました。文字にすると木と根とムスクなので、たしかに派手さはありません。肌に乗せると印象が逆になります。素材が少ないぶん一つひとつが強く香ります。僕自身、今日は何の匂いを嗅いでいるのかを一言で言えない日があります。その言いにくさが、そのまま面白さになっている香りでした。
買う前に迷った点
| 五万円台を出す価値があるのか | 一日一回で足りるので、一回あたりに割ると僕の棚では安いほうでした | |
| オルガンの由来は後付けではないか | 説明を読まずに嗅いだ日でも、木と石の匂いはちゃんと来ました | |
| 香調の顔ぶれが地味に見える | 素材が少ないぶん一つひとつが強く香り、肌に乗せると印象が逆になります |
まとめ
ウナム シンフォニー パッション は、木と石だけで色気を作る一本です。甘さを一滴も通さないまま、最後には人の肌の匂いへ着地します。出だしの三十分が硬いせいで店頭では損をしがちですが、そこを越えた先の厚みは、僕の棚を見渡しても代わりが見つかりません。
僕の腕での体感は六〜七時間ほど。そこから先はシャツの担当です。襟から返ってくる木の匂いまで込みで一本ぶんと考えると、五万円台の見え方はかなり変わってきます。
押し方さえ決まれば、扱いの難しさはほとんど消えます。シャツの内側へ一回、首から上には置かない。この二つを守った十月の日曜の午前が、僕にとっては文句なしの時間です。
この記事のまとめ
- 木と石だけで、甘さを通さずに色気を作る一本です
- 僕の腕で体感六〜七時間。脱いだシャツの襟には翌朝まで残ります
- 出だしの三十分は硬く、一回と二回で別物になります。押し方が決まると化けました
※本記事はプロモーションを含みます

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