瓶のラベルにイカが描かれているのを見て、正直これは色物だろうと思いながら買いました。ズーロジスト スクイッド は、その予想を初日で裏切ってきた一本です。結論から言うと、墨と塩という材料だけで色気を作るという無茶を、本当にやってのける香水でした。僕の腕での香り方、服に残る匂いの話、買う前に知っておきたい弱点まで正直に書きます。
この記事でわかること
- 僕の鼻が受け取った三つの顔と、甘さを一滴も使わずに色気が立つ理由
- 僕の腕での体感の持続と、肌より服のほうに長く残るというクセ
- 換気の弱い室内でやらかした話と、買う前に知っておきたい弱点二つ
- 六十ミリリットルの瓶を、朝一回の押し方で長く持たせる使い方
このブログを書いている人
30代前半メンズ、都内在住。「大手製薬企業 → 大手EC企業 → 大手メーカー企業」と、ライフスタイルに合わせて転職をしながら現在3社目で日々奮闘中。ファッションや美容といった身だしなみのことから、生活を豊かにするガジェット類、インテリアや雑貨まで、実際に使ってよかったものだけを書いています。
私は極度の脂性肌×敏感肌で、スキンケアは市販薬からデパコス、20以上の美容医療やイソトレチノイン治療まで一通り試してきました。
大好きな香水は500本以上、洋服には累計2,000万円ほどを使用(使いすぎ…)
これまで身を削って試してきた実体験を皆様にお伝えします!
結論:スクイッド は「潮が引いたあとの岩場」
半年以上使って僕の手元に残った印象は、香水というより風景でした。花も果物も蜜も顔を出しません。濡れた岩、乾きかけた塩、そこへ一滴だけ落ちた墨。この三つが肌の上で一枚の絵になって、時間をかけてゆっくり人の匂いへ寄っていきます。名前のとおりイカなのですが、魚市場のような生々しさは僕の腕からは出てきませんでした。
ブランドが出しているストーリーも、香水の説明としてはかなり振り切っています。「月の綱引きで海が隆起し、波の下をイカの群れが弾丸のように突き抜ける。突如現れるクジラの黒い影。スミを吹き出して撹乱するも、飲み込まれ咀嚼される。波間に漂う戦いの異物は数十年の時を経て竜涎香となる。」ここまで書くかと笑ってしまったのですが、実際に嗅いだあとで読み返すと、最後の竜涎香のところで妙に腑に落ちます。終盤に肌へ残るのは、たしかにあの丸くて温かい匂いだからです。
原産国はカナダです。そして二〇二〇年のフレグランス協会賞、いわゆる旧FiFi賞で Perfume Extraordinaire of the Year を獲っています。賞の名前をわざわざ出したのは、こういう変化球がきちんと評価される世界なのだと知ったことが、僕にとって手を伸ばす言い訳になったからです。イカの絵で笑って通り過ぎるには、中身が真面目すぎました。
総合評価:4.5 / 5.0 ★★★★☆
ズーロジスト スクイッド の基本情報
四万円を超える瓶を、イカの名前で買う。文字にすると我ながらどうかしているのですが、財布の話をすると僕にはむしろ安い買い物でした。理由は押す回数です。濃さがあるぶん一回で足りてしまうので、朝に一度しか手が動きません。一日あたりに換算したとき、ここまで減らない瓶は僕の棚でも少数派でした。買う前に気にするべきは瓶の額そのものより、自分が一日に何回押す人なのかだと思います。
六十ミリリットルという容量も、その押し方とよく噛み合っています。一年半ほど付き合って、水位はまだ肩のあたりです。買った直後は多すぎるかと身構えたのですが、結果としては長く楽しめる量でした。減りの遅さは退屈にもつながりかねないところ、この香りは日によって出方が変わるので、飽きが先に来る気配は今のところありません。
濃度の表記はエキストレド パルファムです。この一語を軽く見て、普段の香水と同じ感覚で三回押すと、確実にやりすぎます。僕は手首を使わず、シャツの下になる胸へ一回だけ置く形に落ち着きました。布の内側で温まって、襟元からゆっくり上がってくる押し方です。この一回で夕方まで持つので、詰め替えを持ち歩く必要も出てきません。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ブランド | Zoologist(ズーロジスト) |
| 商品名 | Squid(スクイッド) |
| 濃度 | エキストレド パルファム |
| 容量 | 60mL |
| 価格 | 40,700円(税込) |
| 香調 | トップ:ピンクペッパー、ソーラーサリチレート、フランキンセンス/ボディ:ブラックインクアコード、ソルティアコード、オポポナックス/ベース:アンバーグリス、ベンゾイン、ムスク |
| パフューマー | セリーヌ・バレル |
| 原産国 | カナダ |
| 受賞 | 二〇二〇年フレグランス協会賞(旧FiFi賞)Perfume Extraordinaire of the Year |
Ryo
甘さを一滴も使わずに色気って作れるんだな、と嗅いだ日に僕は笑いました。

香りの変化
初日に驚いたのは、変化の幅が想像よりずっと狭かったことでした。途中で別物へ化けるタイプではありませんでした。海の風景がだんだん人の肌へ近づいてくる、という動き方をします。公式は香調を三つの層に分けて出していて、僕の腕でもその三つは順番に顔を見せました。ただし境目はぼんやりしています。時計を見ながら嗅ぐより、ふと気づいたら前と違う、くらいの受け取り方が合っているはずです。
STEP 1|0〜30分
ピンクペッパー、ソーラーサリチレート、フランキンセンス
弾ける粒と、日に温まった石のような乾いた匂いが同時に来ます
STEP 2|〜3時間
ブラックインクアコード、ソルティアコード、オポポナックス
墨と塩が前に出て、ねっとりした樹脂が下からそれを支えます
STEP 3|それ以降
アンバーグリス、ベンゾイン、ムスク
海が引いて、丸くて温かいものだけが肌に残ります
トップ
ここに置かれているのは、ピンクペッパーとソーラーサリチレートとフランキンセンスです。三つは横並びの表記なので、どれが先という話ではありません。ただ僕の腕では、ピンクペッパーのほうが大きく出ました。吹いた直後にぴりっとした粒が鼻へ来て、そのうしろから乾いた明るさが立ち上がってきます。
フランキンセンスと聞いて線香の煙さを想像すると、少し違うほうへ着地します。僕が受け取ったのは、昼のあいだ日を浴びていた石に顔を近づけたときの匂いでした。煙というより、温度です。ここで生臭さが来ないと分かるので、店頭で試すなら最初の三十秒が山場になります。イカの名前で身構えている人ほど、ここで肩の力が抜けるはずです。
ボディ
名前の正体はここでした。ブラックインクアコード、ソルティアコード、オポポナックスの三つが並びます。僕の腕では塩のほうが先に大きくなって、墨はそのうしろに黒い影として置かれている感じでした。海を描いた絵の、暗い部分だけを担当しているような立ち方をします。
心配していた魚の匂いは、結局一度も出てきませんでした。かわりに来るのが、濡れた岩肌と、焼く直前の海苔のような乾いた磯です。そこへオポポナックスのねっとりした樹脂が下から入るので、磯だけで終わらず、体温のある方向へ引き戻されます。この引き戻しが効いているから、海の香りなのに肌の匂いとして成立するのだと思いました。
香りが届く距離は、この時間帯がいちばん広がります。といっても腕を振り回して届くほどの広がりはありません。向かい合って座った相手が気づくくらいです。すれ違いざまに振り向かせる力は持っていません。そこを期待して買うと、たぶん物足りなく感じます。
ベース
最後に残るのは、アンバーグリス、ベンゾイン、ムスクの三つです。ストーリーの締めくくりが竜涎香だったのを思い出すと、作り手の意図がここで一本につながって見えてきます。体温で溶けた樹脂の甘さと、粉っぽさのない人の肌の匂い。海の景色はすっかり引いて、そこにいた人だけが残る、という終わり方です。
面白いのはここからで、肌の上が静かになっても、服の上ではまだ全然終わっていません。脱いだニットの襟をたたむときに、昼間よりむしろはっきり香ってくることがあります。マフラーに至っては翌週まで覚えていました。寝るときに枕元へ置いておいた日は、朝に枕のほうから磯の匂いが返ってきて、自分の部屋が少しだけ海寄りになったような気分になります。この残り香こそが、僕がこの一本を手放さない理由でした。
正直な注意点
いいところばかり書いてきたので、使って分かった弱点も二つ置いておきます。どちらも値段より先に知っておくべきところです。
ひとつめは、換気の弱い室内で急に重くなることでした。一度、窓のない個室で中華料理を食べたときにやらかしています。温かい料理の湯気と塩と樹脂が同じ空間で膨らんで、自分でも食事の途中から気になり始めました。それ以来、料理の席と、狭い会議室の日は押さないと決めています。屋外や風のある場所では、まったく同じ量でも上品にまとまるので、量の問題というより場所の問題です。
ふたつめは、肌より服に長く残るクセです。ウールに一度入ると、洗っても数回は抜けません。日によって香りを変えたい人にとっては、これはかなり邪魔になるはずです。僕は逆に気に入って使っていますが、コートやマフラーを何本も使い回す人ほど、この性質は先に知っておいたほうが安全だと思います。
注意
① 換気の弱い室内では重くなる。塩と樹脂が湯気と一緒に膨らんで、食事の匂いと正面からぶつかります
② 肌より服に長く残る。ウールに入ると洗っても数回は抜けず、翌週のマフラーからまだ香っていました
合う人・合わない人
勧める相手と勧めない相手は、使ううちにはっきり分かれてきました。境目は好き嫌いというより、香水に何をさせたいかのほうです。
向いているのは、甘い香りに飽きてしまった人。バニラや果実の方向を一周して、もう甘さでは戻れないと感じているなら、この一本は新しい入口になります。それから、秋冬に厚手の服を着る日が多い人。ニットとコートに残り香が乗ると、香りが一日じゅう切れずにつながります。
勧めにくいのは、すれ違った相手に「いい匂い」と言ってもらいたい人です。この香りは近づいてはじめて分かる種類で、しかも分かった人が全員褒めてくれるとはかぎりません。分かりやすい好印象を買いたいなら、四万円の使い道としては外します。
こんな人に合う
- ✓ 甘い香りを一周して、甘さを使わずに色気が出る一本を探している人
- ✓ 秋冬に厚手のニットやコートを着る日が多く、残り香まで込みで選びたい人
合わないかも
- × すれ違いざまに「いい匂い」と言われる分かりやすさが欲しい人
使う場所と時間
いちばん気持ちよく決まったのは、十一月の夕方でした。厚手のグレーのニットにネイビーのウールコート、足元はスエードのブーツ。日が落ちて空気が冷たくなった時間に外を歩くと、塩と樹脂が冷えた空気に押し戻されて、体のまわりにちょうどよく留まります。同じ量を夏の昼に押したときの膨らみ方とは、まるで別の香水でした。
仕事の日も使いますが、押す場所を変えています。シャツの下になる胸へ一回だけで、首まわりには置きません。机を挟んだ距離で止まってくれるので、向かいに座った同僚が気づくかどうかというあたりに収まります。人と至近距離になる予定が入っている日は、朝の時点で押すのをやめておくくらいでちょうどいいです。
夜に人と会う日は、逆にこの香りをしっかりきかせます。甘くないのに色気があるという組み合わせは、近づいた瞬間の落差が大きいんですよね。革のジャケットや厚手のニットのような、表面に凹凸のある素材と相性がよくて、つるっとした夏素材に乗せると香りだけが浮いて聞こえます。服のほうを香りに寄せると、一気にまとまりました。
使う場面
| 仕事・オフィス | ○ | 胸へ一回までなら机を挟んだ距離で収まりますが、狭い会議室の日は押しません |
| 夜デート | ◎ | 甘さがないぶん、近づいた瞬間の墨と塩の落差がそのまま効きます |
| 休日 | ◎ | 厚手のニットとウールコートに乗ると、残り香まで含めて一日つながります |
| 真夏 | △ | エキストレドの濃さと塩が汗と重なって、肌の上で膨らみすぎます |

保管で中身は変わる
夏と冬で置き場所を変えるかと聞かれたら、僕ははっきり変えています。冬は毎日のように手が伸びるので、寝室のチェストの上に箱ごと出しっぱなしです。夏はほとんど押さないため、同じ箱を引き出しの奥へしまい込みます。出番の少ない季節ほど、置きっぱなしの日数が静かに積み上がっていくからです。
窓際には置きません。六十ミリリットルを何年もかけて使う前提でいるので、日に当たる日数がそのまま総量として効いてきます。一日や二日でどうこうなる話ではありませんが、こちらは残りをこれから長く使う側です。積み上がる時間のほうが怖くなります。
洗面所と暖房の近くも同じ理由で外しています。湯気と温度差を毎朝浴びせる場所に、長く付き合うつもりの瓶を置く気にはなれません。暖房の吹き出し口も、温風の当たった日数がそのまま残ります。押す回数が少ない香水ほど、置き場所の影響を受ける期間が長くなる、というのが使ってみての実感です。
置き場所と影響
| 直射日光の当たる窓際 | × | 六十ミリリットルを何年もかけて使う瓶なので、日に当たる日数がそのまま積み上がります |
| 浴室・洗面所 | × | 毎朝の湯気と温度差を浴びる場所に、長く付き合う前提の瓶は置けません |
| 暖房の近く | × | 押す回数が少ないぶん一本と過ごす期間が長く、温風に当たる日数まで積み上がります |
口コミの読み方
四万円を超える瓶に、イカの墨の香りが入っている。買う前の僕は、この一行をまったく信用していませんでした。実際に手元へ来てから答えが出た引っかかりを、そのまま並べておきます。
生臭いのではないか。買う前の僕は、そこばかり気にしていました。結論として、僕の腕から魚の匂いは出ませんでした。来たのは濡れた岩肌と、焼く前の海苔のような乾いた磯です。生々しさを想像して身構えるより、海辺の空気を思い浮かべたほうが実物に近いと思います。
イカの絵がネタ枠に見える、というのも買う前に引っかかったところです。ここは受賞歴で納得しました。二〇二〇年のフレグランス協会賞で Perfume Extraordinaire of the Year まで獲っています。見た目で笑わせにきているのは瓶の外側だけで、中身は最後まで真面目でした。
値段に見合うのかどうかは、今でも答えに詰まるところです。僕の場合は押す回数が少なく、そのうえ服に残るぶん一日で香っている時間が長いので、使い方まで含めて考えると納得できました。ただし、毎日たっぷり押して香りを浴びたい人だと、この計算は成り立ちません。
万人受けするのか。しません。そこは最初から諦めて買うのが正しいと思います。僕自身、最初の一分は「これを首につけるのか」と手が止まった側でした。面白がれるようになったのは何日か経ってからです。その振れ幅ごと楽しめるかどうかが、たぶん唯一の判断基準になります。
買う前に迷った点
| 生臭いのではないか | 僕の腕で出たのは魚ではなく、濡れた岩と焼く前の海苔のような乾いた磯でした | |
| イカの絵がネタ枠に見える | 二〇二〇年のフレグランス協会賞まで獲っていて、中身は最後まで真面目でした | |
| 万人受けするのか | しません。僕も最初の一分は手が止まり、面白がれたのは何日か経ってからでした |
まとめ
ズーロジスト スクイッド は、甘さを一滴も使わずに色気を作る一本です。濡れた岩と塩と墨で海を描いておいて、最後には人の肌の匂いだけを残していきます。イカの絵で敬遠されているうちに手に入れておくと、後から得をする種類の香水だと思っています。
僕の腕での体感は五〜六時間ほどで、そこから先は服の担当です。ニットの襟をたたむときに返ってくる匂い、翌週のマフラーに残っている匂い、枕から返ってくる朝の磯。この残り香まで込みで一本ぶんだと考えると、四万円の見え方はかなり変わってきます。
苦手なのは、換気の弱い室内と真夏です。逆に十一月の夕方、厚手のニットとウールコートで外を歩く日には、これ以上に決まる一本が僕の棚には見当たりません。六十ミリリットルを朝一回で回していけば、その季節を何度も繰り返せます。
この記事のまとめ
- 濡れた岩と塩と墨で、甘さを一滴も使わずに色気を作る一本です
- 僕の腕で体感五〜六時間。肌が静かになってからも、ニットとマフラーには翌日以降まで残ります
- 苦手なのは換気の弱い室内と真夏。厚手の服を着る季節にぴたりとはまりました
※本記事はプロモーションを含みます

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