厚底ブーツを大人が履くなら、かかとが5cmに乗る手前で止めておくと外しません。ドクターマーチンの1460 BEXがちょうどその位置にいます。通常の1460と同じ8ホールの見た目のまま、BEXソールで靴底だけを一段持ち上げたモデル。並べれば差はわずかですが、足元の見え方ははっきり変わります。
もっと厚みが欲しいならJADON。かかと5cmで、上限の外側です。逆に、まず軽いもので試したい人にはPALLADIUMのパンパ ハイ シーカー ライトプラス。これはブーツではなく防水のハイカットスニーカーですが、足元のボリュームを軽い重量で試すという意味では、厚底ブーツに入る前の1足として使えます。
僕は綺麗め・大人シンプルが軸で、正直に言えば厚底は得意な分野ではありませんでした。ただ、足元に厚みを足していくうちに分かったことがあります。厚底で疲れる原因は厚み自体ではなく、重心が上がることと重さの2つ。ここを分けて考えると、選び方はかなり単純になります。

この記事を書いた人
30代前半メンズ、都内在住。大手製薬企業 → 大手EC企業 → 大手メーカー企業と、現在3社目です。ファッションや美容といった身だしなみのことから、生活を豊かにするガジェット類、インテリアや雑貨まで、実際に使ってよかったものを発信しています。
洋服には累計で2,000万円ほど、いまも年間300万円くらい使っています。綺麗め・大人シンプルが軸ですが、着るものの幅は広いほうです。スーツは既製もオーダーも実際に買って比べましたし、「高いものが正解だった買い物」も「値段ほど差がなかった買い物」も、同じくらい経験してきました。
だからこのブログでは、値段ではなく、どこを見れば外さないかを書いています。手元にないものは「レビュー」とは書かず、条件で振り分ける形にしています。
大人が履ける厚みの上限は、かかと5cmの手前
上限という言い方をしましたが、根拠はソールの高さそのものではありません。そこから先で足元の印象が切り替わるからです。5cmに乗る手前までなら、ジャケットやスラックスの延長で成立する。5cmに乗ると、靴が主役になってコーディネート全体の性格が変わります。どちらが正しいという話ではなく、どこまで振りたいかで選ぶ場所が違うだけ。
ここで一つ断っておきたいことがあります。数字で線を引けるのは、3足のうちJADONだけです。ドクターマーチンの公式がかかと5cmと出しているのはこの1足で、1460 BEXもパンパ ハイ シーカーも、ソールの厚みやヒールの高さを数字で公表していません。ネット上には細かい数値が出回っていますが、出どころをたどれない数字を基準にすると、届いた靴が想像と違ったときに理由が分からなくなる。だから残りの2足は、靴底が持ち上がって見えるかどうかと、その厚みで行ける場所のほうで位置を決めています。ミリ単位で比べても、履く場面が変わらなければ意味がない。3足を並べて出た結論はこれでした。
| 商品 | 厚みの位置づけ | こういう人に |
|---|---|---|
| PALLADIUM パンパ ハイ シーカー ライトプラス ウォータープルーフプラス 77856 | ブーツではなくハイカットスニーカー。ソール厚の公表なし | 厚底が初めて。重い靴が続かなかった |
| Dr.Martens 1460 BEX 8ホールブーツ | 通常の1460より厚いBEXソール。上限の内側 | 革のブーツで厚みを出したい。仕事の格好からは外れたくない |
| Dr.Martens JADON 8ホールブーツ | かかと5cmで上限の外側 | 厚みを最大まで振りたい。身長を出したい |
表を上から下に見ると、足元のボリュームが順に増えていきます。ただ、厚い靴ほど高いとは限りません。PALLADIUMはこの3足で最も安く、しかも最も軽い。見た目の嵩だけなら、いちばん手を出しやすい位置にあります。そのかわり素材と寿命のところで割り切りが要るので、そこは後で書きます。
厚底を選ぶときに見る点
重心が上がると、歩き方が変わる
厚底で歩くと、地面からの距離が増えるぶん足首の角度が変わります。歩幅は少し狭くなり、着地の衝撃を膝から上で受ける場面が増える。JADONのかかと5cmまで来ると、この変化は初日から出ます。長く歩く日は脛への負担が増えますし、慣れるまでは階段を降りる動作に気を使います。
一方で1460 BEXは、通常の1460から靴底が一段上がっただけ。歩き方はほぼそのままで、見た目のほうが先に変わります。厚底の入口として、この一段の差は思っているより大きい。
つま先側の厚みも、一緒に見ておく
厚底の話はかかとの高さばかりが取り上げられますが、足の裏が前傾するかどうかを決めているのは、かかととつま先の差のほうでした。かかとだけが高い靴は、立っているだけで体が前へ送られます。長い時間履くと、指の付け根に体重が集まって痛くなる。対してつま先側も一緒に持ち上がっている靴は、足の裏が水平に近いまま、地面が単純に遠くなるだけです。同じ高さでも、この2つは履き心地が別物になります。
やっかいなのは、商品ページに出てくる数字がかかと側に偏っていること。前後の差までは書かれていないことのほうが多く、数字だけでは前傾するかどうか判断できません。そこで僕は、靴を真横から見るようにしています。つま先の下にも厚みの層が続いていればプラットフォーム寄り、かかとに向かって急に持ち上がっていればヒール寄り。写真しかない通販でも、側面の1枚を見れば大体分かります。厚みを出したいのに歩きにくさは避けたい人は、かかとの数字だけでなく、横から見た靴底の形も見ると外しません。
重さを先に抜くと、履く日数が増える
厚底が続かない理由の大半は重さです。革の厚底は当然のように重くなり、駅からの徒歩が長い日には確実に効いてくる。買ったのに月に2回しか履かない、という状態になりがちでした。
その点、PALLADIUM パンパ ハイ シーカー ライトプラス ウォータープルーフプラス 77856は例外的な位置にいます。ハイカットで見た目のボリュームがありながら、26.0cmで約330g。厚底の負担を、重さの側からだけ先に抜いてある靴です。防水仕様でサイドジップも付くので、雨の日にも履けるし脱ぎ履きも速い。ボリュームのある足元を毎日の靴として試したい人に、最初の1足として勧めやすい。
PALLADIUM パンパ ハイ シーカー ライトプラス ウォータープルーフプラス 77856
参考価格 14,960円前後
予算重視。厚底を初めて試す人、重い靴が続かなかった人
繰り返しになりますが、これはブーツではなくハイカットスニーカーです。厚底ブーツそのものを探している人の答えにはなりません。あくまで、足元に嵩を足したときに自分の服が成立するかを、軽い靴で先に確かめるための1足だと思ってください。
割り切りも明確です。アッパーは化繊と合皮の系統なので、革のような経年変化はしません。ソールもEVA系で削れやすく、交換ができないため履き潰す前提の靴になります。見た目はカジュアル寄りで、ジャケットや綺麗めのスラックスには合わせにくい。長く残す靴ではなく、数シーズン楽しむ靴として買うのが正解でしょう。
革かどうかで、行ける場所が変わる
仕事の日にも履きたい、少し落ち着いた店にも入る。そういう使い方をするなら、素材は革にしておいたほうが安全です。同じ厚みでも、革か化繊かで場の許容範囲がまるで違う。
Dr.Martens 1460 BEX 8ホールブーツは、そこを両立させてある一足です。BEXソールで通常の1460よりはっきり厚いのに、アッパーは見慣れた8ホールの革のまま。厚底と綺麗めの境目を説明するとき、僕はいつもこの靴を基準に置いています。厚みは出したいが大人の格好からは外れたくない、という条件にいちばん正確に答える1足。
物足りなさもあります。厚みは控えめなので、見た目のインパクトを求めて厚底を検索した人には拍子抜けかもしれません。履き始めのレザーは硬く、かかとが擦れやすいので慣らしに数週間かかります。革と厚底が合わさるぶん重量もあり、歩く距離が長い日は疲れる。買ってすぐ長距離を歩く予定があるなら、その日は別の靴にしてください。
上限を越えたい人は、脱ぎ履きまで見る
厚みを最大まで振るなら、選択肢はDr.Martens JADON 8ホールブーツになります。かかと5cm。1460 BEXから靴底がもう一段、はっきり分かる幅で上がります。上限を越えるとどう見えるのか、数字で見て分かる靴。
厚底ブーツの地味な弱点である脱ぎ履きの手間にも手が入っていて、内側にサイドジップが付きます。8ホールを毎回ほどかずに脱ぎ履きできるのは、厚みのあるブーツでは効いてくる作りです。サイズも22cmから32cmまでの11サイズが公式に並んでいるので、足が小さい人と大きい人の両方が選べる。身長を出したい、足元から服の印象を作りたい。その意図がはっきりしているなら、ここまで来る価値はあります。
覚悟しておくことも多い靴です。かかと5cmは重心が明確に上がるので、歩幅と足首の使い方が変わります。重量もあって、長時間歩くと脛が張る。そして厚みのぶんカジュアル度が一気に上がるため、仕事や落ち着いた場では浮きます。3足のなかでは最も高く、価格帯としても軽い買い物ではありません。

厚底に合わせるパンツは、裾で決まる
靴の厚みを足したときに崩れるのは、たいていパンツのほうです。足元のボリュームが増えるので、いつもの裾幅と丈のままだと、上半身と釣り合わなくなる。
裾幅の目安は、靴の甲に軽く乗るくらい。細すぎると靴だけが前に出て、足首から下が別の生き物に見えます。逆に広すぎると厚みが隠れてしまい、わざわざ厚底を選んだ意味が薄れる。JADONのように厚みのある靴ほど、裾は少し太めのほうが収まります。
丈は、くるぶしが見えるか見えないかのあたり。長すぎると靴の上で生地が溜まり、せっかく上がった重心が下に引き戻されます。1460 BEXくらいの厚みなら、いつものパンツのまま合うことが多い。ここでも上限の内と外で差が出ます。
色の話も一つだけ。厚底の黒い靴に濃紺や黒のパンツを合わせると、足元と脚がつながって見えて、厚みの主張が和らぎます。カジュアルに振りすぎたくない日は、この組み合わせが効きました。
上限の内と外で、何が変わるか
1460 BEXとJADON。靴底一段ぶんの違いですが、その差が出る場所は具体的です。
まず、姿見に映る足元の面積。靴の側面が縦に伸びるので、正面から見たときの塊としての存在感が増します。同じ黒い革のブーツでも、BEXは服の一部に見えて、JADONは靴として先に目に入る。
次に、階段や電車での挙動。厚みが増すほど、足元の感覚と実際の位置がずれます。厚みが増すほど慣れが要る部分で、最初の数日は段差との距離感がつかみにくくなります。
最後に、合わせられる場面の数。BEXは仕事の日にも週末にも履けるので稼働が高く、JADONは服を選びます。1足しか買わないならBEX、すでに何足か持っていて足元で遊びたいならJADON。この振り分けが、いちばん現実に近い。
僕が厚底を敬遠していた理由
もともと僕は、足元にボリュームのある靴を避けていました。綺麗め・大人シンプルを軸にしていると、厚底は明らかに異物に見えたからです。
考えが変わったのは、厚みには段階があると気づいてからでした。1460と1460 BEXの違いは、靴底一段ぶん。この程度なら、いつもの格好の中で違和感なく成立します。厚底かそうでないかの二択で考えていた時期は、この中間がまるで見えていませんでした。
いま思えば、避けていたのは厚みそのものではなく、上限を越えた厚みだったのだと思います。だから先に線を引く。5cmの手前までは日常の靴、そこを越えたら着るものごと変える靴。この整理をしてから、厚底は選択肢に入りました。
身長を出したいだけなら、厚底以外にも手はある
相談を受けていて多いのが、目的が「厚底が履きたい」ではなく「身長を出したい」というケースです。それなら、選択肢は厚底ブーツだけではありません。ソールに厚みのあるスニーカーなら重心の上がり方が穏やかで、歩き方を変えずに高さを稼げます。僕が実際に履いて身長が盛れたスニーカーは スタイルが良く見えるスニーカー に書いています。
服の側で解決する手もあります。足元で稼ぐより、パンツの丈と重心の位置を直したほうが効く場面は多い。スーツを着る機会があるなら スーツで身長を高く見せる方法 のほうが、投資に対する見返りは大きいはずです。
足元で身長を出したい人へ
- アトランティックスターズのスニーカー厚底ブーツより気軽に足元で高さを出したい人に
- トロエントープのサボ春夏に足元で高さを稼ぎたい人に
- ダブルエイチの靴革靴のまま高さを足したい人に
3足の向き不向きを、条件で分ける
選ぶときの分かれ目
- 厚底が初めて・重い靴が続かなかった → パンパ ハイ シーカー ライトプラス
- 仕事や落ち着いた場でも履く → 1460 BEX
- 厚みを最大まで振りたい・身長を出したい → JADON
- 歩く距離が毎日長い → かかと5cmには乗せない
- 経年変化を楽しみたい → 化繊系のアッパーは外す
- ブーツの形が条件 → パンパ ハイ シーカーは外す
買う場所についても触れておきます。ドクターマーチンもPALLADIUMも通販モールでの取り扱いが多く、そこには正規の流通品と並行輸入品、それに中古が混ざります。とくに1460 BEXの黒スムース(品番25345001)は、ドクターマーチンの日本公式ストアの現行ラインには載っておらず、通販モールの掲載はほぼ並行輸入品です。保証やサイズ交換の扱いが正規品とは違うこと、サイズごとに単品出品されていて狙ったサイズが取り寄せになりやすいことは、先に知っておいてください。
同じ型番でも出どころによって値段が動くので、モールに並ぶ金額は実売の目安であって定価ではありません。返品の条件も出品者ごとに違うため、金額だけで決めないほうが安全です。JADONは公式ストアに現行品として品番15265001が載っているので、正規で買いたいならそちらを見に行けます。
サイズについては、革のブーツは慣らしの期間を見込んでおくこと。1460 BEXは履き始めが硬いので、最初の数週間は近所を歩くくらいに留めておくと、かかとを痛めずに済みます。厚底は靴底が硬いぶん、足の裏が曲がる位置と靴の曲がる位置がずれると痛みが出やすい。試着できるなら、その場で数歩ではなく店内を一周してみてください。
厚みは、先に決めていい
厚底ブーツは感覚で選ばれがちですが、かかとが5cmに乗るか、その手前で止まるか。この一線を先に引いておくと、判断は一気に楽になります。手前までなら大人の格好の中に収まり、越えると靴が主役になる。まず試すなら軽い1足から入り、続きそうなら革へ移る。
自分がどこまで振りたいかを決めてから、その厚みを持っている靴を選ぶ。順番をこちらにするだけで、履かないまま下駄箱に眠る1足は減ります。厚みは好みの問題ですが、続くかどうかは重さと素材の問題。ここを混ぜないのが、いちばん確実な選び方でした。
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