白檀を芯に、カルダモンやクローブといった香辛料と、はちみつや樹脂の甘さを重ねた東方の香りです。アルコールを使わない水性のつくりなので、つけた瞬間から刺激なく立ち上がり、拡散は穏やか。持続は3〜4時間と短めです。香りで存在を主張するのではなく、近い距離の人にだけ届けばいいと考える人に向く一本。
古代エジプトには、キフィという神殿用の練り香がありました。太陽神ラーを讃えるために焚かれたもので、複数の香料を蜂蜜や葡萄酒で練って作られます。ビュリーのオー・トリプル アル・カシールは、その系譜に連なる香りです。
この記事でわかること
- 白檀を中心に香辛料と樹脂を重ねた、香りの中身
- アルコールを使わない水性香水という作りと、持ちが短くなる理由
- 秋冬や夜に向き、夏の日中は不利になる使いどころ
- 75mLで23,210円という値段と、買う場所ごとの違い
結論:持ちの短さを承知で選ぶ、白檀と香辛料の一本
総合評価:3.8 / 5.0 ★★★★★
アル・カシールは、白檀を受け皿にして香辛料と樹脂を幾重にも重ねた香りです。アルコールを使わない水性なので、つけた瞬間の刺激がなく、人前でつけ直しても不自然になりにくい。他で代わりの利かない厚みに2万3千円を払えるかどうかが、判断の分かれ目になります。
弱点は持続の短さで、3〜4時間ほどで消えていきます。これは肌への負担を減らすための構造上の割り切りなので、朝と昼の2回に分ければ一日は足ります。拡散も控えめ。そのぶん距離の近い職場でも使いやすい香りです。存在を香りで主張したい人には物足りない一方、近い人にだけ届けばいいと考える人には過不足がありません。
ビュリー アル・カシールの基本情報
| ブランド | オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリー(1803年パリ創業/2014年復刻) |
| 商品名 | オー・トリプル アル・カシール |
| 容量 / 価格 | 75mL:23,210円 |
| 香調 | サンダルウッド(白檀)を中心に、カルダモン・シナモン・ジンジャー・クローブ、はちみつ・安息香、ヒマラヤ杉やエレミなどの木と樹脂 |
| 系統 | 木と樹脂を軸にした東方系 |
| 作り | アルコール不使用の水性(2年かけて開発した混和性水溶液) |
| 持続 | 3〜4時間が目安 |
| 題材 | 古代エジプトの神殿用の練り香「キフィ」 |
サンダルウッドを中心に据える
公式の説明は「19世紀の学者達が、エジプトとその財宝を求め夢見た東方を表現した香り」。第三の目を開く「神々からの恵み」として、東方やインドで幾千年も聖なる樹とされるサンダルウッドが中心にある、とされています。
公式はさらに「サンダルウッドは古代エジプトで太陽神ラーを讃える為に焚いたキフィというブレンドされた香の材料としても使われていました」と書いています。
白檀は日本でも香道や仏具に使われてきた木です。宗教と結び付いた素材という点で、洋の東西を問いません。
スパイスの連なり
公式が挙げている原料は多岐にわたります。
| 群 | 原料 |
|---|---|
| スパイス | カルダモン、シナモン、ジンジャー、クローブ |
| 花 | ゼラニウム(バラに似た香り)、モクセイ |
| 甘さ | はちみつ、安息香(バニラに似た樹脂) |
| 木と樹脂 | ヒマラヤ杉、ガルジャンウッド、ガイアウッド、エレミ |
| その他 | パチョリ、レザー、ゴジアオイ |
これだけの素材を重ねながら破綻しないのは、サンダルウッドという受け皿の広い木が中心にあるからでしょう。
水性香水という作り
オー・トリプルの特徴はアルコールを使っていないことです。公式は2年をかけて開発した混和性水溶液だと説明しています。香料は本来アルコールに溶かすもので、水には溶けません。そこを技術で解いた、というのがこの香水の売りです。
| 観点 | 一般的な香水 | オー・トリプル |
|---|---|---|
| 溶媒 | アルコール | 水 |
| つけた瞬間 | アルコールのツンとした刺激 | 刺激がなく、最初から香りが立つ |
| 肌への負担 | 乾燥を感じることがある | 刺激が出にくい |
| 持続 | 5〜8時間ほど | 短い。3〜4時間が目安 |
アルコールは香りを飛ばす力も持っています。それが無いぶん、拡散と持続では不利になる。肌へのやさしさと引き換えに持ちを捨てている、というのがこの香水の設計です。
香料は油に近い性質を持つため、水とは本来混ざりません。ドレッシングが分離するのと同じ理屈です。そこを混ぜたまま安定させる技術が、この香水の中身にあたります。公式が2年という開発期間をわざわざ書いているのも、そこが商品の核だからでしょう。
つけた瞬間の刺激がないという点は、実際に使う場面で効いてきます。一般的な香水は最初の数十秒がアルコールの匂いに支配されるので、人前でつけ直すのがためらわれる。その制約がありません。
つけ方と付き合い方
アルコールの刺激がないので、つけた直後から完成した香りが立ちます。一般的な香水のように「最初の数分は様子を見る」必要がありません。
持ちの短さと付き合う
- 朝と昼の2回に分けてつける
- 拡散が穏やかなので、首すじなど上半身でも失礼になりにくい
- 服より肌のほうが本来の出方をする
すれ違いざまに気づかせる種類の香りではありません。近い距離にいる人にだけ届く、と考えておくと期待を外しません。
生きる場面
| 場面 | 向き | 理由 |
|---|---|---|
| 秋冬 | ◎ | 樹脂とスパイスが整う |
| 夜の外出 | ◎ | 重心が低く大人びる |
| 職場 | ○ | 水性で拡散が穏やか |
| 夏の日中 | △ | 汗と混ざるとスパイスが立つ |
量の目安
- 2プッシュ。水性なので多めでも崩れない
- 朝と昼で分ける
- 食事の席は避ける。スパイスが料理とぶつかる
このブランドのこと
オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリーは、1803年のパリで生まれた美容薬局を2014年に復刻したブランドです。創業者ジャン=ヴァンサン・ビュリーの名前と処方を引き継ぎ、内装から包装まで19世紀の意匠で統一しています。
残念なところ
持続が短いのは避けようがありません。アルコールを使わない以上、構造的な制約です。
価格も安くない。75mLで23,210円は、同容量の一般的な香水と比べても高い部類に入ります。
拡散も穏やかです。香りで存在を主張したい人には向きません。
試せる場所も限られます。国内の売り場は数が少なく、地方だと現物に触れる機会がほぼありません。水性香水は比較対象そのものが少ないジャンルなので、想像で買うことになりがちです。
素材が多く、香りの説明が難しい一本でもあります。「何の香り?」と聞かれて一言で答えられません。
とはいえ短所はどれも作りから来るもので、正体がはっきりしています。持ちの短さはつけ直しで濃さを調整できますし、拡散の穏やかさは職場でも使える距離感の裏返し。一言で説明できない香りだからこそ、人と同じ一本になりません。
どの大きさを買うか
日本では公式オンラインと直営店で買えます。国内に路面店と百貨店の売り場があります。
| 容量 | 価格 |
|---|---|
| 75mL | 23,210円 |
オー・トリプルは香りの種類にかかわらず同じ価格です。選ぶ基準が値段ではなく香りだけになるので、そこは分かりやすい。
| 買う場所 | 価格 | 注意 |
|---|---|---|
| 直営店・公式 | 定価 | 試してから買える。名入れにも対応 |
| 百貨店の売り場 | 定価 | 取扱店舗は限られる |
| 通販の転売品 | 上下する | 保管状態が読めない |
ビュリーには、ボトルにカリグラフィーで名入れをするサービスがあります。店頭でその場で書いてもらう形で、贈り物にする人が多い。同じ価格でも、この一手間があるかどうかで買い物の性格が変わります。
買う前に
2万3千円を超える買い物になります。しかも水性香水は数が少なく、比較対象を持っている人のほうが稀です。少量から試す方法を持っておくと、この価格帯でも踏み出しやすくなります。
あわせて読みたい
- 水性香水の使用感を知りたいなら、ベルカンヌを実際に使ったレビューもどうぞ。
- 同じブランドの【ビュリー】マカサーはタバコと樹脂の香り、その由来もどうぞ。
まとめ:白檀と香辛料を、水で運ぶ一本
アル・カシールは、古代エジプトの神殿の香にさかのぼる系譜の一本です。白檀を中心に、スパイスと樹脂を幾重にも重ねています。
説明のしにくさと引き換えに、他にない厚みがあります。水性なので、この方向でも日常に持ち込めるのが利点です。
価格は75mLで23,210円。オー・トリプルは香りの種類が変わっても同じ値段で、選ぶ基準は香りだけに絞られます。買うなら直営店か公式が確実。店頭ではカリグラフィーの名入れにも応じてもらえるので、贈り物にも向きます。
持続は3〜4時間と短く、拡散も穏やかです。ただしそれは、アルコールを使わない代わりに得た刺激の少なさの裏返し。朝と昼で分けてつければ一日は持ちますし、近い距離にだけ届く香り方は、相手との間合いが近い場所ではむしろ扱いやすい。試せる売り場が少ない点だけ先に頭へ入れておくと、買ってからの後悔が減ります。
ほかの銘柄と迷うなら、ビュリーの選び方もあわせてどうぞ。
※本記事はプロモーションを含みます

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