オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリーの香水は、他のブランドと成り立ちが違います。アルコールを使わない水性。だから肌に乗せたときの立ち上がりが穏やかで、香りが服より肌に寄り添う。
この一点を知らずに買うと「弱い」と感じて終わります。逆に、香水が苦手で諦めていた人にとっては答えになりうる。僕はこのブログでビュリーを22本レビューしました。ここはその読み方の説明です。
パリの薬局を源流に持つブランドで、店構えも商品名も19世紀の意匠をそのまま使っています。名前が長く読みにくいのはそのため。慣れるまでは、原料の部分だけ拾って読んでください。
水性であることが、そのまま長所と短所になる
アルコールが入っていないので、つけた瞬間のツンとした刺激がない。肌が弱い人や、香水の立ち上がりが苦手な人には大きな利点です。
代わりに、拡散も持続も控えめ。周囲に強く香らせたい人には向きません。距離が近い相手にだけ届く香り、という理解が正確です。ベルカンヌのレビューでは、その使用感を最初に検証しています。
もうひとつの特徴が、名前の付け方。原料と産地を並べる規則で名づけられているので、名前を読めば構成の見当がつく。「ローズ・ドゥ・ダマス」ならダマスクローズ、「セードル・デュ・リバン」ならレバノン杉。慣れると棚が索引のように見えてきます。
和の題材から入る
ビュリーは日本の素材を扱った銘柄をいくつも出しています。馴染みがある題材なので、最初の1本として選びやすい列です。海外ブランドが描く日本という視点も、読み物として面白い。
- スミ・ヒノキ。京都の焼き杉から生まれた香り
- ユズ・ドゥ・キソ。木曽の柚子を水性で写す
- アル・カシール。白檀と香辛料
- ウード・ドゥ・メディンヌ。サフランとバラのウード
花で選ぶなら
水性は花との相性がいい。アルコールで飛ばさないぶん、花の湿った質感がそのまま残ります。生花に近い印象を求める人はこの列へ。
- ローズ・ドゥ・ダマス。水性のバラという答え
- チュベローズ・デュ・メキシク。白い花の女王を水で
- イリス・ドゥ・マルト。地中海のアイリス
- ヘリオトロープ・デュ・ペルー。ホテルの香りという評
- ミルラ・デリトレー。没薬と白い花の四重奏
木・樹脂・煙で選ぶなら
落ち着いた印象に寄せたいならこの列。水性なので、同系統の一般的な香水より重くなりません。仕事場でも使いやすい濃度に収まります。
- セードル・デュ・リバン。レバノン杉の話
- マカサー。タバコと樹脂、その由来
- アンブル・ドゥ・マダガスカル。琥珀とタバコ
- ミエル・ダングルテール。英国の図書館の午後
- フォレ・ドゥ・コミ。ウラル山脈の森という設定
- リケン・デコス。スコットランドの苔
野菜と果実という変わり種
ビュリーで一番おもしろいのがこの列です。きゅうり、バジル、トマト、ビーツ、にんじん。冗談のようですが、どれも真面目に組まれた香水として成立している。
- コンコンブル・ダンド・エ・マント・ドゥ・シリィ。きゅうりの香水
- ヴェルヴェーヌ・デザンド・エ・バジリック・ドゥリュ。バジルの香水
- グロゼイユ・ドゥ・スカンジナーヴ・エ・トマト・デュ・ペルー。青いトマト
- クレッソン・ドリオン・エ・ペルシ・ドゥ・サルデーニュ。クレッソンとパセリ
- ベトラーヴ・ディラク・エ・リュバーブ・デジプト。ビーツの甘さ
- パタットドゥース・デ・カライブ・エ・キャロット・ダフガニスタン。根菜の甘さ
人と被らない香りを探しているなら、迷わずここから。ただし店で必ず試してください。想像だけで買う列ではない。名前の突飛さと中身の完成度が噛み合っているかは、鼻でしか確かめられません。
最初の1本の決め方
香水が得意でない人、肌が弱い人はユズ・ドゥ・キソやスミ・ヒノキのような和の題材から。香水に慣れていて変化が欲しい人は、野菜の列へ。定番の華やかさが欲しいならローズ・ドゥ・ダマスが分かりやすい入り口になります。
迷ったときの基準をひとつ。ビュリーは「自分のための香り」に向いています。誰かに気づかせたい日ではなく、自分の機嫌を整えたい日に選ぶ。そう考えると、題材で選んでも失敗しにくくなる。
弱点は水性であること、そのもの
繰り返しますが、持続と拡散は期待しないでください。数時間で肌に寄り、そこから先は自分だけが分かる香りになります。1日中まとわせたい人には向かない。
価格も安くはありません。加えて取り扱い店舗が限られるので、地方だと試す機会そのものが少ない。通販で買うなら、水性という前提を理解したうえで小さい容量から始めるのが安全です。
もうひとつ、名前が長くて覚えにくい。店員に伝えるときは原料名だけ言えば通じます。通販で探すときも、カタカナ全部ではなく原料の部分だけで検索したほうが早く見つかる。表記ゆれが多いので、原料名で当たるほうが確実です。
つけ方は、他の香水と変えたほうがいい
水性は肌に近いところで香るので、服ではなく肌に直接つけてください。首元や手首など、体温が高い場所のほうが立ち上がる。量は多めでも刺々しくならないので、3プッシュ程度から試して構いません。
乾燥している肌だと香りが残りにくいので、保湿してからつけると持ちが変わります。無香料の乳液を薄く塗ってから乗せる。これだけで体感の持続がかなり伸びる。ビュリー自体もハンドクリームなど保湿の品を出しているので、揃えて使う手もあります。
反対に、服や髪に吹き付けるのは向きません。水性は繊維に残りにくく、香りが立ち上がらないまま終わる。肌に置く、という一点だけ守ってください。
水性という前提で選べば、外さない
穏やかに香ること、距離の近い相手にだけ届くこと。この2つを納得したうえで系統を選べば、ビュリーは長く付き合える香水になります。
気になった銘柄が決まったら、各レビューで短所まで確かめてください。このページも、レビューが増えるたびに足していきます。
※本記事はプロモーションを含みます

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