バラの香水は数え切れないほどありますが、水性のものはほとんどありません。ビュリーのオー・トリプル ローズ・ドゥ・ダマスは、その珍しい組み合わせです。僕はこれを持っていないので、公式が公表している内容から読み取れることを整理します。
バラを甘くしない組み立て
公式の説明は「庭から摘んだばかりの朝露きらめくローズのアプソリュート」。そこに軽やかなジンジャー、ベチバーとアトラスシダーウッドの余韻、繊細なムスクが重なります。
注目したいのはジンジャーとベチバーです。生姜のぴりっとした刺激と、根から採る土の匂い。どちらも甘さとは逆を向いています。
公式が「決して強く主張することなく、まるで冠のように肌の上で花開く」と書いているとおり、香水のバラにありがちな押しの強さを避けた設計になっています。
ダマスクローズという品種
公式は「詩人ウマル・ハイヤームが愛した、春の終わりに咲く中東産オールドローズ」と説明しています。
| 出来事 | 内容 |
|---|---|
| 起源 | 中東。十字軍がペルシャからヨーロッパへ持ち込んだとされる |
| 19世紀 | 皇妃ジョゼフィーヌがマルメゾンに数千種のバラ園を作らせた |
| 現在 | 香料用バラの代表格。ブルガリアやトルコが産地 |
香水に使うバラは主にダマスクとセンティフォリアの2種類です。ダマスクのほうが濃く、蜜のような甘さを持ちます。
水性香水という作り
オー・トリプルの特徴はアルコールを使っていないことです。公式は2年をかけて開発した混和性水溶液だと説明しています。香料は本来アルコールに溶かすもので、水には溶けません。そこを技術で解いた、というのがこの香水の売りです。
| 観点 | 一般的な香水 | オー・トリプル |
|---|---|---|
| 溶媒 | アルコール | 水 |
| つけた瞬間 | アルコールのツンとした刺激 | 刺激がなく、最初から香りが立つ |
| 肌への負担 | 乾燥を感じることがある | 刺激が出にくい |
| 持続 | 5〜8時間ほど | 短い。3〜4時間が目安 |
アルコールは香りを飛ばす力も持っています。それが無いぶん、拡散と持続では不利になる。肌へのやさしさと引き換えに持ちを捨てている、というのがこの香水の設計です。
香料は油に近い性質を持つため、水とは本来混ざりません。ドレッシングが分離するのと同じ理屈です。そこを混ぜたまま安定させる技術が、この香水の中身にあたります。公式が2年という開発期間をわざわざ書いているのも、そこが商品の核だからでしょう。
つけた瞬間の刺激がないという点は、実際に使う場面で効いてきます。一般的な香水は最初の数十秒がアルコールの匂いに支配されるので、人前でつけ直すのがためらわれる。その制約がありません。
男がバラをつけられるか
この構成ならつけられます。理由は3つあります。
男性でも成立する理由
- ジンジャーとベチバーで甘さが断たれている
- 水性で拡散が穏やか。周囲に押し付けない
- 持続が短いので、合わなければ数時間で消える
バラの香水で失敗するのは、たいてい量と拡散の問題です。水性はその両方が構造的に抑えられているので、扱いを間違えにくい。
つけ方と付き合い方
アルコールの刺激がないので、つけた直後から完成した香りが立ちます。一般的な香水のように「最初の数分は様子を見る」必要がありません。
持ちの短さと付き合う
- 朝と昼の2回に分けてつける
- 拡散が穏やかなので、首すじなど上半身でも失礼になりにくい
- 服より肌のほうが本来の出方をする
すれ違いざまに気づかせる種類の香りではありません。近い距離にいる人にだけ届く、と考えておくと期待を外しません。
ブランドの話
オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリーは、1803年のパリで生まれた美容薬局を2014年に復刻したブランドです。創業者ジャン=ヴァンサン・ビュリーの名前と処方を引き継ぎ、内装から包装まで19世紀の意匠で統一しています。
物足りないところ
持続が短いのは避けようがありません。アルコールを使わない以上、構造的な制約です。
価格も安くない。75mLで23,210円は、同容量の一般的な香水と比べても高い部類に入ります。
拡散も穏やかです。香りで存在を主張したい人には向きません。
試せる場所も限られます。国内の売り場は数が少なく、地方だと現物に触れる機会がほぼありません。水性香水は比較対象そのものが少ないジャンルなので、想像で買うことになりがちです。
バラという素材そのものが好みを選びます。設計でどうにかできる範囲を超えています。
容量と値段の目安
日本では公式オンラインと直営店で買えます。国内に路面店と百貨店の売り場があります。
| 容量 | 価格 |
|---|---|
| 75mL | 23,210円 |
オー・トリプルは香りの種類にかかわらず同じ価格です。選ぶ基準が値段ではなく香りだけになるので、そこは分かりやすい。
| 買う場所 | 価格 | 注意 |
|---|---|---|
| 直営店・公式 | 定価 | 試してから買える。名入れにも対応 |
| 百貨店の売り場 | 定価 | 取扱店舗は限られる |
| 通販の転売品 | 上下する | 保管状態が読めない |
ビュリーには、ボトルにカリグラフィーで名入れをするサービスがあります。店頭でその場で書いてもらう形で、贈り物にする人が多い。同じ価格でも、この一手間があるかどうかで買い物の性格が変わります。
買う前に確かめる
2万3千円を超える買い物になります。しかも水性香水は数が少なく、比較対象を持っている人のほうが稀です。少量から試す方法を持っておくと、この価格帯でも踏み出しやすくなります。
あわせて読みたい
- 水性香水の使用感を知りたいなら、ベルカンヌを実際に使ったレビューもどうぞ。
- 同じブランドのビュリー ユズ・ドゥ・キソもどうぞ。
要点をもう一度
ローズ・ドゥ・ダマスは、バラをジンジャーとベチバーで引き締めた香りです。甘さに流れないので、バラを敬遠してきた人にも入り口があります。
水性で拡散が穏やかなぶん、男性が持っても扱いを誤りにくい一本です。
※本記事はプロモーションを含みます









コメント