柚子を使った香水はいくつもありますが、産地まで名指ししたものは多くありません。ビュリーのオー・トリプル ユズ・ドゥ・キソが掲げているのは木曽です。公式が公表している内容から読み解きます。
木曽という土地の選び方
木曽は長野県の南西部にある山間の地域です。ヒノキの産地として知られ、森林が9割近くを占めます。
柚子の名産地として真っ先に挙がる場所ではありません。それでもここを選んだのは、柑橘そのものより、山の空気を含んだ柑橘を写したかったからでしょう。
公式の説明にも、レモンやペパーミントに加えて朴(ほお)の木が出てきます。
原料の並び
| 原料 | 役割 |
|---|---|
| フルーティなレモン | 柑橘の明るさ。入り口 |
| ペパーミント | 清涼感。柚子の青さを補強 |
| 月桂樹 | ハーブの苦み。厚みを足す |
| 朴の木 | 日本の樹木。木の芯を作る |
| ホワイトムスク、クローブ | 官能的な余韻 |
朴の木は日本の山地に生える落葉樹で、朴葉味噌の葉としても知られます。香水の原料としてはほぼ見かけない素材で、ここが独自性になっています。
柑橘に月桂樹とクローブを合わせるのは、料理の発想に近い。実際、この2つは煮込みに使われる香辛料です。
水性香水という作り
オー・トリプルの特徴はアルコールを使っていないことです。公式は2年をかけて開発した混和性水溶液だと説明しています。香料は本来アルコールに溶かすもので、水には溶けません。そこを技術で解いた、というのがこの香水の売りです。
| 観点 | 一般的な香水 | オー・トリプル |
|---|---|---|
| 溶媒 | アルコール | 水 |
| つけた瞬間 | アルコールのツンとした刺激 | 刺激がなく、最初から香りが立つ |
| 肌への負担 | 乾燥を感じることがある | 刺激が出にくい |
| 持続 | 5〜8時間ほど | 短い。3〜4時間が目安 |
アルコールは香りを飛ばす力も持っています。それが無いぶん、拡散と持続では不利になる。肌へのやさしさと引き換えに持ちを捨てている、というのがこの香水の設計です。
香料は油に近い性質を持つため、水とは本来混ざりません。ドレッシングが分離するのと同じ理屈です。そこを混ぜたまま安定させる技術が、この香水の中身にあたります。公式が2年という開発期間をわざわざ書いているのも、そこが商品の核だからでしょう。
つけた瞬間の刺激がないという点は、実際に使う場面で効いてきます。一般的な香水は最初の数十秒がアルコールの匂いに支配されるので、人前でつけ直すのがためらわれる。その制約がありません。
柑橘の持続について
柑橘は最も飛びやすい原料です。一般的な香水でも30分から1時間で消えることがある。
オー・トリプルはもともと持続が3〜4時間と短めですが、柑橘系だからといってさらに短いわけではありません。ムスクとクローブが下支えしているので、柑橘だけが先に消えるという形にはなりにくい。
つけ方と付き合い方
アルコールの刺激がないので、つけた直後から完成した香りが立ちます。一般的な香水のように「最初の数分は様子を見る」必要がありません。
持ちの短さと付き合う
- 朝と昼の2回に分けてつける
- 拡散が穏やかなので、首すじなど上半身でも失礼になりにくい
- 服より肌のほうが本来の出方をする
すれ違いざまに気づかせる種類の香りではありません。近い距離にいる人にだけ届く、と考えておくと期待を外しません。
使いどころ
| 場面 | 向き | 理由 |
|---|---|---|
| 春夏 | ◎ | 柑橘とミントが季節に合う |
| 職場 | ◎ | 拡散が穏やかで清潔感が伝わる |
| 食事の席 | ○ | 料理とぶつかりにくい |
| 冬の夜 | △ | 明るさが場面から浮く |
量の目安
- 2プッシュ。水性は多めでも重くならない
- 朝と昼に分けてつける
- 手首と首すじの両方に置くと持ちが延びる
ブランドについて
オフィシーヌ・ユニヴェルセル・ビュリーは、1803年のパリで生まれた美容薬局を2014年に復刻したブランドです。創業者ジャン=ヴァンサン・ビュリーの名前と処方を引き継ぎ、内装から包装まで19世紀の意匠で統一しています。
気になるところ
持続が短いのは避けようがありません。アルコールを使わない以上、構造的な制約です。
価格も安くない。75mLで23,210円は、同容量の一般的な香水と比べても高い部類に入ります。
拡散も穏やかです。香りで存在を主張したい人には向きません。
試せる場所も限られます。国内の売り場は数が少なく、地方だと現物に触れる機会がほぼありません。水性香水は比較対象そのものが少ないジャンルなので、想像で買うことになりがちです。
柑橘系は競合が非常に多い領域でもあります。数千円の商品にも良質なものがあり、2万3千円という価格を正当化する理由を自分で説明できるかが問われます。
容量と買い方
日本では公式オンラインと直営店で買えます。国内に路面店と百貨店の売り場があります。
| 容量 | 価格 |
|---|---|
| 75mL | 23,210円 |
オー・トリプルは香りの種類にかかわらず同じ価格です。選ぶ基準が値段ではなく香りだけになるので、そこは分かりやすい。
| 買う場所 | 価格 | 注意 |
|---|---|---|
| 直営店・公式 | 定価 | 試してから買える。名入れにも対応 |
| 百貨店の売り場 | 定価 | 取扱店舗は限られる |
| 通販の転売品 | 上下する | 保管状態が読めない |
ビュリーには、ボトルにカリグラフィーで名入れをするサービスがあります。店頭でその場で書いてもらう形で、贈り物にする人が多い。同じ価格でも、この一手間があるかどうかで買い物の性格が変わります。
買う前に
2万3千円を超える買い物になります。しかも水性香水は数が少なく、比較対象を持っている人のほうが稀です。少量から試す方法を持っておくと、この価格帯でも踏み出しやすくなります。
あわせて読みたい
- 水性香水の使用感を知りたいなら、ベルカンヌを実際に使ったレビューもどうぞ。
- 同じブランドのビュリー スミ・ヒノキは京都の焼き杉から生まれた香りもどうぞ。
まとめ
ユズ・ドゥ・キソは、柚子に山の空気を重ねた香りです。朴の木という珍しい素材が、日本の森を思わせる芯を作っています。
柑橘の香水としては珍しく、アルコールの刺激なしで最初から完成した香りが立ちます。そこに価値を見出せるかどうかです。
※本記事はプロモーションを含みます









コメント