甘酸っぱい果実から始まり、木とムスクへ静かに落ちていく香りです。出だしはグレープフルーツとレモンの酸にパイナップルの甘さ、中盤はリンゴとプラムの丸い甘さにローズが混ざり、最後はシダーウッドとホワイトムスクだけが肌に薄く残る。角の立つところがないぶん、香水に慣れていない人の最初の1本にも向きます。
クリードで真っ先に名前が挙がるアバントゥスと、同じパイナップルを使いながら煙を重ねていない1本。公式が挙げている原料は8つしかなく、その少なさが軽さになっています。香水に慣れていない人への贈り物として現実的な選択肢です。
この記事でわかること
- 甘酸っぱい果実から木とムスクへ移る、香りの流れ
- 公式が挙げている原料は8つだけという作りの軽さ
- 正規と並行輸入の値段差と、そこで割り引いて考えること
- 個性の薄さという弱点を、どう受け取るか
結論:クリードでいちばん角のない、甘酸っぱい1本
総合評価:3.5 / 5.0 ★★★☆★
答えを先に書くと、香りで自己主張しないための1本です。フィレンツェから発想された果実と花の香りで、クリードの中ではいちばん角がない。つけた直後から人前に出られる素直さがあり、香水に慣れていない人でも量さえ守れば扱えます。
弱点も先に書いておきます。個性は薄く、ベースが2つしかないぶん持続も短い。3万円を超える買い物で手に入るのが「無難さ」だと納得できるかどうかで、評価は割れます。ただし主張しないことは、人と近い距離で話す日にはそのまま強みになる。選び慣れていない人ほど外しにくい、という形の値打ちです。
クリード アクア フィオレンティーナの基本情報
| ブランド | クリード(公式の説明では1760年にロンドンで創業) |
| 商品名 | クリード アクア フィオレンティーナ |
| 容量 | 30mL・75mL・250mL・500mL(250mLと500mLは詰め替え用) |
| 価格の目安 | 正規の取扱で3万円台〜6万円台が中心 |
| 香調 | トップ:グレープフルーツ・パイナップル・レモン / ミドル:リンゴ・ローズ・プラム / ベース:シダーウッド・ホワイトムスク |
| 系統 | 果実と花。公式は新鮮で若々しい香りだと説明 |
| 題材 | フィレンツェ |
香りの変化をレビュー:甘酸っぱい果実から、木とムスクへ
クリードといえば、まず名前が挙がるのはアバントゥスです。あちらが果実に煙を重ねて押し出す作りなら、こちらは同じパイナップルを使いながら煙を抜き、軽さだけを残した1本。フィレンツェから発想された果実と花の香りで、ブランドの中でいちばん角のない作品といえます。
公式が公開している原料は8つだけ。まず香りの見取り図から。
| 公式が挙げている原料 | |
|---|---|
| トップ | グレープフルーツ・パイナップル・レモン |
| ミドル | リンゴ・ローズ・プラム |
| ベース | シダーウッド・ホワイトムスク |

香水の紹介記事には、古い処方のまま公式と違う原料が書かれていることがあります。ここに載せているのは公式が現在公開している内容です。
公式自身は、フルーティで花のある、どんな場面でも楽しめる新鮮で若々しい香りだと説明しています。
トップ:柑橘の酸にパイナップルの甘さが重なる
肌に乗せた瞬間に立つのは、グレープフルーツとレモンの酸です。そこへパイナップルの甘さが重なり、素直に甘酸っぱい出だしになる。アバントゥスと同じ果実でここまで印象が変わるのは、煙を合わせていないからです。尖りがないぶん、つけた直後から人前に出られます。
ミドル:リンゴとプラムの丸い甘さにローズが混ざる
酸味が落ち着くと、リンゴとプラムの丸い甘さにローズが混ざってきます。果実2つに花1つという軽い顔ぶれで、甘くなりすぎる手前で止まる。表情が劇的に入れ替わる香水ではなく、最初の明るさがゆっくり丸くなっていく流れです。
ラスト:残るのはシダーウッドとホワイトムスクだけ
最後に残るのは、シダーウッドとホワイトムスクの2つだけです。木の乾いた静けさとムスクの柔らかさが肌の上で薄い膜のようにまとまり、主張しないまま引いていく。全部で8つという原料の少なさが、この穏やかな幕引きにそのまま表れています。持続は長くないので、日中のつけ直しを前提に。
どこにも尖ったところがないから、香水に慣れていない人でも扱えます。それがこの1本の値打ちです。
容量と価格の目安
公式が出している容量はこの通りです。
| 容量 | 使いどころ |
|---|---|
| 30mL | 試す・持ち歩く |
| 75mL | 日常の主軸 |
| 250mL | 詰め替え用の大容量 |
| 500mL | 詰め替え用の大容量 |
大容量は詰め替え用のボトルで、スプレーが付きません。使い続けると決めた香りに移るときの選択肢です。まず1本目を選ぶ段階なら、スプレー付きの容量から。
クリードは日本で買うと高いブランドです。正規の取扱では、容量にもよりますが3万円台から6万円台が中心の帯になります。50mLで4万円前後、100mLで5万円台という見当をしておくと大きくは外れません。香水としては最上位の価格帯で、ニッチ系と呼ばれるブランドの中でも高いほうに入ります。
プレゼントに選ぶ前に
香水を贈り物にするのは、本来かなり難しい選択です。身につけるものの中でも好みの幅が狭く、しかも受け取った側は合わなくても言い出しにくい。
贈る前に確かめておくこと
- 普段どんな香りを使っているか。系統が分かれば外しにくい
- 香水を日常的に使う人か。使わない人に贈ると置物になる
- 職場で香りを制限されていないか。医療や飲食では使えないことがある
- 容量は小さめでいい。30mLでも使い切るには1年以上かかる
クリードを贈り物に選ぶ理由があるとすれば、箱とボトルの作りがしっかりしていることです。正規で買えば刻印を入れられる場合もあり、そこは既製品との差になります。
ただし価格が価格なので、関係によっては相手を困らせます。4万円の香水を受け取ると、返礼を考えさせてしまう。贈る相手との距離を、香りの好み以上に先に考えたほうがいい。
日本での取り扱い
クリードは2023年8月に新宿伊勢丹で日本へ再上陸しました。国内の代理店はインターモード川辺で、正規品はここを通ったものになります。ただし取扱店はごく限られていて、地方では現物に触れる機会がほとんどありません。
そのため、日本で流通しているクリードの多くは並行輸入品です。個人や業者が海外から仕入れたもので、これ自体は違法ではない。ただ、正規と並行では扱いが変わります。
| 正規(伊勢丹など) | 並行輸入 | |
|---|---|---|
| 価格 | 定価。3〜6万円台 | 2〜4割安いことが多い |
| 保証 | 国内の窓口がある | 販売店ごと |
| 保管 | 管理されている | 経路が読めない |
| 刻印サービス | 受けられる | 対象外 |
価格差は小さくありません。ただし香水は熱と光で変わるので、輸送と保管の経路が読めないことは実質的なリスクです。極端に安いものには理由があると考えたほうがいい。
偽造品も存在します。クリードは世界的に模造の多いブランドで、ボトルの作り込みまで似せたものが出回っています。定価の半額を大きく下回るような値付けは、まず疑ってかかったほうがいい。
合う場面とつけ方
出番がいちばん多いのは平日の仕事の日です。香りで自己主張しない作りなので、人と近い距離で話す日でも気を使わずに済みます。汗ばむ季節に軽さが生き、ジャケットを脱いでシャツで過ごす昼にいちばん様になる。香りを覚えてもらいたい夜の場には向かないので、平日の定番に据えるのが現実的です。
クリードは香料の濃度が高く、少量で足ります。普段どおりの感覚で3プッシュも4プッシュも使うと、確実に多すぎます。
つける量と場所
- 1〜2プッシュから始める。足りなければ次の日に増やす
- 首すじ・耳の後ろ:人に届きやすい。仕事の場では控えめに
- 手首・肘の内側:動くたびに立ち上がる
- 腰まわり・膝の裏:下から穏やかに上がってくる。量を間違えにくい
つけた直後の30分は、自分でも強く感じます。そこで判断せず、1時間後の残り方で量を決めるといい。
香りが弱いと感じたときに足すのは、たいてい間違いです。人は自分の匂いに数分で慣れるので、自分に届かなくなった時点でも周りにはまだ届いています。「弱くなった気がする」で足していくと、外から見た量は倍になっている。自分の鼻を基準にしないことが、この価格帯の香水では特に大事になります。
肌が乾いていると持ちが落ちます。無香料のクリームを薄く塗ってからつけると、同じ量でも残り方が変わる。量を増やす前に、こちらを試したほうが安全です。
弱いところも書いておく
まず値段です。3万円を超える買い物になるので、香りが合わなかったときの損失が大きい。この価格帯は「なんとなく良さそう」で買っていい額ではありません。
試せる場所が限られます。国内の正規取扱は都市部の百貨店が中心で、地方だと現物を嗅がずに買うことになりがちです。香水を嗅がずに買うのは、本来いちばん避けたい買い方になります。
個性の薄さが最大の弱点です。この価格を払って手に入るのが「無難さ」であることに納得が要ります。
ベースが2つしかないので持続も短めです。日中につけ直すことが前提になります。
クリードというブランド
クリードは公式の説明によれば1760年にロンドンで始まった家の名前です。もともとは仕立て屋で、手袋に香りを移す仕事から香水へ移っていったとされています。現在まで一族が経営を続けてきたことを掲げていて、そこがこのブランドの語り方の中心になっています。
ただしこの歴史については異論もあります。香水を本格的に作り始めたのは20世紀後半からではないか、という指摘が香水研究の側から出ている。買う前に知っておいて損はない話です。香り自体の質と、掲げている物語は別のものとして見たほうがいい。
作りそのものは評価が定まっています。天然原料の比率が高く、同じ名前の香りでも製造ロットによって微妙に違う。工業製品として完全に均一ではないところを、欠点と取るか個性と取るかで評価が割れます。
先に試す方法がある
4万円前後の買い物です。しかも国内で試せる場所が限られている。この2つが重なると、嗅がずに買って外す確率が上がります。少量から試す手段を持っておくと、失敗したときの損失が桁で変わります。
あわせて読みたい
- クリードで最初に名前が挙がる1本を知りたいなら、クリード アバントゥスの徹底検証もどうぞ。
- 同じブランドのクリード ロイヤル プリンセス ウードの香りもどうぞ。
まとめ:角のなさを値打ちと取れるかどうか
クリード アクア フィオレンティーナ は4万円前後です。国内で現物に触れる機会が少ないぶん、嗅がずに買う人が多い香りになります。
贈り物にするなら、相手の好みを確かめる手段を先に持っておくほうが確実です。
香りの中身は最後まで穏やかです。出だしの酸と甘さがゆっくり丸くなり、シダーウッドとホワイトムスクだけが静かに引いていく。汗ばむ季節に軽さが生きるので、ジャケットを脱ぐ昼にいちばん様になります。持続が短めなのも、日中につけ直して濃さを自分で決められると考えれば、扱いやすさのほうに寄ります。
引っかかるのは、個性の薄さと買い方の2つです。前者は価格に見合う華やかさを求める人には向きませんが、香りを覚えてもらう必要のない場面なら、そのおとなしさがそのまま使いやすさになる。後者は並行輸入なら2〜4割安いかわりに保管の経路が読めないので、極端に安いものを避けて選べば差は小さい。少量から試して、合うと分かってから大きい容量へ移るのが確実です。
クリード アクア フィオレンティーナに近い方向で探すなら
似た方向で探すなら、この3本が候補になります。同じ香りではないぶん、何が近くて何が違うのかを書いておきます。
| 銘柄 | 価格の目安 | 近いところ | 違うところ |
|---|---|---|---|
| メゾン マルジェラ レプリカ アップ アット ドーン | 12,210円〜 | ローズ・ムスクが重なる | パチョリが入り、土っぽさが出る |
| ル ラボ ローズ31 | 14,300円〜 | シダー・ローズが重なる | アンバーが入り、甘く温かい余韻が残る |
| ディプティック オー ローズ オードトワレ | 18,700円〜 | シダー・ローズが重なる | 容量と価格の刻みが違う |
どれも代わりにはなりません。「近い方向をもう1本持ちたい」のか「これの代わりを安く済ませたい」のかで、選ぶ先が変わります。
※本記事はプロモーションを含みます

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