切りたての青い茎のような、甘さのない緑の香りです。出だしはガルバナムの鋭さにペパーミントの冷たさが重なり、中盤はラベンダーとゼラニウム、すみれが古典的なフゼアの骨格を作ります。最後に残るのはサンダルウッドとオークモス、アンブロキサンの乾いた質感。甘い香りを好まない人、清潔感を最優先したい人に向く1本です。
クリードの中で、アバントゥスと並んで名前が挙がり続けている1本です。1985年に生まれて、いまだに現役でいる。緑の香りと言われますが、原料を見ると何がその緑を作っているかがはっきりします。
この記事でわかること
- 緑と呼ばれている香りを作っている原料と、公式が現在挙げている香調
- 容量ごとの使いどころと、日本で買うときの価格の目安
- 正規品と並行輸入品の違い、極端に安いものを避けたほうがいい理由
- つける量の決め方と、4万円を払う前に試しておく手段
結論:甘さを使わずに清潔感を作る、フゼアの古典
この香りの答えは、甘さをまったく使わずに清潔感を作っているところにあります。ガルバナムの鋭い緑とペパーミントの冷たさで始まり、ラベンダーとオークモスという古典的なフゼアの骨格が中盤から先を支える。公式が仕立てられたスーツになぞらえている通り、輪郭のはっきりした香りです。
弱点は値段と入手性です。国内では50mLで4万円前後、しかも正規の取扱が都市部の百貨店に限られるため、嗅がずに買う人が多くなる。似た骨格の香りが後年たくさん作られたぶん既視感も出ますが、既視感が出るということは外しにくいということでもあります。少量から試す手段を先に用意できる人なら、40年残ってきた完成度をそのまま受け取れる1本になります。
総合評価:3.8 / 5.0 ★★★★☆
グリーン アイリッシュ ツイードの基本情報
| ブランド | クリード(公式の説明では1760年にロンドンで創業) |
| 商品名 | グリーン アイリッシュ ツイード |
| 発売 | 1985年 |
| 容量 | 50mL/100mL/240mL/490mL/980mL(240mL以上は詰め替え用) |
| 価格の目安 | 正規で3万円台〜6万円台。50mLで4万円前後、100mLで5万円台 |
| 系統 | フゼア |
| 香調(トップ) | ペパーミント・バーベナ・レモン・ベルガモット・ガルバナム |
| 香調(ミドル) | ゼラニウム・ラベンダー・すみれ |
| 香調(ベース) | サンダルウッド・シダーウッド・アンブロキサン・オークモス |
| 国内の取扱 | 代理店はインターモード川辺。2023年8月に新宿伊勢丹で再上陸 |
緑の正体は何か
公式が公開している原料はこの通りです。
| 公式が挙げている原料 | |
|---|---|
| トップ | ペパーミント・バーベナ・レモン・ベルガモット・ガルバナム |
| ミドル | ゼラニウム・ラベンダー・すみれ |
| ベース | サンダルウッド・シダーウッド・アンブロキサン・オークモス |

香水の紹介記事には、公式と違う原料が書かれていることがあります。古い処方の情報がそのまま引き継がれていたり、他の媒体の記述が写されていたりするためです。ここに載せているのは公式が現在公開している内容です。
公式はこの香りを、仕立てられたスーツになぞらえています。新鮮さと芳香性のノートを織り合わせた、精度の高いフゼアだと。
原料を見ると、緑と呼ばれているものの正体が分かります。トップのガルバナムは、青い茎を折ったときのような鋭い緑の匂いを持つ樹脂です。そこにペパーミントの冷たさが重なる。この2つが最初の数分を作っています。
中盤はラベンダーとゼラニウム、すみれ。ラベンダーとオークモスの組み合わせはフゼアと呼ばれる古典的な骨格で、男性向けの香水が100年以上使ってきた形です。この香りが「仕立てのいい服のよう」と言われるのは、この骨格が整理されているからだと思います。
ベースはサンダルウッドとシダーウッド、オークモス、そしてアンブロキサン。アンブロキサンは龍涎香の香りを化学的に再現した原料で、肌に長く残る乾いた質感を作ります。
なお、この香りについてはアイリスやアンバーグリスが入っていると書かれた記述をよく見かけますが、公式が現在挙げている原料の中にそれらはありません。古い情報が写し継がれているものと思われます。
容量と価格の目安
公式が出している容量はこの通りです。
| 容量 | 使いどころ |
|---|---|
| 50mL | 日常の主軸 |
| 100mL | 定番として使い込む |
| 240mL | 詰め替え用の大容量 |
| 490mL | 詰め替え用の大容量 |
| 980mL | 業務用に近い大容量 |
大容量は詰め替え用のボトルで、スプレーが付きません。使い続けると決めた香りに移るときの選択肢です。まず1本目を選ぶ段階なら、スプレー付きの容量から。
クリードは日本で買うと高いブランドです。正規の取扱では、容量にもよりますが3万円台から6万円台が中心の帯になります。50mLで4万円前後、100mLで5万円台という見当をしておくと大きくは外れません。香水としては最上位の価格帯で、ニッチ系と呼ばれるブランドの中でも高いほうに入ります。
日本で買うときに知っておくこと
クリードは2023年8月に新宿伊勢丹で日本へ再上陸しました。国内の代理店はインターモード川辺で、正規品はここを通ったものになります。ただし取扱店はごく限られていて、地方では現物に触れる機会がほとんどありません。
そのため、日本で流通しているクリードの多くは並行輸入品です。個人や業者が海外から仕入れたもので、これ自体は違法ではない。ただ、正規と並行では扱いが変わります。
| 正規(伊勢丹など) | 並行輸入 | |
|---|---|---|
| 価格 | 定価。3〜6万円台 | 2〜4割安いことが多い |
| 保証 | 国内の窓口がある | 販売店ごと |
| 保管 | 管理されている | 経路が読めない |
| 刻印サービス | 受けられる | 対象外 |
価格差は小さくありません。ただし香水は熱と光で変わるので、輸送と保管の経路が読めないことは実質的なリスクです。極端に安いものには理由があると考えたほうがいい。
偽造品も存在します。クリードは世界的に模造の多いブランドで、ボトルの作り込みまで似せたものが出回っています。定価の半額を大きく下回るような値付けは、まず疑ってかかったほうがいい。
つけ方と続き方
クリードは香料の濃度が高く、少量で足ります。普段どおりの感覚で3プッシュも4プッシュも使うと、確実に多すぎます。
つける量と場所
- 1〜2プッシュから始める。足りなければ次の日に増やす
- 首すじ・耳の後ろ:人に届きやすい。仕事の場では控えめに
- 手首・肘の内側:動くたびに立ち上がる
- 腰まわり・膝の裏:下から穏やかに上がってくる。量を間違えにくい
つけた直後の30分は、自分でも強く感じます。そこで判断せず、1時間後の残り方で量を決めるといい。
香りが弱いと感じたときに足すのは、たいてい間違いです。人は自分の匂いに数分で慣れるので、自分に届かなくなった時点でも周りにはまだ届いています。「弱くなった気がする」で足していくと、外から見た量は倍になっている。自分の鼻を基準にしないことが、この価格帯の香水では特に大事になります。
肌が乾いていると持ちが落ちます。無香料のクリームを薄く塗ってからつけると、同じ量でも残り方が変わる。量を増やす前に、こちらを試したほうが安全です。
持続は香りによって差が大きい。柑橘が主役のものは3〜4時間で輪郭がぼやけ、木や樹脂が土台にあるものは半日以上残ります。外出前に一度だけつけて持たせたいなら、後者を選んだほうが現実的です。
弱いところ
まず値段です。3万円を超える買い物になるので、香りが合わなかったときの損失が大きい。この価格帯は「なんとなく良さそう」で買っていい額ではありません。
試せる場所が限られます。国内の正規取扱は都市部の百貨店が中心で、地方だと現物を嗅がずに買うことになりがちです。香水を嗅がずに買うのは、本来いちばん避けたい買い方になります。
ロット差もあります。天然原料の比率が高いぶん、同じ名前でも製造時期で印象が変わることがある。「前に買ったものと違う」という声が出るのは、この作りの裏返しです。
発売から40年たっている香りなので、系統としては古典に属します。近年の甘い香りに慣れていると、地味に感じる可能性がある。
似た骨格の香りが数多く存在します。フゼアは後年たくさん作られたので、初めて嗅いだのに「どこかで嗅いだ」と感じることがあります。
クリードというブランド
クリードは公式の説明によれば1760年にロンドンで始まった家の名前です。もともとは仕立て屋で、手袋に香りを移す仕事から香水へ移っていったとされています。現在まで一族が経営を続けてきたことを掲げていて、そこがこのブランドの語り方の中心になっています。
ただしこの歴史については異論もあります。香水を本格的に作り始めたのは20世紀後半からではないか、という指摘が香水研究の側から出ている。買う前に知っておいて損はない話です。香り自体の質と、掲げている物語は別のものとして見たほうがいい。
作りそのものは評価が定まっています。天然原料の比率が高く、同じ名前の香りでも製造ロットによって微妙に違う。工業製品として完全に均一ではないところを、欠点と取るか個性と取るかで評価が割れます。
買う前に試す
4万円前後の買い物です。しかも国内で試せる場所が限られている。この2つが重なると、嗅がずに買って外す確率が上がります。少量から試す手段を持っておくと、失敗したときの損失が桁で変わります。
あわせて読みたい
- クリードで最初に名前が挙がる1本を知りたいなら、クリード アバントゥスの徹底検証もどうぞ。
- 同じブランドのクリード タバロメ ミレジムの香りもどうぞ。
まとめ:値段と入手先を承知したうえで選ぶ、甘くない緑
クリード グリーン アイリッシュ ツイード は4万円前後の買い物になります。国内で試せる場所が限られるぶん、嗅がずに買う人が多い香りです。
少量から試す手段を先に確保しておくと、合わなかったときの損失が小さくなります。
香りの中身は最初から最後まで一貫しています。ガルバナムとペパーミントの冷たい緑で始まり、ラベンダーとゼラニウム、すみれが古典的なフゼアの骨格を組み、サンダルウッドとオークモス、アンブロキサンが乾いた質感で残る。甘い香りが主流のいまでは地味に映るかもしれませんが、その地味さは仕事の場で浮かない強さでもあります。
買うときに注意する点は残ります。国内で流通しているものの多くは並行輸入品で、輸送と保管の経路が読めない。定価の半額を大きく下回る値付けは、偽造品を疑ってかかったほうがいい。ロット差も出ますが、これは天然原料の比率が高い作りの裏返しなので、同じ名前でも表情が動くことを面白がれる人には向いた香りです。つける量は1〜2プッシュから始めて、1時間後の残り方で決めてください。
クリード グリーン アイリッシュ ツイードに近い方向で探すなら
似た方向で探すなら、この3本が候補になります。同じ香りではないぶん、何が近くて何が違うのかを書いておきます。
| 銘柄 | 価格の目安 | 近いところ | 違うところ |
|---|---|---|---|
| ル ラボ ラヴァンド31 | 14,300円〜 | ラベンダー・ベルガモットが重なる | ネロリが入り、苦みのある白い花が乗る |
| ディプティック オー ド ミンテ オードパルファン | 18,700円〜 | オークモス・ミント・ラベンダーが重なる | マリンが入り、水っぽさが出る |
| イソップ カースト | 23,870円〜 | サンダルウッド・シダー・ベルガモットが重なる | ローズマリーが入り、ハーブの苦みが出る |
どれも代わりにはなりません。「近い方向をもう1本持ちたい」のか「これの代わりを安く済ませたい」のかで、選ぶ先が変わります。
※本記事はプロモーションを含みます

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