自毛植毛の話を調べていると、必ず「株」という単位が出てきます。1,500株、2,000株といった数字が並ぶのですが、これが髪の本数なのかどうかが、まず分かりにくい。ここを取り違えたまま数字を比べても、意味のある比較になりません。単位の中身から順に整理します。
株は毛穴のかたまりを数える単位
株はグラフトとも呼ばれます。指しているのは髪1本ではなく、皮膚から採り出した組織のひとかたまりです。
髪は1つの毛穴から1本だけ生えているわけではありません。2本や3本がまとまって出ている場所があります。この「まとまり」を1株として数えます。
つまり1,500株は1,500本ではない。実際の本数はそれより多くなります。ここを本数だと思い込むと、必要量の見積もりが大きくずれます。
1株に入る本数は人によって違う
1株あたりの本数は、日本人でおおむね2本前後と言われます。1本だけの株もあれば、3本や4本入る株もある。この配分は個人差があります。
| 株の内訳 | 呼ばれ方 | 主に使う場所 |
|---|---|---|
| 1本 | シングル | 生え際の最前列 |
| 2本 | ダブル | 前頭部の内側 |
| 3本以上 | マルチ | 頭頂部・密度を出す部分 |
生え際の最前列に3本株を並べると、毛の出方が不自然に見えることがあります。だから前は1本株、後ろは複数本株、と使い分ける。
同じ株数でも、この配分が違えば仕上がりの印象は変わります。数字だけでは比べきれない部分がここにあります。
生えている本数と、見えている本数は違う
同じ1,500株でも、髪が太い人と細い人では結果の見え方が変わります。光を遮る面積が違うからです。
髪1本の太さは、細い人で0.05ミリ、太い人で0.1ミリ前後。倍近い開きがあります。太ければ、同じ本数でも地肌は隠れる。
髪の色と地肌の色の差も効きます。黒髪で色白の人は、少し隙間があるだけで目立つ。髪が明るめの人は、同じ密度でも薄く見えにくい。
同じ株数でも有利に働く条件
- 髪が太い
- 髪の色が明るい
- 地肌の色が濃いめ
- 髪にうねりがある
うねりがあると髪同士が重なって隙間を埋めます。直毛のほうが地肌が見えやすい。移植でも同じで、くせのある人のほうが少ない株数で目的を達しやすい傾向があります。
だから他人の株数を自分に当てはめても参考になりません。「あの人は2,000株で足りた」は、その人の髪の条件込みの数字です。
必要な株数を決める要素
必要量は「面積」と「そこに何本置きたいか」の掛け算で決まります。薄くなっている範囲が広ければ株数は増える。
株数が増える方向に効く条件
- 薄い範囲が広い
- 元の髪が太くて周りとの差が目立つ
- 生え際を大きく前に出したい
- 髪の色と地肌の色の差が大きい
逆に、髪が細くて地肌との色の差が小さい人は、同じ密度でも薄く見えにくい。少ない株数で目的を達せられることがあります。
だから「自分の場合は何株か」は、頭を見てもらうまで決まりません。サイト上の平均値は目安にしかなりません。
面積の測り方にも幅があります。今すでに薄い範囲だけを数えるのか、この先3年で広がりそうな範囲まで含めるのか。
後者で組むと株数は増えますが、数年後にもう一度受ける手間は減ります。どちらの前提で出された数字かを聞かないと、比べられません。
見積もりを2か所で取って数字が違うとき、腕の差ではなくこの前提の違いであることが多い。
密度という言い方の落とし穴
1平方センチあたり何株、という言い方をします。元の髪の密度は1平方センチあたり100〜150本ほど。株に直すと60株前後です。
移植でここまで戻すことは現実的ではありません。採れる量に上限があるからです。
実際には元の半分ほどの密度でも、見た目としては「薄く見えない」状態になります。髪は光を遮るので、隙間が半分埋まれば地肌はかなり隠れる。
だから目標は「元通り」ではなく「気にならない状態」に置く。この置き方をしないと、必要株数がいくらでも膨らみます。
数字を聞くときに確認したいこと
カウンセリングで株数を提示されたら、内訳まで聞いておくと後で困りません。
| 聞くこと | なぜ聞くか |
|---|---|
| どの範囲に何株 | 面積と配分が分かる |
| 1本株を何株使うか | 生え際の自然さに直結する |
| 定着しなかった分の扱い | 何割を見込んでいるかが分かる |
| 2回目が必要になる条件 | 1回で終わらない前提かが分かる |
株数は見積書の一番目立つ数字なので、そこだけを比べたくなります。ただ同じ株数でも、どこに何を置くかで結果が変わる。
この配分の話は文字だけでは詰めきれません。実際に頭を見てもらったほうが早い部分です。
それと、株数は「採る側」の限界とも関係します。1回で採れる量には上限があり、無理に採ると後頭部が薄くなります。
だから希望した株数がそのまま通るとは限りません。「その株数を1回で採って大丈夫か」まで聞いておくと、現実的な計画になります。
見積書に出てこない数字
株数だけを見ていると、見落とすものがあります。
| 数字 | なぜ効くか |
|---|---|
| 定着の見込み | 植えた全部が生えるとは限らない |
| 1回で採る面積 | 広く採るほど回復に時間がかかる |
| 施術にかかる時間 | 長いほど株が体の外にある |
| 同時に対応する人数 | 1人にかけられる手数が変わる |
定着は9割前後と説明されることが多い。残りが生えてこない前提で株数を組むかどうかで、提示される数字は変わります。
施術時間の話は見落とされがちです。採り出した株は、体の外にある時間が長いほど傷みます。短時間で植え切れる体制かどうかが効いてくる。
この辺りは金額の比較には出てきません。聞かないと分からない部分です。
生え際をどこに引くかで必要量が変わる
株数の話は、生え際の位置を決めないと確定しません。1センチ前に出すだけで、必要な株数はまとまった量で増えます。
若い頃の生え際まで戻したくなりますが、そこに合わせると年齢との差が出ます。顔だけ年を取って、生え際だけ20代という状態になる。
生え際を決めるときの目安
- 眉を上げたときにできる一番上のしわのあたり
- 額の丸みが始まる位置
- 正面から見て角を丸く残す
- 左右対称にしすぎない
角を四角く作り直すと不自然になります。元々の生え際は、両端が少し後退した形をしている。ここを残すほうが年齢に馴染みます。
この判断は取り返しがつきません。植えた株は移動できないからです。だから最初の設計にいちばん時間をかける価値があります。
株数の話で気をつけたいところ
多く植えれば良い、という単純な話ではありません。採る側の頭皮にも限りがあるからです。
後頭部から採れる量は決まっています。1回で使い切ってしまうと、数年後に別の場所が薄くなったとき、移す元が残りません。
進行中の年齢で全部使うのは、選択肢を先に潰す行為になります。この点は、費用より先に考えておきたいところ。
それと、株数は施術中に前後することがあります。採ってみたら想定より取れなかった、あるいは範囲を広げる必要が出た、というケースです。見積もりからずれたときにどう精算するかは、契約前に確認しておいてください。
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まとめ
株は本数ではなく毛穴のかたまりの数。1株に2本前後が入ります。
必要量は薄い範囲の広さと、髪の太さや色の差で変わります。
元の密度まで戻すのではなく、気にならない状態を目標に置くほうが現実的です。
採れる量には上限があるので、1回で使い切らない設計が要ります。
※本記事はプロモーションを含みます

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