苦さを残した、甘くない柑橘の花です。出だしはベルガモットと葉の青さで乾いて始まり、中盤に花が重なって湿り気が乗り、最後は肌の温度のようなムスクだけが薄く残ります。香りで主張するより、まとっていることを気づかせたくない人に向く一本になります。
空を飛ぶ匂い、と言われてもすぐには像を結びません。地面のない場所には匂いの発生源がないからです。マルジェラのフライングは、その無理な題材に取り組んだ一本になります。僕はこれを持っていないので、公式が公開している原料構成から読める話を書きます。
この記事でわかること
- フライングの香りの正体(甘さを削った柑橘の花)
- 4つの原料がすべてビターオレンジ1本の木から採れるという作り
- 冷たく出て温かく終わるまでの、香りの流れ
- 2つの価格のどちらを選ぶかの目安
結論:引き算で高さを作った、主張しない一本
総合評価:3.8 / 5.0 ★★★★★
フライングを一言でいうと、甘さを削って高さを作った柑橘の花です。ベルガモットと葉の青さで乾いて始まり、花が重なって湿り気が乗り、最後はムスクだけが肌に残る。木も樹脂も置かないので、香りが地面に降りてきません。
存在感は強くありません。そのぶん距離の近い場面では邪魔にならず、職場でも使える近さに収まります。価格は3万円台の容量もあって軽い香りに払う額としては安くない。それでも1本の木を花・葉・果皮に分解して組み直した成り立ちは、似た方向の柑橘とは違う場所から来ています。
フライングの基本情報
| ブランド | メゾン マルジェラ(レプリカ) |
| 商品名 | メゾン マルジェラ レプリカ フライング |
| 種類 | オードパルファン |
| 価格 | 24,970円(小さいほうの容量)/33,550円(大きいほうの容量) |
| 香調 | シトラスフローラル |
| 香りの流れ | トップ:ベルガモット、プチ グレイン、オレンジ フラワー / ミドル:アーモンド フラワー、ビガラード、イラン、ネロリ / ラスト:ムスク |
| 系統 | ファンタジー コレクション(地名も年号もない) |
| 題材 | 公式の言葉で「オゾンの雲の香り」 |
フライングとは:公式が言う「オゾンの雲の香り」
香調はシトラスフローラル。説明は「オゾンの雲の香り」です。地名も年号もない、ファンタジー コレクション側の香りになります。
公式の描写は、地上から切り離されてゆっくり舞い上がる、晴れ渡った空の奥深くで白昼夢を見る、という言葉で構成されています。つまり主題は場所ではなく状態。重力から離れている感覚を香りに置き換えようとしています。
原料の内訳:4つともビターオレンジ1本の木から採れる
| 原料 | 採る場所 | 特徴 |
|---|---|---|
| ネロリ | 花(水蒸気蒸留) | 明るく透明感がある |
| オレンジ フラワー アブソリュート | 花(溶剤抽出) | 濃厚で蜜のような甘さ |
| プチ グレイン | 葉と小枝 | 青く苦い。木の部分 |
| ビガラード | 果皮 | ビターオレンジそのもの |
この4つは、すべてビターオレンジという同じ木から採れます。花・葉・果皮と、採る場所を変えるだけで別々の原料になる。フライングはその全部を一度に使っています。
1本の木を分解して組み直した香りなので、明るさと苦さが同じ根から出ていて、継ぎ目がありません。空という均質な空間を描くには理にかなった作り方です。
香りの変化:冷たく出て、温かく終わる
| 段階 | 原料 | 役割 |
|---|---|---|
| 最初 | ベルガモット、プチ グレイン、オレンジ フラワー | 柑橘の明るさと、葉の青さ |
| 中盤 | アーモンド フラワー、ビガラード、イラン、ネロリ | 花の層。甘さがわずかに乗る |
| 最後 | ムスク | 肌に残るのはこれだけ |

トップ:ベルガモットとプチ グレインの乾いた青さ
最初に出るのはベルガモットとプチ グレインです。プチ グレインは葉と小枝から採る木の部分で、青く苦い。柑橘の明るさの下に、葉を折ったときのような苦さが敷かれます。オレンジ フラワーの蜜のような甘さは、まだ後ろで輪郭を作る程度。湿り気のない、乾いた出だしになります。
ミドル:花が重なり、乾いた出だしに湿り気が乗る
中盤はアーモンド フラワー、ビガラード、イラン、ネロリの4つ。アーモンド フラワーは実ではなく花のほうで、粉っぽく軽い甘さを持ちます。イランはイラン エクストラを指し、イランイランの最上級グレード。甘さと透明感が最も強い区分です。ここで花の層に厚みが出ます。ネロリの透明感とオレンジ フラワーの蜜が同時に立って、乾いていた出だしに湿り気が乗る。ただしビガラードが果皮の苦さを残すので、甘さは前に出てきません。
ラスト:ムスクだけが残す肌の温度
ベースはムスク一種です。木も樹脂も置かず、肌の温かさだけを残す。柑橘も花も抜けたあとには、体温がそのまま匂いになったような温もりが薄く続きます。地面につながる素材を最後まで入れないので、香りが降りてきません。持続を削ってでも高さを取った設計だと読めます。
オゾンノートとは:足すのではなく削って澄ませている
オゾンノートは、雷雨のあとや高い山の上の空気を指す言い方で、実際のオゾンの匂いを再現したものではありません。
人が空気を澄んでいると感じるのは、匂いが少ないからです。ベースをムスクだけに絞ったのは、引き算で澄ませるという判断でしょう。足すのではなく削ることで、高さを作っている。
出番のある場面
| 場面 | 向き | 理由 |
|---|---|---|
| 春から夏 | ◎ | 軽さと明るさが季節に合う |
| 職場 | ◎ | 清潔感として受け取られやすい |
| 移動の多い日 | ○ | 重さがないので疲れにくい |
| 冬の夜 | △ | 拡散しづらく、印象が薄れる |
いちばん合うのは春から夏の午前です。気温が上がる時間帯に柑橘の明るさが立ち、まだ乾いている肌の上で葉の青さがきれいに出る。白いシャツ一枚のような軽い服装と相性がいい。
職場で使いやすいのは、清潔感として受け取られやすいからです。拡散が強くないので、すれ違った相手にまでは届きません。残るのは肌の温かさを写したムスク。服の上からより、首すじや手首など体温の高い場所に置くほうが最後まで続きます。
逆に分が悪いのが冬の夜。気温が低いと立ち上がりが鈍く、高さが伝わらないまま薄れます。厚手のコートで覆う季節は、別の系統に譲るほうが賢い。
つけ方の目安
- オードパルファンだが軽いので2プッシュでも重くならない
- 柑橘は朝に合う。夜はやや浮く
- 汗と混ざると青さが立つので、夏は量を控える
残念なところ
価格が上がります。オードトワレのレプリカが2万円台前半から選べるのに対して、こちらは3万円台の容量もある。軽い香りにこの金額を払えるかは判断が分かれます。
印象の残りにくさも表裏一体です。引き算で作られているぶん、存在感を求める人には物足りません。
もうひとつ、柑橘とオレンジフラワーの組み合わせは競合が多い領域でもあります。似た方向の香りをすでに持っているなら、違いを感じにくいかもしれません。
ファンタジー コレクションは地名を持たないぶん、香りの説明が抽象的になります。店頭で相談するときも「空の香り」としか言えない。実物を嗅ぐ機会を作れるかどうかが、この系統では特に重要になります。
容量の選び方
| 展開されている価格 | 備考 |
|---|---|
| 24,970円 | 小さいほうの容量 |
| 33,550円 | 大きいほうの容量 |
軽い香りは使用量が増えがちです。1回2プッシュで計算すると消費は早い。日常的に使うつもりなら、大きい容量のほうが結果的に割安になります。
二つの容量の差は8,580円です。使い切る自信があるなら大きいほう、軽い香りが自分の肌でどれくらい持つか未知数なら小さいほうから。持続の感じ方は体質で分かれるので、初めての一本なら、割安さより確かめやすさを優先するほうが後悔がありません。
軽い香りほど、店頭で嗅いだ数分と一日つけたあとで印象が変わります。すぐ消えたと感じるか、ちょうどいいと感じるかは体質次第。買い切る前に、自分の肌での持続を確かめておくと納得できます。
まとめ:削ることで高さを作った柑橘の花
フライングは、ビターオレンジという1本の木を花・葉・果皮に分解して組み直した香りです。ベースをムスクだけに絞る引き算によって、空の高さを作っています。
存在感より軽さを取った設計なので、香りで主張したい人には向きません。逆に、まとっていることを意識させたくない場面には強い一本です。
いちばん向くのは春から夏の午前です。気温が上がる時間帯に柑橘の明るさが立ち、まだ乾いている肌の上で葉の青さがきれいに出る。逆に冬の夜は立ち上がりが鈍く、厚手のコートで覆う季節は別の系統に譲るほうが賢い判断になります。
価格は安くありません。オードトワレのレプリカが2万円台前半から選べるのに対し、こちらは24,970円と33,550円の二択。ただし軽い香りは使う量が増えるので、日常的にまとうなら大きいほうが結果的に割安になります。持続の感じ方は体質で分かれるため、初めての一本なら小さいほうで確かめる手もある。
取扱の有無と在庫は店によって分かれます。まとめて確認しておくと早い。
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※本記事はプロモーションを含みます

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