買ってきたスマートプラグがどうしてもアプリに登録できない。この手のつまずきは、相性でも初期不良でもなく、たいてい規格の食い違いです。この記事では、電波の周波数帯とハブの要否という2つの分かれ目だけを扱います。メーカーが仕様として公表している範囲の話なので、買う前に読めば避けられるものばかりでした。
つながらない原因は2つに絞れる
スマート家電が動かないとき、原因の切り分けは思ったより単純です。電波の周波数帯が合っていないか、必要なハブが無いか。この2つでほとんど説明がつきます。
どちらも製品ページの仕様欄に書いてあることで、買ったあとに判明する種類の問題ではありません。それでも毎回引っかかるのは、仕様欄の書き方が控えめだから。たとえば対応周波数の欄に一行だけ書かれた表記が、実は最大の制約だったりします。
この記事では、その一行の読み方を先に押さえます。どの機器から買い始めるかという順番の話は別の記事に譲って、ここでは規格だけを見ていく。
5GHzしか出していないルーターだと登録できない
まず周波数帯です。家庭用の無線は2.4GHz帯と5GHz帯の2つに分かれていて、スマート家電の大半は2.4GHz帯にしかつながりません。
たとえばティーピーリンクのスマートプラグ Tapo P110M は、対応する無線を仕様欄で2.4GHz専用と明記しています。5GHz帯には一切対応していない。これは省略でも手抜きでもなく、意図してそうしてある。
| 2.4GHz帯 | 5GHz帯 | |
|---|---|---|
| 壁や床の回り込み | 届きやすい | 遮られやすい |
| 通信の速さ | 遅い | 速い |
| 電波の混みやすさ | 電子レンジやブルートゥース機器と同じ帯域で混みやすい | 比較的すいている |
| スマート家電の対応 | ほぼすべて対応 | 対応しない製品が多い |
スマートプラグやセンサーが扱うのは、点いた・消えたという短い信号だけ。速さは要らず、家じゅうに届くことのほうが大事です。そのうえ2.4GHz帯のほうが部品が安く、消費電力も小さい。速度を捨てて到達距離と価格を取った結果が2.4GHz専用という設計です。
ルーターが1つの名前で2つの帯域をまとめていると詰まる
最近のルーターは、2つの帯域に同じネットワーク名を割り当てて、接続先を自動で振り分ける機能を持っています。便利な反面、ここで登録が止まる。
登録の作業は、スマートフォンがつないでいるネットワークの情報を機器へ渡す手順です。そのときスマートフォンが5GHz帯につながっていると、5GHzしか扱えない情報が渡ってしまい、機器側は永久につながらない。画面に出るのはネットワークエラーの表示だけなので、原因が周波数だと気づきにくいわけです。
登録の前にルーター側で見ておくこと
- 2.4GHz帯だけのネットワーク名が別に用意されているか。用意されているなら、登録作業のあいだだけスマートフォンをそちらへつなぐ
- 帯域を自動で振り分ける機能(機種によって呼び名が違う)を、設定画面で一時的に切れるか
- 機器を置く場所がルーターから遠いなら、そもそも2.4GHz帯のほうが届く。速度が落ちることを気にしなくていい
登録さえ通れば、あとは2.4GHz帯のまま使い続けて問題ありません。帯域を戻す必要があるのはスマートフォン側だけ。
ハブが要る家電・要らない家電の見分け方
次がハブです。ここは仕様欄の言葉より、機器が何でしゃべっているかを見ると早い。
| 機器がしゃべる方式 | 例 | ハブ |
|---|---|---|
| 無線でルーターに直接つながる | スマートプラグ、ネットワークカメラ、スマート照明の一部 | 要らない |
| 近距離の無線しか持たない | 温湿度計、開閉センサー、カーテンを開ける機器 | 要る |
| 赤外線リモコンで動く | エアコン、テレビ、シーリングライト | 要る(赤外線を出す機器) |
見分け方は単純で、その機器が自分でルーターにつながれるかどうか。つながれるならハブは不要。つながれないなら、電波を受けて無線に橋渡しする役が要ります。それがハブです。
近距離の無線しか持たない機器は、電池で1年以上動くように作られています。常時つながる無線は電力を食うので、必要なときだけ短く飛ばす方式を選んでいる。電池で長く動く機器ほどハブが要る、と覚えておくとだいたい合います。
赤外線で動く家電は、そもそもネットワークにつながる部品を持っていません。リモコンの信号を代わりに出す機械を部屋に置くしかない。ここは規格以前の話です。
Matterに対応していてもハブは要る
ここ数年で増えたのが Matter という規格の表示です。メーカーをまたいで同じ手順で扱えるようにする取り決めで、対応をうたう製品は年々増えている。
誤解されやすいのは、これがハブを不要にする仕組みだと思われていること。実際は逆です。ティーピーリンクは Tapo P110M の製品ページで、Matter の機能を使うときは各プラットフォームのハブ機器が必須だと書いています。つまり、規格に対応していることと、ハブが要らないことは別の話。
Matter が揃えるのは、機器とアプリのあいだで交わす言葉のほうです。アップルのアプリでもグーグルのアプリでも同じ機器を扱えるようにする。そのやりとりをまとめる中心の機器が家に1台要る、という構造は変わっていません。
それでも規格が揃うと何が楽になるか
利点は、アプリを1つに寄せられること。メーカーごとにアプリを入れていくと、照明はこれ、プラグはこれ、と操作先が散らばります。規格が揃った機器なら1つの画面に並べられるので、家族に「この画面のこれを押して」と伝えられるようになる。
もう1つ、乗り換えのときに効きます。ハブを別のメーカーに替えても、規格に沿った機器はそのまま引き継げる可能性が高い。機器を10個20個と増やしてから乗り換える場面を考えると、ここは軽くない差です。
赤外線の家電はネットにつながっていない
エアコンを外出先から止めたい、という要望はよく聞きます。ところがエアコン本体は、ほとんどの機種で無線の部品を持っていません。受け取れるのはリモコンの赤外線だけ。
だからここで要るのは、赤外線を出す機械です。スマートリモコンと呼ばれる箱を部屋に置いて、手持ちのリモコンの信号を覚えさせる。スイッチボットのハブ2はこの役に加えて温度と湿度、明るさも測るので、室温が何度を超えたらエアコンを入れる、という組み方ができます。
注意点が2つ。赤外線は光なので、家具の陰やドアの向こうには届きません。本体とエアコンのあいだに遮るものがない場所へ置く必要があります。
もう1つ、赤外線は一方通行です。信号を送るだけで、エアコンが今どうなっているかを読み取ってはいません。アプリの表示が実際の状態とずれることがあるのはこのため。外から消したつもりで動いたままだった、という取り違えはここで起きます。
規格をそろえても解決しない問題
規格の話をここまで書いておいて何ですが、そろえても消えない不便があります。先に書いておきます。
まず回線が切れれば全部止まる。ルーターの再起動中や回線工事の日は、外からの操作が丸ごと使えません。手元のスイッチで動く状態を残しておくのが安全です。照明のスイッチを常時入にしたままにしていると、この日に部屋が真っ暗になる。
電源の容量も見落としやすいところ。Tapo P110M の定格は最大負荷1,500W・15A で、これは壁のコンセントとほぼ同じ値です。コンセントの容量を増やす道具ではありません。エアコンのように専用の回路から取っている家電は、そもそも差し込み口の形が違います。
暖房器具を外から入れる使い方も、僕は勧めません。無人の部屋に通電することになるうえ、上に物が置かれていても気づけない。遠隔で入れるのは扇風機や照明のように、動いても危なくないものに留めておくほうがいい。
そして、規格が揃っても使いこなす手数までは減りません。部屋の名前を付け、どの機器をどの操作にまとめるかを決める作業は残ります。機器を買えば自動で家が賢くなるわけではない、というのは正直に書いておきます。
つながらないときに上から順に試すこと
最後に、詰まったときの手順を順番に並べておきます。上から順にやると、たいていどこかで通ります。
登録できないときの手順
- スマートフォンを2.4GHz帯のネットワーク名につなぎ替える。ここで直る場合がいちばん多い
- 機器をルーターの近くへ持っていって登録し、通ってから元の場所へ戻す。設置場所の電波が弱いだけのことがある
- ネットワーク名やパスワードに記号が多いなら、登録のあいだだけ簡単なものに変えて試す。文字の扱いで弾かれる機器がある
- それでも駄目なら、その機器がハブを要する型かどうかを仕様欄で読み直す。近距離無線だけの機器はハブ無しでは登録できない
ここまで試して通らないなら、初めて初期不良を疑う段階です。順番を逆にして先に交換へ動くと、届いた2台目でも同じところで止まります。
まとめ
スマート家電がつながらない原因は、相性ではなく規格でした。分かれ目は2つだけ。無線が2.4GHz帯に限られているか、そして機器が自分でルーターにつながれるか。
Tapo P110M のように仕様欄で2.4GHz専用と明記されている製品は珍しくありません。ルーターが2つの帯域を1つの名前でまとめていると、登録の途中でここに引っかかる。登録のあいだだけスマートフォンを2.4GHz帯へ寄せるのが、いちばん効く一手です。
Matter に対応していてもハブは要ります。ティーピーリンク自身が、規格の機能を使うにはプラットフォームのハブ機器が必須だと書いている。規格が揃えるのは言葉であって、中心役の1台までは省いてくれません。
仕様は改定されるので、注文の直前にメーカーの製品ページで対応周波数とハブの要否をもう一度確かめておくと確実です。
※本記事はプロモーションを含みます

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