ティファールの公式オンラインストアを開くと、同じ0.8リットルのケトルが3,480円から16,500円まで並んでいます。容量が同じで、この開きは何なのか。調べたら差はほぼ1点、温度調節が付いているかどうかでした。この記事では、メーカーが公表している価格と段数、それに日本茶とコーヒーの適温を突き合わせて、温度調節にお金を払う意味がある人とない人の線を引きます。数字はすべてメーカーとお茶の専門サイトの公表値で、僕の体感は入れていません。
同じ0.8リットルで、3,480円と16,500円が並んでいる
電気ケトルの売り場は値札の幅が広い。同じメーカー、同じ容量なのに5倍近く違うので、何が高いのかが分からないまま安いほうに手が伸びます。僕もそうでした。
ティファールの公式オンラインストアから、0.8リットルの機種だけを抜き出して並べてみます。
| 機種名(すべて0.8L) | 温度調節 | 税込価格 |
|---|---|---|
| パフォーマ ロック | なし | 3,480円 |
| アプレシア ロック | なし | 5,830円 |
| アプレシア ロック コントロール | 9段階 | 11,500円 |
| カフェ ロック | なし | 12,100円 |
| ディスプレイ ロック コントロール | 5段階 | 13,900円 |
| カフェ ロック コントロール | あり | 16,500円 |
いちばん安いパフォーマと、9段階で温度を選べるアプレシア コントロールで3.3倍。ただ、この表の読み方で大事なのは倍率ではありません。同じシリーズの中で温度調節の有無だけを比べたところです。
アプレシアは5,830円と11,500円で差が5,670円。カフェは12,100円と16,500円で差が4,400円。温度調節そのものの値段は、だいたい4,400〜5,700円でした。残りの差は注ぎ口の形や表示部の作りで付いている。ここを分けて考えると、判断がずいぶん楽になります。
コーヒーと緑茶で必要な湯温は違う|温度調節が要る人と要らない人の線引き
では4,400〜5,700円を払う価値があるのはどんな人か。飲むものの適温を並べれば、ほとんど答えが出ます。
| 飲むもの | 適温 | 沸きたてのままでいいか |
|---|---|---|
| 玉露 | 50℃程度 | だめ。半分近くまで落とす |
| 煎茶 | 70〜80℃ | だめ |
| ほうじ茶・玄米茶 | 100℃の熱湯 | そのままでいい |
| 紅茶 | 沸きたて | そのままでいい |
| ハンドドリップのコーヒー | 90〜96℃ | 少しだけ落とす |
| カップ麺・スープ | 熱湯 | そのままでいい |
日本茶の数字は伊藤園が運営するお茶の情報サイトの記述です。玉露は50℃程度でじっくり、煎茶は70〜80℃、ほうじ茶と玄米茶は100℃の熱湯を使う、と書かれている。コーヒーの90〜96℃は、複数のコーヒー会社が推奨として挙げている範囲でした。
この表の右列を見ると、線がきれいに引けます。ほうじ茶・紅茶・カップ麺しか淹れない人に、温度調節は要りません。全部100℃でいいものばかりだから、沸かして注ぐだけの3,480円で足ります。
逆に煎茶と玉露を日常的に飲むなら、話が変わる。沸かしたお湯をそのまま急須に注ぐと、本来出したかった旨味の前に渋みと苦みが出てくる温度帯です。毎回どうにかして冷ますことになり、その手間が毎日続きます。
コーヒーだけの人は、微妙なところ
ハンドドリップのコーヒーは90〜96℃。100℃との差が小さいので、沸かしてから少し置く運用でも実際そこまで外れません。焙煎度で細かく変えたい人は温度調節が効きますが、そうでなければ優先度は下がります。
9段階のうち、実際に押すのは2つか3つ
温度調節付きを買うと決めた人へ。段数の多さで選ぶと、たいてい使わないボタンにお金を払います。
ティファールのアプレシア ロック コントロール 0.8L は9段階で、選べるのは40/50/60/70/80/85/90/95/100℃。消費電力は1250Wで、設定した温度のまま60分の保温もできます。
この9つを、さきほどの適温表に当てはめてみます。煎茶は70か80、コーヒーは90か95、紅茶とカップ麺は100。3つ押せば日常のほぼ全部が回ります。玉露を淹れる人がここに50を足して4つ。40と60は、少なくとも僕の使い方では出番が思いつきませんでした。
85と95という5℃刻みが効くのは、コーヒーを焙煎度で分ける人だけです。浅煎りを低めに、深煎りを高めに振り分けたい人には意味がある刻み。そうでないなら段数の少ない機種でも困りません。
段数で迷ったときの目安
- 煎茶とコーヒーと熱湯の3つで足りるなら、5段階の機種で十分。9段階は選択肢が増えるだけ
- 玉露を淹れる人は50℃が選べるかを先に見る。下限が60℃止まりの機種だと届かない
- 保温は「設定温度のまま何分か」を仕様表で見る。アプレシア ロック コントロールは60分
沸かしてから待つ、で代用できるか
温度調節が無くても、沸かして置いておけば湯温は下がります。だったら安いほうでいいのでは、という考え方は成り立つのか。
成り立つ場面と、成り立たない場面があります。分かれ目は今何度なのかが分かるかどうか。コーヒーのように100℃から数度落とすだけなら、注ぐまでの間に自然と入る範囲なので気にならない。けれど煎茶の70〜80℃は、100℃から20℃以上落とす作業です。ここを目分量でやると毎回ぶれます。
湯呑みや湯冷ましの器に一度移して温度を落とす、という昔からのやり方はあります。ただ、器の数だけ洗い物が増えるうえ、何度まで下がったかは結局分かりません。温度計を1本足す手もあるものの、それはそれで注ぐたびに計る作業が発生する。
つまり安いケトルで代用できるのは、誤差が数度で済む飲み物だけです。20℃以上を毎日落とし続ける生活なら、最初から温度調節を買ったほうが手が減ります。
容量は「1回に何杯ぶん注ぐか」だけで決まる
温度の次は容量。ここは迷いどころが少なく、1回に注ぐ量から逆算すれば決まります。
| 機種 | 容量 | 消費電力 | 沸騰にかかる時間 |
|---|---|---|---|
| ティファール デルフィニ ロック | 0.6L | 公表値なし | – |
| ティファール パフォーマ ロック | 0.8L | 公表値なし | – |
| 象印 CK-DA10 | 1.0L | 1300W | 満水で約5分/140mLで約60秒 |
| バルミューダ The Pot | 550mL | 1200W | 満水550mLで約3分 |
象印の1.0リットル機は、カップ1杯ぶんの140mLなら約60秒。満水まで沸かすと約5分でした。容量を上げると、少量を沸かすときの速さは落ちません。沸くのが遅くなるのは満水まで入れたときだけなので、大は小を兼ねる側面はあります。
ただし重さと置き場所は別問題。バルミューダ The Pot は550mLと小さいぶん、本体約0.7kgに電源ベース約0.2kg、幅269×奥行142×高さ194mmに収まる。コーヒー2杯ぶんを1日に何度も、という使い方ならこの手の小容量が扱いやすい。
目安としては、マグカップ1杯が約200mL。0.8リットルで4杯、1.0リットルで5杯です。カップ麺は1個で400〜500mLを使うので、麺とお茶を同時に用意する家なら1.0リットル以上を見ておくといい。
温度調節を付けても解決しないこと
ここまで温度調節の話をしてきましたが、期待とずれる部分も先に置いておきます。
まず温度調節は「その温度で止める」機能であって、注いでいる間その温度を保つ機能ではありません。90℃で沸き上がったお湯は、ケトルから出た瞬間に冷えはじめる。ドリッパーに落ちるころには数度下がっています。保温を使えば維持できますが、アプレシア ロック コントロールの保温は60分で切れる仕様です。
次に選択肢の幅。ティファールの温度調節付きは0.8リットルからで、温度調節なしにある0.6リットルは用意されていません。一人ぶんだけ沸かしたい人ほど、温度調節を付けると容量が上がるという逆転が起きます。小さい機種が欲しくて温度も選びたい、という条件は現状そろえにくい。
9段階のうち2つが使われないまま終わる話も、すでに見たとおり。段数は売り文句として分かりやすい数字ですが、増えたぶんの価値が全員に届くわけではない。
そして操作の手数。沸かすだけの機種はふたを閉めてスイッチを入れるだけで終わります。温度調節付きは、温度を選ぶ工程が毎回1つ増える。熱湯しか使わない人にとっては、これはお金を払って手間を増やしていることになります。
注ぎ口の細さが効くのは、湯を線で落としたい人
最後に、温度とは別の軸を1つ。注ぎ口の形です。
ティファールのカフェ ロックは、温度調節が無い機種なのに12,100円。同じ容量のパフォーマ ロックが3,480円だから、3.5倍の値付けです。この差は温度ではなく、湯を細く落とすための注ぎ口とハンドルの設計に乗っている。
バルミューダ The Pot も同じ側の製品でした。温度調節は搭載せず、550mLの容量に対して1200W。満水でも約3分で沸きます。カタログで前面に出しているのは温度でも速さでもなく、注ぎ心地のほうです。
ここはハンドドリップをするかどうかで、要否がはっきり割れるところ。湯を点で落として粉を蒸らす淹れ方をするなら、細い注ぎ口はそのまま味に効きます。一方でカップ麺に注ぐ、鍋に足す、といった使い方では細い注ぎ口はむしろ遅い。広口のほうが速く、洗うのも楽です。
自分がどちら側かは、キッチンにドリッパーがあるかを見れば分かります。無いなら、この4,000円台から1万円台の差はまるごと省ける。
まとめ
電気ケトルの値段の幅は、容量でも見た目でもなく、温度調節が付いているかどうかで決まっていました。同じシリーズ内で比べると、その値段は4,400〜5,700円ほど。
要るかどうかは、飲むものの適温で判断できます。ほうじ茶・紅茶・カップ麺のように100℃でいいものしか使わないなら、3,480円の機種で足ります。煎茶の70〜80℃や玉露の50℃を毎日いれる人だけが、この差額を取り返せると考えていい。
段数は多いほど良いわけでもありませんでした。9段階のうち日常で押すのは3つか4つ。自分が使う温度が入っているかを仕様表で確かめるほうが、段数を数えるより確実です。価格は改定されるので、買う直前にメーカーの製品ページをもう一度見ておくと外しません。
※本記事はプロモーションを含みます

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