メンズ香水の話をすると、必ず名前が挙がる一本ですよね。結論から言うと、ファーレンハイトは「他の何にも似ていない」ことを武器にしている香水です。実際に使い込んだ僕が、香りの移り変わりと体感の持続、そして弱点まで書きます。
この記事でわかること
- トップからベースまで、香りがどう動くか
- 体感の持続と、残り香の強さ
- 合う場面と服装、外してしまう場面
- 買う前に知っておきたい弱点
ディオールの香水は、ブランド名から売り場をたどるのが早いです。
このブログを書いている人
30代前半メンズ、都内在住。「大手製薬企業 → 大手EC企業 → 大手メーカー企業」と、ライフスタイルに合わせて転職をしながら現在3社目で日々奮闘中。ファッションや美容といった身だしなみのことから、生活を豊かにするガジェット類、インテリアや雑貨まで、実際に使ってよかったものだけを書いています。
私は極度の脂性肌×敏感肌で、スキンケアは市販薬からデパコス、20以上の美容医療やイソトレチノイン治療まで一通り試してきました。
大好きな香水は500本以上、洋服には累計2,000万円ほどを使用(使いすぎ…)
これまで身を削って試してきた実体験を皆様にお伝えします!
結論:ファーレンハイトは「雨上がりの路面と革手袋」の香り
総合評価:4.5 / 5.0 ★★★★☆
一言で言うなら、「雨上がりのアスファルトに置かれた、新しい革の手袋」。柑橘の明るさと、花の粉っぽさと、革の乾いた匂いが同時に立ち上がります。初めて肌にのせたとき、これを香水と呼んでいいのか一瞬迷ったくらいです。
ディオールはこの香りを英語で説明していて、そのまま訳すとこうなります。
「荘厳な自然の要素を前にひとり立ち、ファーレンハイトの男は絶対への渇きを体現する。時代を超え、普遍的で、ファーレンハイトは時間と流行を超えて自らの領域を切りひらく香りである。唯一無二で、対比に満ちた嗅覚の署名と、力強く長く尾を引く残り香をもつ。この香りは、シチリアン マンダリンのフレッシュなノートと、男性的なウッドとレザーの意外な組み合わせを軸に組み立てられている。」
大げさに聞こえますが、使ってみると「対比」と「長く尾を引く残り香」の二つは、そのとおりだと感じます。とくに残り香については、脱いだシャツを翌朝に手に取ったときにまだ分かるくらいでした。柑橘から始まる香水でここまで尾を引くものは、僕の手元にもそう多くありません。
ディオール ファーレンハイトの基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| ブランド | ディオール |
| 商品名 | ファーレンハイト オードゥ トワレ |
| 容量 / 価格 | 100mL:17,600円前後(税込) |
| 香調 | トップ:シチリアン マンダリン / ハート:ヴァイオレット / ベース:レザー |
| 濃度 | オードゥ トワレ |

濃度はオードゥ トワレです。この字面だけ見ると軽そうに思えますが、実際の残り方はそんなに大人しくありません。ディオール自身が力強く長く尾を引く残り香だと書いているとおり、僕の体感でも6〜8時間は肌の上に残っていました。
もうひとつ押さえておきたいのが、香りの層がはっきり分かれていること。トップ、ハート、ベースで顔つきが変わるので、つけてから三十分後と三時間後で印象がまるで違います。売り場で吹いて、その場の第一印象だけで判断すると損をする香水です。
僕は最初、売り場で嫌いだと思いました。買ったのはその半年後で、友人の手首で三時間経ったものを確かめてからです。あの日に判断を保留しておいて本当によかったです。
香りの変化
STEP 1|0〜30分
シチリアン マンダリン
明るい柑橘が先に立つ
STEP 2|〜3時間
ヴァイオレット
粉っぽい花が中心に出てくる
STEP 3|それ以降
レザー
乾いた革が長く残る
ディオールはこの三つを、トップ、ハート、ベースとして紹介しています。順番に見ていきます。
トップ:シチリアン マンダリン
最初に届くのはシチリアン マンダリンです。オレンジより柔らかく、レモンより甘い柑橘で、明るさだけを担当しています。ここだけを取り出せば、誰にでも好かれる爽やかな香りです。
ただし、この明るさは長くは続きません。むしろ後に来るものへの助走のような役どころで、この落差そのものがファーレンハイトの仕掛けになっています。
ミドル:ヴァイオレット
三十分ほど経つと、ヴァイオレットが立ち上がってくるんです。ディオール自身が意外なハートノートだと書いている素材で、実際つけていると花の香りなのに粉っぽくて、少しだけ油っぽいという不思議な質感になります。
この部分こそが、ファーレンハイトを唯一無二にしている正体です。よく言われる「ガソリンみたい」という感想は、たぶんここを指しているんですよね。僕はこの粉っぽさが好きで、この段階のためにこの香水を持っていると言ってもいいくらいです。
ベース:レザー
そして最後に残るのがレザーです。革の匂いといっても、鞄売り場のような濃いものではありません。乾いていて、少し埃をかぶった手袋のような、静かな革です。
このレザーが、マンダリンの明るさとヴァイオレットの粉っぽさを一つの線でつないでいます。三つの層が別々に鳴っているのではなく、後から振り返ると全部つながっていたと分かる作りでした。ここまで到達して初めて、この香水の意味が分かります。
Ryo
売り場で吹いた瞬間の印象で決めないでください。この香水は三時間後からが本番です。
正直な注意点
いいところばかり書いても仕方がないので、引っかかる部分も置いておきます。
注意
① 好みがはっきり割れる。ヴァイオレットとレザーの組み合わせが独特で、苦手な人はとことん苦手
② 残り香が強い。オードゥ トワレという表記から想像するより長く残るので、量を絞りたい
ひとつめは好みです。この香りを嫌いだと言う人を、僕は何人も知っています。ヴァイオレットの粉っぽさが油っぽく感じられると、そこでもう受け付けなくなるようです。試さずに買うのはおすすめしません。
ふたつめは量です。オードゥ トワレという言葉に油断して三プッシュすると、閉じた空間ではかなり強くなります。僕は一プッシュか、多くても二プッシュに留めていました。とくに車の中や会議室では、周りに逃げ場がありません。

三つめは、第一印象で損をしやすいことです。売り場のムエットで確かめただけでは、この香水の良さはほとんど分かりません。肌にのせて、最低でも三時間は置いてほしいところ。ここを飛ばして判断すると、名作をひとつ取り逃がします。
四つめは季節です。気温が高いとレザーの乾いた部分が重く出ます。夏の日中よりも、秋から冬の夕方以降のほうが気持ちよく決まりました。
合う人・合わない人
こんな人に合う
- ✓ 他の人と同じ香りを避けたい
- ✓ 香りの移り変わりを楽しみたい
- ✓ レザーやウッディの落ち着きが好き
合わないかも
- × 万人に好かれる爽やかさが欲しい
- × 売り場の第一印象で決めたい
香水を何本か持っていて、そろそろ人と被らない一本が欲しくなってきた人に向いています。名前は有名なのに、実際につけている人には街でほとんど会いません。
反対に、最初の一本には勧めにくいです。強いし、好みが割れるし、良さが分かるまでに時間がかかります。清潔感で外さない香りを探しているなら、もっと素直な柑橘系から入ったほうが楽しめると思います。
使う場所と時間
使う場面
| 仕事・オフィス | △ | 個性が強い。少量なら成立する |
| 夜デート | ◎ | この香水の主戦場 |
| 休日 | ○ | きれいめの服装なら自然に合う |
| 真夏 | × | 気温が上がるとレザーが重くなる |
主戦場は秋から冬の夜です。気温が下がるほど三つの層の輪郭がはっきりして、変化を追う楽しみが出てきます。僕は肌寒くなってきた頃にこれを引っ張り出すのが毎年の習慣になっていました。
服装で言うと、黒とカーキが合います。黒のレザージャケット、カーキのミリタリーコート、足元はブーツ。香りに硬質な部分があるので、服も少し武骨な方向で受けると全部つながります。柔らかいニットや明るい色のセットアップとは、少し噛み合わない感じがありました。夜八時、コートの襟を立てて店へ向かう、くらいの空気がいちばん似合います。
つける場所は胸元です。首元だと自分に近すぎて、変化を追う前に慣れてしまいます。少し離れたところに置いておくと、三時間後のヴァイオレットにちゃんと気づけました。
保管で中身は変わる
香水は買って終わりではありません。置き場所で中身が変わります。
置き場所と影響
| 直射日光の当たる窓際 | × | 数か月で変質する |
| 浴室・洗面所 | × | 温度差と湿気 |
| 暖房の近く | × | 温度変化で酸化が進む |
| 引き出し・クローゼット | ◎ | 暗くて温度が安定する |
ファーレンハイトは炎のようなグラデーションのボトルなので、光に当てたくなる気持ちはよく分かります。僕も窓辺に置いていた時期がありました。ところが日光は香水の敵で、そこに置いていた一本は色が濃くなるのが早かったです。
箱に戻して引き出しにしまうのが、いちばん確実でした。開封してからは一年から三年を目安に使い切りたいところ。色が濃くなった、金属っぽい匂いが混ざる、つけた瞬間の印象が前と違う。こうした変化が出たら中身が動いたサインです。
口コミの読み方
評価が割れる香水ほど、読み方に気をつけたいところです。
口コミの読み方
| ガソリンの匂い | ヴァイオレットの粉っぽさをそう表現している | |
| おじさんくさい | 定番として長く売られていることの裏返し | |
| きつすぎる | つけすぎ、あるいは閉じた空間で使っている | |
| 好き嫌いが激しい | そもそも万人受けを狙っていない |
否定的な感想の多くは、香水そのものではなく期待とのズレから来ています。「ガソリンみたい」という表現も、実際に使っている人が同じ言葉で褒めていたりするから面白いところ。
僕が読むときに気にしているのは、その人が何分後の香りを語っているかです。トップだけで書かれた感想と、半日つけた人の感想は、まったく別の香水の話になります。口コミは点数を確かめる材料というより、どういう場面で不評だったかを知るために読むと役に立ちます。
まとめ
この記事のまとめ
- マンダリン→ヴァイオレット→レザーの三段構え。総合評価4.5
- 粉っぽいヴァイオレットが、この香水を唯一無二にしている
- 持続は体感6〜8時間。売り場の第一印象で決めないこと
ファーレンハイトは、誰にでも勧められる香水ではありません。その代わり、刺さった人にとっては代わりの効かない一本になります。僕にとっては、寒くなると必ず戻ってくる場所のような香水です。
人と違う一本を探しているなら、肌にのせて三時間置いてから判断してみてください。それでも好きになれなければ、縁がなかったというだけの話です。
ディオールの他のメンズ香水と比べたい方は、ディオール ソヴァージュのレビューもあわせて読んでみてください。同じブランドでも狙いがまるで違うので、自分の好みがどちらに近いか分かりやすくなります。
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