革靴を買った日より、二足目を買う日を遅らせてくれるのが手入れの道具です。ところが売り場に立つと、クリーム、クリーナー、ブラシ、クロスと箱が並んでいるのに、どれが何をする道具なのかは値札に書いてありません。ここで手が止まったまま何年も過ごしている人を、私は何人も知っています。
先に向きだけ決めてしまいましょう。手元に何もないならセットを買うのが早いです。ブラシもクロスも一度に揃いますし、箱に書かれた順番どおりに使えば形になります。逆に、ブラシとクロスはもう持っていてクリームだけ底が見えてきた人は、セットを買い足しても道具がだぶるだけでした。
この記事で扱うのは6点で、内訳はセットが4つと単品が2つです。いちばん安いM.MOWBRAYのシュークリームジャーが1,210円、いちばん高いサフィールノワールのセットが7,700円ですから、価格はかなり開きます。
そしてセットを選ぶとき、いちばん知りたいのは中身に何が入っているかではないでしょうか。ここは各ブランドの公式ページに全部書いてありましたので、記事のほうでも全部出します。
このブログを書いている人
30代前半メンズ、都内在住。「大手製薬企業 → 大手EC企業 → 大手メーカー企業」と、ライフスタイルに合わせて転職をしながら現在3社目で日々奮闘中。ファッションや美容といった身だしなみのことから、生活を豊かにするガジェット類、インテリアや雑貨まで、実際に使ってよかったものだけを書いています。
私は極度の脂性肌×敏感肌で、スキンケアは市販薬からデパコス、20以上の美容医療やイソトレチノイン治療まで一通り試してきました。
大好きな香水は500本以上、洋服には累計2,000万円ほどを使用(使いすぎ…)
これまで身を削って試してきた実体験を皆様にお伝えします!
革靴の手入れは「セットで揃える」か「単品で足す」かで分かれます
判断はこの一点で足ります。ブラシが1本もない状態から始めるならセット、クリームだけ入れ替えたいなら単品。両方を同時に迷う場面はほとんどありません。
セットが効くのは、ブラシとクロスまで一度に揃うからです。クリームだけ買っても、それを塗る道具と磨く道具がなければ手入れは終わりません。しかも入っているブラシは毛質が違う2本で、どちらが何の役目かはセットの説明に書いてあります。道具の名前と役目を同時に覚えられるのが、実は入門セットの一番の価値だと思っています。
今回の4セットについて、中身の内訳と価格を並べました。
| セット | 中身 | 価格 |
|---|---|---|
| ブートブラック スターターセット | シュークリーム30g・ツーフェイスローション30mL・馬毛ブラシ・豚毛ブラシ・クロス・グローブクロスの6つ | 2,200円 |
| ダスコ スターターセット(シングル) | プレミアムシュークリーム50mL・レザーバームローション50mL・馬毛ブラシ(ミニ)・豚毛ブラシ(ミニ)・竹ブラシ・ハイシャイングローブの6つ | 2,640円 |
| サフィール スターターセット(シングルDX) | ビーズワックスファインクリーム50mL・クリーニングローションミニ50mL・馬毛ブラシ・アプライブラシ・豚毛ブラシミニ・コットンクロス・グローブの7つ | 3,300円 |
| サフィールノワール スターターセット(DX) | クレム1925の75mL・レザーバームローションミニ50mL・馬毛ブラシ・豚毛ブラシ・アプライブラシ・ポリッシュクロス・グローブの7つ | 7,700円 |
こうして並べると、どのセットも骨組みは同じだと分かります。クリーム・クリーナー・馬毛ブラシ・豚毛ブラシ・クロス。この5つが共通で、価格が上がるにつれてブラシが1本増えたり、クリームの容量とグレードが上がったりする構造でした。
馬毛と豚毛、クリームとローション。役割はここで一度だけ整理します
ブラシが2本入っているのを見て、なぜ2本もいるのかと思った人は多いはずです。答えは毛質にあります。馬毛は柔らかく、履いたあとのホコリを払うためのブラシです。豚毛は硬めで、塗ったクリームを革へ伸ばして馴染ませる役目を持ちます。ブートブラックのセットでは茶色の毛が馬毛、白色の毛が豚毛なので、色で見分けられました。
もうひとつ迷いやすいのが、クリームとローションの違いでしょう。ローションと名の付くものはクリーナーで、革に残った古いクリームや汚れを落とすために使います。ここを飛ばしてクリームを重ねると、汚れごと塗り込むことになりますから、順番は守ってください。
靴クリームそのものにも種類があります。水分と油分を練り合わせた乳化性のクリームは、革に水分と油分を入れ直しながら色を補うのが役目で、日常の手入れの主役になります。もう一方の油性のクリーム、いわゆるワックスは、つま先やかかとに薄く重ねて光らせるための道具です。同じ「クリーム」でも狙いが違いますから、片方だけでは届かない場面が出てきます。今回の6点で乳化性とはっきり書かれているのはM.MOWBRAYのシュークリームジャーで、公式が「補色力も抜群な栄養クリーム(乳化性タイプ)」と説明していました。
手入れは5つの手順で終わります
- 1. 馬毛ブラシでホコリを落とす
- 2. ツーフェイスローション(クリーナー)で古いクリームや汚れを落とす
- 3. シュークリームを薄く塗る
- 4. 豚毛ブラシで磨き込む
- 5. グローブクロスで乾拭きする ※ブートブラック公式の使用方法より

ゼロから一式そろえるなら、この4セットから選びます
ここからは価格の低い順に見ていきます。安いものが劣るという話ではなく、容量とブラシの本数と、クリームのグレードが上がっていくと考えてください。
ブートブラック シューケア スターターセット(2,200円)
何も持っていない人の入口はここです。国内の靴クリームメーカーであるコロンブスのブートブラックが組んだ6つ入りで、価格は2,200円です。今回そろえた4セットのなかで最も安い構成でした。
中身はシュークリーム30gとツーフェイスローション30mL、馬毛ブラシ、豚毛ブラシ、クロス、グローブクロス。クリームの色はブラックとニュートラル(無色)の2色から選ぶ形になっています。黒い靴を1足だけ持っているならブラック、色を足したくないならニュートラル、という決め方でいいと思います。
容量が30gと30mLですから、大量に余らせる心配もありません。まず使い切ってみて、続きそうなら次を考える。その距離感で持てるのが、この価格帯の良さです。
社会人1年目で、とりあえず一式ほしいという人にはこれがいちばん迷いません。手入れが習慣になるかどうかを確かめるための、いちばん安い実験だと考えてもいいでしょう。
ダスコ シューケア スターターセット(シングル・2,640円)
道具そのものに愛着を持ちたい人には、英国ブランドであるダスコの6つ入りが向いています。価格は2,640円で、メーカー希望小売価格は3,993円と表記されていました。
面白いのは竹ブラシが入っているところでしょう。クリームを靴に塗るための小さなブラシで、指やクロスで塗るより量を一定にしやすい道具です。ブートブラックのセットには入っていない一本なので、ここで差が出ます。
クリームはプレミアムシュークリームの50mLで、公式の説明では「ワックスとオイルの配合割合が高く、栄養と撥水効果」とされています。汚れ落としのレザーバームローションも50mLで、ブートブラックより容量に余裕がありました。馬毛ブラシと磨き上げ用の豚毛ブラシはどちらもミニサイズで、100%の単一毛です。
クリームの色は黒と無色から選べて、付属のハイシャイングローブもそれに連動して黒かベージュに変わります。
2,000円台で英国ブランドの道具をそろえたい人、そして道具箱に並べたときの気分まで含めて選びたい人に向くセットです。
サフィール シューケア スターターセット(シングルDX・3,300円)
入門と本格の中間を狙うなら、ここが本命枠になります。3,300円で7つ入り、ブラシが3本入るという構成が効いてきます。
内訳はビーズワックスファインクリーム50mL、汚れと古いクリームやワックスを落とすクリーニングローションミニ50mL、ホコリ落とし用のホースヘアブラシ、クリーム塗布用のアプライブラシ、磨き上げ用の豚毛ブラシミニ、ミニコットンクロス、ハイシャイングローブの7点です。塗る用と磨く用でブラシが分かれているので、クリームがブラシに残って次の靴に移る、という面倒がありません。
クリームはみつろうベースで、天然原料を高濃度に配合したと公式が説明しています。対応する靴の幅も広く、公式のQ&Aでは「本革の靴全般(ビジネスシューズ、ローファー、パンプス、ブーツ、ショートブーツ、スニーカーなど)」と案内されていました。革靴だけを持っている人よりも、ブーツやレザースニーカーまで手入れしたい人のほうが、この7点の恩恵を受けます。
ビジネスシューズもブーツも面倒を見たい、けれど最初から1万円は出したくない。そういう人の落としどころがここです。
サフィールノワール シューケア スターターセット(DX・7,700円)
良い靴を買ってしまった人向けの一式です。7,700円は今回の6点でいちばん高い価格で、道具にここまで出すのかと一瞬ためらう金額でもあります。
中心にあるのはクレム1925の75mLです。1925年のパリ万博で金賞を取ったクリームだと公式が紹介していて、シアバターやビーズワックスといった厳選天然原料を配合した最高級靴クリームという位置づけになっています。容量も75mLと今回の中では最大でした。
ここに万能クリーナーのレザーバームローションミニ50mL、馬毛ブラシ、磨き上げ用の豚毛ブラシ、アプライブラシ、ポリッシュクロス、ムートン調グローブが付いて7点です。ブラシはいずれもブラックコーティングで、見た目の統一まで気を配ってありました。レザーバームローションはバッグや財布などスムースレザー全般にも使えると書かれていますから、靴以外の革小物を持っている人にとっては用途が二重になります。
つま先まで手をかけたい人、そして手入れの道具で妥協したくない人に向きます。ブラシ3本と磨き用のクロス・グローブが最初から揃うので、買い足す前提を持たずに始められるのが強みです。
クリームだけ足すなら、単品で選び直します
すでにブラシもクロスも持っている人が、セットをもう一つ買う理由はありません。減るのはクリームだけですから、そこを単品で入れ替えるほうが速いですし、安く済みます。
M.MOWBRAY シュークリームジャー(1,210円)
今回の6点で最も安いのが、この1,210円のクリームでした。イタリア製の乳化性クリームで、容量は50mLです。特筆すべきは色の数で、全60色あります。
セットに入っているクリームは黒か無色の二択になりがちですが、こちらなら手持ちの靴の色に寄せられます。補色までやりたい人にとって、色数はそのまま選択肢の数でした。公式は「補色力も抜群な栄養クリーム(乳化性タイプ)」と説明していて、用途はスムースレザーの靴、パンプス、ブーツと案内されています。
セットのクリームが減ってきた人、色を合わせて補色したい人はここから足すのが素直です。1,210円なら、無色と色付きを2本持つ買い方も現実的でしょう。
コロニル 1909 シュプリームクリームデラックス(2,500円前後)
靴以外の革も持っているなら、こちらが効いてきます。ドイツのコロニルによる1909シリーズのクリームで、公式サイトの表示価格は100mLのカラーレスで3,300円です。実売は2,500円前後で、店によって開きがありました。
公式には「フッ素不使用、有機溶剤不使用」と明記されていて、主成分はシーダーウッドオイルとラノリンです。対応するのはスムースレザーの靴だけでなく、バッグ、ウェア、家具まで。保革と栄養、つや出し、補色までを一本でこなす作りになっています。
ただし100mLサイズの色展開はカラーレス(無色)とブラックの2色だけです。茶系の補色をしたいなら、20mLサイズのタン、ミディアムブラウン、ダークブラウンなどから選ぶ必要があります。ここは買う前に確認しておいてください。
靴もバッグも革のジャケットも一本で見たい人、ツヤを出すより革を長持ちさせる方向で考えたい人に向くクリームです。

買う前に知っておくと、がっかりせずに済むこと
いちばん多いのが素材の取り違えです。ブートブラックのセットは公式の使用上の注意で、ヌメ革、素仕上げ革、エナメル革、爬虫類などの特殊な革、そしてスエードやヌバックといった起毛革には使用できないと明記されています。メンズのスエードローファーのような起毛革の靴を持っている人は、この一式とは別に起毛革用の道具が要ります。
色の選び方も先に決めておいたほうがいいです。今回の4セットはどれもクリームが黒か無色の選択制で、茶系の色付きクリームは入っていません。茶やこげ茶の靴に色を合わせたいなら、セットは無色で買っておいて、色付きのクリームだけ単品で足すのが確実な進め方でした。
鏡面磨きを期待している人にも一言添えておきます。4つのセットはどれも、クリーム・クリーナー・ブラシ・クロスという日常の手入れ一式で組まれていました。つま先だけを鏡のように仕上げる専用のワックスは、単体では入っていません。そこまでやりたいなら、あとから足す前提で考えてください。
用途の限定もあります。M.MOWBRAYのシュークリームジャーは靴専用で、公式のQ&Aに「こちらは靴専用クリームです。靴以外の革小物などにはご使用できません」とありました。バッグにも同じクリームを使いたい人は、コロニル1909か、サフィールノワールに付くレザーバームローションのほうを見てください。
最後に並行輸入の話です。コロニルは並行輸入品への注意をブランド自身が公式に出していて、正規ルート外の品は成分や品質管理が異なる場合があり、トラブルが起きても正規代理店の保証の対象にならないとしています。輸入ものの革ケア用品は価格が散らばりやすいので、極端に安い出品を見かけたときは理由を疑ったほうが安全です。
結局、どれを買えばいいのか
ここまでの内容を、名指しでまとめました。
- 社会人1年目で、道具が何もない人にはブートブラックのスターターセット(2,200円)をすすめます。容量が小さいぶん使い切りやすいので、手入れが続くかどうかを試すのに向いています。
- 道具から入りたい人・英国ブランドに触れたい人はダスコのシングル(2,640円)でしょう。竹ブラシが入るぶん、塗る作業が一段やりやすくなります。
- ブーツやレザースニーカーまで手入れしたい人にはサフィールのシングルDX(3,300円)が届きます。ブラシ3本と7点構成で、当分は買い足しが要りません。
- 良い靴を買ったので道具も揃えたい人はサフィールノワールのDX(7,700円)です。クレム1925の75mLが中心で、磨き上げまで一式で完結します。
- クリームだけ減ってきた人・色を合わせたい人はM.MOWBRAYのシュークリームジャー(1,210円)を見てください。全60色あるので、手持ちの靴に近い色を選べます。
- 靴以外の革製品も持っている人にはコロニル1909のシュプリームクリームデラックス(2,500円前後)でしょう。バッグやウェア、家具まで一本で見られます。
迷ったら、いま持っている道具を数えてみてください。ブラシが1本もないならセットを、クリームだけ切れているなら単品を選んでください。判断の材料はそれで足ります。
手入れの効果がいちばん見えるのは、実は買ったばかりの靴ではなく、二年目や三年目の靴です。靴そのものを選び直す段階の人は、メンズビジネスシューズのほうから見ていくと順番が合います。
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