生地見本を渡されると、数字が並んでいて何を見ればいいか分かりません。その数字は糸の細さを表していて、大きいほど高価にはなりますが、大きいほど良いとは限らない。使い方によっては小さいほうが向きます。
番手は糸の細さを表す
生地に付いている数字は、糸の細さの単位です。一定の重さの羊毛から何本の糸が取れるかを表しています。
だから数字が大きいほど糸が細い。細い糸で織った布は、薄くてなめらかで、光沢が出ます。
ここまでは分かりやすい話です。問題は、細い糸ほど強度が落ちるという点にあります。
つまり番手は「上質さ」ではなく「細さ」の指標です。上質さの一部ではあっても、そのまま耐久性には結びつきません。
番手ごとの現実的な使いどころ
| 番手 | 手ざわり | 耐久 | 向く用途 |
|---|---|---|---|
| 70〜90 | しっかり | 強い | 毎日着る仕事用 |
| 100〜110 | ほどよい | 扱いやすい | 仕事全般・1着目 |
| 120〜130 | なめらか | やや弱い | 週数回・きれいめ |
| 150以上 | 絹のよう | 弱い | 式典・特別な日 |
毎日着るスーツに150番手を選ぶと、1年でテカリや擦り切れが出ることがあります。
逆に式典用に70番手を選ぶと、写真で見たときに重く映る。用途と番手を対応させるのが正しい選び方です。
1着目なら100番手前後。ここが手ざわりと耐久のバランスが取れる範囲になります。
織り方のほうが体感に効く
番手より着心地を左右するのが織り方です。
| 織り | 特徴 | 向く季節 |
|---|---|---|
| 平織り | 隙間が多く風が通る | 春夏 |
| 綾織り | 斜めの畝・シワに強い | 通年 |
| 朱子織り | 光沢が強く滑らか | 礼装 |
夏に暑いと感じる原因は、生地の厚みより織りの詰まり具合にあります。同じ重さでも、隙間があれば風が抜ける。
シワが気になるなら綾織りです。斜めの構造が戻る力を持っているので、座りジワが残りにくい。
見本を触るとき、光にかざして隙間を見てください。厚みだけで判断すると外します。
重さ(目付)を見ると失敗が減る
生地には1メートルあたりの重さが書かれていることがあります。これが季節の目安になります。
| 目付の目安 | 季節 | 感じ方 |
|---|---|---|
| 190〜220グラム | 盛夏 | 軽い・透ける寸前 |
| 230〜270グラム | 春秋 | 通年で使える |
| 280グラム以上 | 冬 | 重い・保温する |
「通年生地」と書かれていても、実際は春秋向けであることが多い。真夏と真冬に同じもので通すのは無理があります。
1着目に選ぶなら240グラム前後。この帯なら、真夏と真冬以外はカバーできます。
混紡をどう見るか
羊毛100パーセントが上、という単純な話でもありません。
混ぜられる素材と効果
- ポリエステル:シワに強く、価格が下がる
- モヘア:張りと光沢が出て、夏に涼しい
- カシミヤ:柔らかく暖かいが弱い
- 麻:涼しいがシワが深く入る
毎日着て頻繁に洗いに出せないなら、ポリエステルが少し入っているほうが実用的です。
ただし混紡率が3割を超えると、見た目に安さが出ることがある。1〜2割までが目安になります。
取り扱いを確かめる
Suit ya(ネット完結のオーダースーツ)
採寸から注文まで自宅で完結します。既製品でサイズが合わない人は、作るほうが結果的に早いことがあります。
生地の選択肢が多い形だと、番手と織りを指定して選べます。現物を触れないぶん、数字の意味を分かっているかで結果が変わる部分です。
産地の名前で選ばないほうがいい理由
生地には産地やブランドの名前が付いていることがあります。名前が付いていると良く見えますが、そこは判断材料になりにくい。
同じブランドの中に、番手も織りも重さも違うものが何十種類もあります。名前は品質を保証する記号であって、自分に合うかとは別の話です。
見るべきは、番手・織り・重さの3つ。これが分かっていれば、名前を知らない生地でも選べます。
逆に言えば、名前だけで選ぶと真夏に重い生地を買うようなことが起きます。
見本帳の見方
生地見本は小さく切られているので、実物の印象と違って見えます。
見本を見るときにやること
- 顔の近くに当てて鏡で見る
- 窓際の自然光で確認する
- 折り曲げてシワの戻り方を見る
- 裏側の織り目も見る
室内の照明だと、紺と黒の区別がつきにくい。自然光に当てると差がはっきり出ます。
折り曲げて離したとき、すぐ戻る生地はシワに強い。折り目が残るものは座り仕事に向きません。
小さい見本だと柄の間隔が分かりません。ストライプは、実際に着ると見本より間隔が広く見えます。
迷ったら、同じ生地で仕立てた見本の上着を見せてもらってください。面積が変わると印象が変わります。
高い生地を選んで後悔する場面
せっかく作るなら良い生地を、と考えるのは自然です。ただ高い生地には扱いの手間が付いてきます。
細い糸ほど摩擦に弱く、カバンを肩にかける場所や袖の内側から先に傷みます。毎日同じスーツを着る人には向きません。
それから、光沢の強い生地は場面を選びます。昼間のオフィスで浮いて見えることがある。
手入れの負担も上がります。自宅でブラシをかける習慣がないなら、扱いやすい生地のほうが結果的に長持ちします。
予算を上げるなら、生地より先に仕立てに回すという選び方もあります。同じ金額なら、そちらのほうが着たときの差は出やすい。
あわせて読みたい
- 作るかどうか迷うならオーダースーツのメリットとデメリットもどうぞ。
- 予算を仕立てに回すなら仕立ての違いもどうぞ。
話をまとめると
番手は糸の細さ。大きいほど細く、細いほど弱くなります。
毎日着るなら100番手前後、式典用なら高番手という使い分けです。
着心地は番手より織り方と重さで決まります。
産地やブランド名では選べません。番手・織り・重さの3つを見てください。
あわせてスーツの仕立ての違いはどこに出るかもどうぞ。
※本記事はプロモーションを含みます

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