九月に入っても、部屋の空気は思ったほど動きません。冷房をつけたのに足元だけが冷えて、暖房を入れると頭のあたりばかり暑くなる。あの「たまり」を崩すための道具が、サーキュレーターです。
床置きのモデルは各社から山ほど出ていますが、壁掛けを探している人の事情はもう少し切実だと感じます。置く床がない、コードを踏みたくない、小さな子どもが倒してしまう。理由はだいたいこのあたりに集まってきます。
そして壁掛けを調べ始めると、必ず同じところで手が止まるはずです。うちの壁、穴を開けていいんだっけ、というところ。今回並べた4台のうち、ネジを使わずに取り付けられるのは1台だけでした。残りの3台は、どれも壁に穴が開きます。ここが最初の分かれ目で、ここを飛ばして風量や首振りから比べ始めると順番が合いません。
もうひとつ、落下の話も先に置いておきます。壁掛けは、落ちれば下にいる人に当たる高さへ付ける家電です。4台とも、商品ページの説明から耐荷重の数値は見つけられませんでした。本体の重さと固定のしかた、そしてどんな壁が要るかを先に確かめておいてください。
このブログを書いている人
30代前半メンズ、都内在住。「大手製薬企業 → 大手EC企業 → 大手メーカー企業」と、ライフスタイルに合わせて転職をしながら現在3社目で日々奮闘中。ファッションや美容といった身だしなみのことから、生活を豊かにするガジェット類、インテリアや雑貨まで、実際に使ってよかったものだけを書いています。
私は極度の脂性肌×敏感肌で、スキンケアは市販薬からデパコス、20以上の美容医療やイソトレチノイン治療まで一通り試してきました。
大好きな香水は500本以上、洋服には累計2,000万円ほどを使用(使いすぎ…)
これまで身を削って試してきた実体験を皆様にお伝えします!
扇風機と同じ顔をしていますが、役割は違います
見た目が似ているせいで混同されがちですが、サーキュレーターは涼むための道具ではありません。狙いは、部屋の中にできた空気の層をかき混ぜることにあります。
だから風の性質そのものが違うのです。扇風機は体に当てるために広くやわらかい風を送りますが、サーキュレーターは遠くまで届く直進性の高い風をつくります。壁掛けなら、その風を天井や対角の壁へ向けて放てるので、部屋全体を一周させやすくなるわけです。人に当てて涼む用途で買うと、風が硬くて「思っていたのと違う」となりやすいところは、正直に伝えておきます。
体に直接あてて涼みたいなら、そもそも別の道具のほうが向いています。持ち歩ける小型のものは高級ハンディファンで扱いましたので、目的がそちらなら先にそちらを見てください。ここから先は、あくまで空気を回す話として読んでいただけると噛み合います。

壁に穴を開けられるか。ここで4台は二つに割れます
今回の4台は、取り付け方式で二つのグループに分かれました。ネジで留める3台と、吸盤で貼り付ける1台です。持ち家か賃貸か、そして賃貸なら原状回復をどこまで求められるかで、選べる範囲がまるごと変わります。
賃貸だからネジは全部だめ、と決まっているわけでもありません。契約書の特約や管理会社の運用によって扱いは違いますから、迷ったら先に確認するのがいちばん早い道になります。ここを曖昧にしたまま買うと、届いてから箱を開けられないという間抜けな結末が待っています。
石膏ボードに、ネジは直接効きません
一般的な話として、日本の住宅の内壁はたいてい石膏ボードです。名前のとおり石膏を紙でくるんだ板で、爪を立てれば跡がつく程度のもろさですから、木ネジをそのままねじ込んでも保持力がほとんど出ません。数日で緩んで、ある日ごとんと落ちます。
効かせたいなら、壁の中の下地(間柱)にネジを届かせるか、石膏ボード用のアンカーを使うことになります。下地の位置は、壁を軽く叩いたときの音の変化で探せますし、市販の下地センサーを使えばもっと確実です。ここは商品側の問題ではなく壁側の問題なので、どのモデルを選んでも避けて通れません。
吸盤は「平らで滑らか」が条件です
穴を開けない方式にも、別の条件が付いてきます。今回の吸着式は商品ページの注意事項に「平らで滑らかな壁面に設置してください」と明記されていました。裏を返せば、エンボス加工の入った凹凸のあるクロスや、ざらついた塗り壁では吸い付かない可能性があるということです。
自宅の壁紙に細かい凹凸があるかどうかは、手のひらでなでてみればすぐ分かります。買う前に一度さわってみてください。
| 製品 | 取り付けのしかた | 必要な壁の条件 |
|---|---|---|
| オーム電機 FF-SQ850RY | ネジ2本+壁面プレート1個 | ネジが効く壁。石膏ボード対応の記載はなし |
| 山善 YWRX-BMD18E | 取付ネジ4本 | ネジが効く壁。壁材についての記載はなし |
| 真空吸着式ウォールファン | 吸盤で固定、穴あけ不要 | 「平らで滑らかな壁面」と明記 |
| 羽根なし壁掛けサーキュレーター(インターロジテック) | コンクリートネジ3本+壁掛け用鉄板 | コンクリート壁を前提にした金具とみられる |
穴を開けずに壁を活用する発想そのものは、家電に限った話でもありません。賃貸のインテリアは壁の使い方で広がるのほうに、ピンやフックで済ませる道具をまとめてあります。
落ちたときのことを、買う前に考えておいてください
壁掛けは、頭より高い位置に1〜2kgの塊を固定する行為です。当たり前のようでいて、ここを軽く見ると事故になります。
今回の4台の本体重量は、オーム電機が約1.6kg、山善が2.0kg、インターロジテックが約1.9kgでした。真空吸着式ウォールファンについては、本体重量の記載を商品ページから確認できていません。数字が出ていないものを軽いと決めつけるわけにもいきませんから、吸着式を選ぶ場合はとくに、壁面の状態を念入りに見るのが安全側の判断になるでしょう。
そして繰り返しになりますが、耐荷重の数値はどの製品にも出ていませんでした。「この壁なら何kgまで大丈夫」という保証は、こちらからは出せません。
取り付ける前に確かめておく3つ
- 壁を軽く叩いて音の変わる場所を探し、下地(間柱)の位置を把握する
- 石膏ボードに直接ネジを打たない。効かせるなら下地かボードアンカーを使う
- コンセントの位置と、コードが届く長さを先に測っておく
DCモーターだと、何がどう変わるのか
商品名に「DCモーター」と書かれているモデルがあります。一般論として、DCモーターはACモーターに比べて回転数を細かく制御しやすく、消費電力も抑えやすいという性質を持ちます。
その差は、今回の4台の数字にも出ていました。DCモーターをうたう山善のモデルは消費電力13W、風量は6段階です。羽根なしのインターロジテックも商品名にDCモーターとあり、こちらは26Wで7段階でした。いっぽうオーム電機のモデルはモーター種別の記載がなく、消費電力は風力3のときで27/30W、風量は3段階になっています。
弱い風を長時間まわしっぱなしにしたい人ほど、段階の細かさは効いてきます。真夜中に「1段階目でも強すぎる」と感じて結局切ってしまう、というのはよくある話ですから、寝室で使うつもりなら段階数は見ておきたいところです。ただし電気代が具体的にいくら下がるかは、使う時間も電力会社の単価も家庭ごとに違うので、ここでは断定しません。
4台の数字を、まとめて並べます
風量の段階、首振りの向きと角度、消費電力、重量を一枚にしました。首振りは自動か手動かで使い勝手がかなり変わるので、そこも一緒に入れてあります。
| 製品 | 風量の段階と首振り | 消費電力と重量 |
|---|---|---|
| オーム電機 FF-SQ850RY | 3段階/首振りについての記載なし | 27/30W(風力3のとき)・約1.6kg |
| 山善 YWRX-BMD18E | 6段階/360度の自動首振り | 13W・2.0kg |
| 真空吸着式ウォールファン | 5段階/左右は自動、上下は手動 | 約10.5W・重量の記載なし |
| 羽根なし壁掛けサーキュレーター(インターロジテック) | 7段階/左右45度・上下130度、いずれも手動 | 26W・約1.9kg |
リモコンの有無は、壁掛けだと想像以上に効きます。手を伸ばして届かない高さに付けるわけですから、本体のボタンを押しに椅子を持ってくる生活は現実的ではありません。
オーム電機 FF-SQ850RY は、卓上にも回せます
いちばん手頃な入口がこのモデルでした。実売は4,954円前後で、4台の中で最も安い価格帯に入ります。壁掛け金具はネジ2本と壁面プレート1個という構成で、今回の3台のネジ止め組の中ではもっとも穴が少なく済みます。
面白いのは、壁掛けと卓上の両用である点です。壁に付けてみて風の向きが合わなければ、外して机の上に置くという逃げ道が残ります。最初の一台としては、この後戻りできる感じが安心材料になります。
仕様は、質量が約1.6kgで電源はAC100V、消費電力は風力3のときで27/30W。羽根は壁掛け時で約150mm、風量は3段階、適用畳数は12畳までとされています。リモコンも付属しますので、高い位置に付けても操作で困りません。
一方で首振りについては商品ページの説明で確認できませんでした。風を一方向に固定して使う前提で考えておくほうが、届いてからの落差が小さくなります。エアコンの対角へ向けて空気を押し出す、といった固定運用なら十分に働いてくれる一台です。
山善 YWRX-BMD18E は6段階と360度首振り
風の調整幅と首振りで選ぶなら、今回はこのモデルが頭ひとつ抜けていました。実売は7,980円前後です。
羽根は18cm径が3枚。風量は6段階あり、しかも360度の自動首振りに対応します。壁掛けサーキュレーターで360度というのは、天井方向にも床方向にも風を送れるということで、季節をまたいで使い回しやすい構造だと感じました。夏は天井へ、冬は床へ、と向きを変えるだけで役割が切り替わります。
消費電力は13Wで、これは4台の中でもっとも低い数字でした。DCモーター搭載機らしいところです。重量は2.0kgで、こちらは4台の中では最も重くなります。取付ネジは4本ですから、オーム電機のモデルより壁に開ける穴が2つ増える計算です。
壁材が石膏ボード対応かどうかについては、商品ページに記載がありませんでした。ネジ4本ぶんの荷重をどこで受けるかは、買う人が壁を見て判断する部分になります。下地の位置を先に調べてから注文すると、届いてから慌てずに済みます。
山善 DC壁掛けサーキュレーター YWRX-BMD18E/YWRX-BMD15E
参考価格 7,980円前後
DCモーターで6段階の風量を細かく調整できる、18〜20畳対応の主力モデル。
穴を開けない唯一の一台、真空吸着式ウォールファン
賃貸で壁に穴を開けられない人にとって、今回の候補で選べるのはこの1点だけでした。実売は5,652円前後です。
先に、隠さず書いておきます。この製品は、商品ページから販売元やメーカー名を確認できませんでした。4台のうち、これだけが例外的な扱いになります。ふだんなら候補から外すところですが、穴を開けずに取り付けられる型がこの1点しか見つからなかったため、事実を明示したうえで残しました。ここを気にする方は、無理に選ばないでください。
そのうえで中身です。取り付けは吸盤で、商品ページには工事不要・穴あけ不要と書かれています。電源はほかの3台と違ってコンセント直挿しではなく、USB Type-C充電式(DC5V)でUSB給電にも対応します。バッテリー容量は2400mAh、消費電力は約10.5W、風量調節は5段階。首振りは左右が自動で、上下は手動での調整になります。
コードから解放されるのは、壁掛けだと大きな利点です。コンセントの位置に縛られないので、付けたい場所に付けられます。ただし条件がひとつ。注意事項には「平らで滑らかな壁面に設置してください」とあります。凹凸のあるクロスでは吸い付かない可能性があるという意味ですから、ご自宅の壁紙の質感を先に確かめてから決めてください。
なお、本体重量・羽根の大きさ・耐荷重は、いずれも記載を確認できていません。吸盤である以上、経年で吸着力が落ちる可能性も含めて、定期的に手で押して確かめる運用にしておくと安心です。

羽根がないインターロジテックは、拭くだけで掃除が終わります
4台の中でいちばん高い9,480円前後の価格帯ですが、その理由ははっきりしています。羽根がありません。
サーキュレーターの掃除がどれだけ面倒か、使ったことのある人ならご存じのはずです。ガードを外し、羽根を外し、ほこりの層を落として、乾かして、また組む。この一連が消えるだけでも価値があると私は思います。壁掛けとなれば脚立に乗っての作業になりますから、なおさらです。羽根がないぶん、小さな子どもが指を入れる心配も減ります。
仕様は、重量が約1.9kg、電源はAC100Vで消費電力26W、風量調節は7段階と細かく刻めます。首振りは左右45度・上下130度で、こちらは手動での調整。リモコンと壁掛け用鉄板、コンクリートネジ3本が付属します。販売元は株式会社インターロジテックです。
気をつけたいのが適用畳数で、約〜6畳とされています。今回の4台では最も狭い部屋向けで、たとえばオーム電機のモデルが12畳までとされているのと比べると、想定されている空間の広さがかなり違います。ワンルームや寝室、書斎のような区切られた部屋で使う前提なら噛み合いますが、リビング全体を回すつもりだと物足りなくなるかもしれません。
惜しいと感じた点も、隠さずに書きます
ここまで良いところを並べてきましたので、引っかかった部分も並べます。買ってから気づくより、いま知っておくほうが後味がよいはずです。
オーム電機のモデルは、価格の安さと引き換えに風量が3段階と少なめでした。石膏ボードへの対応可否や耐荷重の記載もなく、賃貸で使うなら原状回復の可否を事前に確認しておくべき一台になります。首振りの記載がない点も、用途によっては効いてきます。
山善のモデルは取付ネジが4本で、壁に開ける穴の数が今回いちばん多くなりました。壁の材質についての説明もないため、下地の確認は自分でやることになります。重量2.0kgという数字も、固定を軽く考えてよい重さではありません。
真空吸着式ウォールファンは、販売元が分からないという一点がやはり重い課題です。加えて設置面が「平らで滑らか」に限られ、本体重量も羽根径も耐荷重も公開されていません。電源方式もほかの3台と違いますから、常時つけっぱなしにしたい人には向かない場面が出てきます。
インターロジテックのモデルは、付属ネジがコンクリートネジという点が引っかかりました。木造や石膏ボードの壁での固定については説明がないため、賃貸の一般的な内壁に付ける場合は別途の対応を考える必要があります。上下の首振りが手動である点と、適用畳数が約〜6畳にとどまる点も、選ぶ前に飲み込んでおきたいところです。
冬は、天井にたまった暖気を下ろす道具になります
サーキュレーターが本当に効くのは、じつは冬かもしれません。暖かい空気は軽いので天井付近へ上がり、床は冷えたままという分離が起きます。頭がぼうっとするのに足先は冷たい、あの状態です。
このとき壁掛けのサーキュレーターを天井へ向けて回すと、上にたまった空気が壁を伝って下りてきます。部屋の温度差がならされて、体感がかなり変わります。壁掛けは床置きより高い位置から風を出せるぶん、天井付近の空気に届きやすいという地の利があるわけです。
電気代についてはひとつだけ断っておきます。暖房の設定温度を下げられる場面はありますが、サーキュレーター自体も電気を使いますから、必ず安くなると言い切ることはできません。効くのは体感の均一さのほうだと考えておくと、期待とずれません。
暖房そのものを見直したい方はセラミックヒーターのおすすめ3台を、足元だけ暖める方向なら一人暮らしのこたつを合わせて見てみてください。梅雨や冬場の部屋干しに風を当てたいなら、ハイブリッド式の衣類乾燥除湿機のほうが目的に近い場合もあります。
住まいの条件から、どれを選ぶか
最後に、住まいの条件から選び方を整理しておきましょう。
壁に穴を開けられるなら、選択肢は一気に広がります。予算を抑えて試したいならオーム電機 FF-SQ850RY、風の調整と首振りを重視するなら山善 YWRX-BMD18E、掃除の手間を減らしたいなら羽根なしのインターロジテック。適用畳数の記載がある2台で比べると、広めの部屋にはオーム電機、6畳前後の個室にはインターロジテックという当てはめになります。
壁に穴を開けられないなら、今回の候補では真空吸着式ウォールファンの一択でした。ただし販売元が確認できない点と、壁面の条件がある点は、選ぶ前に必ず飲み込んでおいてください。壁紙に凹凸があるお宅では、そもそも設置できない可能性があります。
そして4台のどれを選ぶにしても、注文ボタンを押す前に一度だけ壁を確かめてみてください。軽く叩いて音の変わる場所を探し、壁紙の手ざわりも見ておきましょう。この2つを済ませておくだけで、届いた箱の前で立ち尽くす時間がなくなります。
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