万年筆選びでいちばん多い失敗は、いきなり高いものを買って、机の引き出しで乾かせてしまうことだと思います。逆に安すぎるものから入って「こんなものか」と離れてしまう人も見かけます。どちらも、自分がいまどの価格帯の買い物をしているのかをはっきりさせないまま選んだことが原因です。
そこでこの記事では、7本を2,000円から33,000円まで価格帯で三つに区切りました。2,000円台から3,500円にはラミー サファリ・パイロット プレラ・カヴェコ クラシックスポーツが並びます。6,000円台から1万円台がプラチナ プロシオンとペリカン クラシックM200です。2万円台から3万円台には、14金ペン先のパイロット カスタム74とセーラー プロフィットスタンダードが入ります。
万年筆は、ボールペンと違って「買ったあとに気づく」項目が多い道具です。ペン先がスチールなのか金なのか、インクはカートリッジなのか吸入式なのか、コンバーターが付いてくるのか別売なのか。ここを知らずに買うと、届いた日にインクを入れられないという事態も起こります。
ですから各製品では、ペン先の素材・インクの供給方式・軸の素材・重さの四つを必ず書きました。字幅はすべてF(細字)でそろえてあります。ここから、価格の低い順にたどっていきます。
このブログを書いている人
30代前半メンズ、都内在住。「大手製薬企業 → 大手EC企業 → 大手メーカー企業」と、ライフスタイルに合わせて転職をしながら現在3社目で日々奮闘中。ファッションや美容といった身だしなみのことから、生活を豊かにするガジェット類、インテリアや雑貨まで、実際に使ってよかったものだけを書いています。
私は極度の脂性肌×敏感肌で、スキンケアは市販薬からデパコス、20以上の美容医療やイソトレチノイン治療まで一通り試してきました。
大好きな香水は500本以上、洋服には累計2,000万円ほどを使用(使いすぎ…)
これまで身を削って試してきた実体験を皆様にお伝えします!
万年筆は価格帯で切ると、選ぶのがぐっと楽になります
万年筆は候補が多すぎて、比較表を作りはじめた時点で心が折れるジャンルです。最初にやるべきなのは、予算の帯を決めてしまうことです。帯が決まれば、そのなかで見るべき項目は数個に絞られます。
| 価格帯 | この記事の該当機 | ペン先の素材 |
|---|---|---|
| 2千円〜3千円台 | ラミー サファリ・パイロット プレラ・カヴェコ クラシックスポーツ | スチールまたはステンレス系 |
| 6千円台〜1万円台 | プラチナ プロシオン・ペリカン クラシックM200 | ステンレス(M200は24金プレート仕上げ) |
| 2万円台〜3万円台 | パイロット カスタム74・セーラー プロフィットスタンダード | 14金 |
面白いのは、価格が上がるにつれて変わるのがペン先だけではないという点です。軸の素材が樹脂からアルミや高級樹脂へ移り、インクの入れ方も選択肢が増えます。この三つが同時に動くので、価格帯で切るという方法が驚くほどよく効きます。
買う前に押さえておきたい四つの項目
ペン先はスチールか金かで、値段がはっきり分かれます
万年筆の価格を決めているのは、まずペン先です。今回の7本でいうと、ラミー サファリとカヴェコ クラシックスポーツがスチール、パイロット プレラは特殊ペン先のステンレスメッキ仕上げ、プラチナ プロシオンはステンレスです。ペリカン クラシックM200はステンレススチールに24金プレートを施したもので、パイロット カスタム74が14K 5号、セーラー プロフィットスタンダードが14金という並びになります。
金のペン先が高いのは、金がやわらかく、加工と調整に手間がかかるからです。スチールのペン先は硬めで、しっかりした線を引きやすい性格。どちらが上ということではなく、性格が違うと考えるほうが選びやすくなります。
インクの入れ方は三通りあります
ここが万年筆でいちばんつまずきやすいところです。カートリッジを差し込むだけの方式、コンバーターという吸入器をつけてボトルインクを吸う方式、そして軸そのものがインクタンクになっている吸入式の三つです。どれに対応しているかは製品によって違います。
| 製品 | インクの入れ方 | コンバーターの扱い |
|---|---|---|
| ラミー サファリ | カートリッジ・コンバーター両用式 | 付属の記載なし |
| パイロット プレラ 色彩逢い | カートリッジ・コンバーター両用 | CON-40が本体にセット済み |
| カヴェコ クラシックスポーツ | カートリッジ・コンバーター両用式 | 付属品の記載は純正ボックスのみ |
| プラチナ プロシオン | カートリッジ式(コンバーターも使用可) | 付属の記載なし |
| ペリカン クラシックM200 | 吸入式(ピストンフィラー) | コンバーターは不要。ボトルインクが必要 |
| パイロット カスタム74 | コンバーター・カートリッジ両用 | CON-40/CON-70に対応 |
| セーラー プロフィットスタンダード | カートリッジ/コンバーター両用式 | コンバーターは別売。カートリッジインク2本が付属 |
この表で見てほしいのは、コンバーターが最初から付いてくるとは限らないという一点です。パイロット プレラはCON-40が本体にセット済みと明記されている一方、セーラー プロフィットスタンダードは別売とはっきり書かれています。ボトルインクを使う予定がある人は、本体と一緒にコンバーターも注文しておいてください。
軸の素材で、手に触れたときの印象が変わります
樹脂とアルミでは、持ったときの温度も重さもまるで違うのです。今回の7本では、ラミー サファリがASA樹脂、カヴェコ クラシックスポーツがABS樹脂、パイロット プレラは軸・キャップともに樹脂、パイロット カスタム74は軸さやが樹脂と記載されています。セーラー プロフィットスタンダードはPMMA樹脂の黒軸に、金属部をゴールドIP仕上げとしたものになります。
異色なのがプラチナ プロシオンで、ボディがアルミニウム(マット塗装)、グリップがAS樹脂という構成です。金属軸ならではのひんやりした感触と発色は、樹脂軸の3本とは別物になります。ペリカン クラシックM200については、販売ページに軸素材の記載がありませんでした。気になる人はメーカーの表記を確認してから決めるほうが安心できます。
重さは11gから23.3gまで、倍以上の開きがあります
万年筆は筆圧をかけずに、ペンの重さで書く道具です。だから重量は書き心地に直結します。今回でいちばん軽いのが11gのカヴェコ クラシックスポーツ、いちばん重いのが23.3gのプラチナ プロシオンです。倍以上の差があるので、同じ「万年筆」でも手に持った感覚はかなり違ってきます。
中間はラミー サファリが約15g、パイロット プレラが15.4g、ペリカン クラシックM200が約14g、セーラー プロフィットスタンダードが約16gという並びです。パイロット カスタム74については重量の記載がページになく、ここは現物で確かめるしかありません。長時間書く人ほど軽いほうが疲れにくく、短いメモが中心なら重さがあるほうが安定します。

2,000円台から3,500円:はじめの1本はこの帯から
ラミー サファリ 万年筆(2,000円前後)
7本のなかでもっとも安く、万年筆の入口としていちばん気軽に手が出るのがラミー サファリです。ペン先はスチール、方式はカートリッジ・コンバーター両用式、素材は本体ASA樹脂、質量は約15gです。サイズは約140mm、筆記時165mm、胴軸はΦ12mmで、生産国はドイツと記載されています。
グリップ部分が三角形に削られていて、指の当たる位置が自然に決まる形です。万年筆はペンの角度が書き味を左右するので、はじめての人ほどこの設計に助けられます。2,000円という金額なら、合わなかったときのダメージも小さく済みます。
弱点は箱です。この出品は箱ナシで、メーカー標準でも箱は付属しない仕様と記載されています。自分で使うぶんには何も困りませんが、贈答用には向きません。プレゼント目的の人は、この先で紹介する箱付きのモデルを見てください。
パイロット プレラ 色彩逢い 万年筆(2,926円前後)
国産メーカーの安心感から入りたい人には、パイロットのプレラが向いています。ペン先は特殊ペン先のステンレスメッキ仕上げ、軸・キャップは樹脂、重さは15.4g、サイズは長さ120.4mm×軸径13.4mmφです。3,000円を切る価格帯でこの完成度は、素直にありがたいと思います。
この1本の最大の利点は、コンバーターCON-40が本体にセット済みである点です。カートリッジも使えますが、届いたその日にボトルインクを吸わせて書きはじめられます。前の項で書いたとおり、コンバーターが別売や記載なしの製品が多いなかで、これはかなり効いてくる違いです。
惜しいのは、軸とキャップが樹脂のみで、カラー展開が中心という点でしょう。金属パーツの質感を求める人には、上位機のほうが満足度は高いはずです。とはいえ最初の1本としては、この割り切りが正しいと感じます。
カヴェコ クラシックスポーツ 万年筆(3,500円前後)
胸ポケットに入る短軸を探しているなら、カヴェコのクラシックスポーツが答えになります。ペン先はスチール、方式はカートリッジ・コンバーター両用式、素材はABS樹脂、質量は11gで、7本中もっとも軽い1本です。サイズは約105mm、筆記時130mm、Φ13mm、生産国はドイツです。
八角形の軸で机の上を転がらない形になっていて、キャップを尻軸に挿すと筆記時130mmになります。純正ボックスが付属するのもうれしいところで、3,500円という価格ながら贈り物としても成立します。手帳と一緒に持ち歩きたい人には、これ以上ないサイズ感でしょう。
注意点は、その短さゆえにキャップを尻軸へ挿して使う前提である点です。ポストせずに書くと軸が短すぎて安定しません。また付属品の記載は純正ボックスのみで、コンバーターの記載はありませんでした。ボトルインクを使いたい人は、別途用意が必要かどうかを注文前に確認してください。
6,000円台から1万円台:質感とインクの入れ方が変わるゾーン
ここから、樹脂軸ではない選択肢と、カートリッジ以外の方式が出てきます。価格差の理由がはっきり見える帯なので、入門機を一度使ってから戻ってくると、違いがはっきり見えてきます。
プラチナ プロシオン 万年筆(6,550円前後)
樹脂軸に飽きた人、あるいは最初から金属軸を選びたい人に向くのがプラチナ プロシオンです。ペン先はステンレス、方式はカートリッジ式(コンバーターも使用可)、ボディはアルミニウム(マット塗装)でグリップがAS樹脂、重量は23.3gです。サイズは全長139.7mm×最大径14.4mmとなっています。
7本のなかでもっとも重い1本で、その重さの多くはアルミボディから来ています。マット塗装の発色も樹脂とは違う出方をするので、カジュアルに机へ置いておくペンとしての満足感は高いはずです。ここまでの3本とは軸素材が違うぶん、手に取ったときの印象がはっきり変わります。
弱点は字幅の選択肢で、03(細字)と05(中字)の2種類のみとなり、極細や太字は選べません。今回は03の細字を選んでいますが、太い字を書きたい人は別のモデルを検討したほうがよいでしょう。
ペリカン クラシックM200 パステルグリーン(14,080円前後)
インクの入れ方そのものを変えたい人に、はっきりおすすめできるのがペリカンのクラシックM200です。ペン先はステンレススチールに24金プレート、方式は吸入式(ピストンフィラー)、重さは約14g、サイズは126mm(収納時)から149mm(筆記時)、軸径13mmφです。付属品はケース・保証書・取扱説明書と記載されています。
吸入式は、軸そのものがインクタンクになる仕組みです。コンバーターより容量が大きく、インクを補充する回数が減ります。ボトルインクの色を好きに選べるので、万年筆の楽しさが一気に広がるのもこの方式。今回はパステルグリーンという特別生産色で、字幅はEF・F・M・Bから選べます。
裏返せば、ボトルインクがないと運用できません。カートリッジだけで済ませたい人には向かない1本です。外出先でインク切れになったときに差し替えが効かない点も、先に知っておいてください。なお販売ページに軸素材の記載がないので、そこを重視する人は事前に確認してください。

2万円台から3万円台:14金ペン先の一生もの
金ペン先は、ここまでのスチールやステンレスとは別の道具だと考えたほうが分かりやすくなります。価格は跳ね上がりますが、長く使う前提なら1年あたりの金額はむしろ小さいとも言えます。仕事の道具をひととおり整えたい人は、買ってよかったメンズアイテム大全もあわせて見てみてください。
パイロット カスタム74 万年筆(21,450円前後)
国産の14金ペン先をはじめて試すなら、パイロット カスタム74が定番の入口です。ペン先は14K 5号、方式はコンバーター(CON-40/CON-70)・カートリッジ両用、軸さやは樹脂、サイズは最大径14.7mm×全長143mmです。字幅はEF・F・M・Bから選べます。
同じパイロットのプレラがスチール系ペン先の3,000円弱ですから、この2本を並べると金ペン先への価格差がそのまま見える構成になります。プレラから入って物足りなくなったときの次の1本として、これほど分かりやすい選択肢はそう多くありません。CON-70にも対応しているので、インク容量を増やしたい人にも応えてくれます。
引っかかるのは、重量の記載がページにないことです。軽量級のプレラやサファリと比べて重心がどう出るかは、現物で確かめるしかありません。文具店で手に取れる機会があるなら、一度持ってから注文するほうが納得できると思います。
セーラー万年筆 プロフィットスタンダード ブラック(33,000円前後)
7本のなかでもっとも高く、国産老舗メーカーの14金ペン先を積んだのがセーラーのプロフィットスタンダードです。ペン先は14金、方式はカートリッジ/コンバーター両用式(コンバーター別売)でキャップ式、軸はPMMA樹脂の黒に金属部をゴールドIP仕上げ、重さは約16gです。サイズは134mm(収納時)から147mm(筆記時)、最大軸径12mmと記載されています。
黒軸に金の装飾という、万年筆と聞いて多くの人が思い浮かべる姿そのもの。字幅はEF・F・MF・M・Bの5種類から選べ、なかでもMFという中間の字幅を持つのはセーラーらしいところです。付属品は化粧箱とカートリッジインク(ブラック)2本で、贈り物としてもそのまま渡せます。
ただしコンバーターは別売です。届いた日はカートリッジで書けますが、ボトルインクを使う予定なら本体と一緒に注文しておいてください。ここを見落とすと、せっかくのボトルインクを吸わせられないまま数日過ごすことになります。
字幅はすべてFでそろえました
今回の7本は、字幅をF(細字)で統一しています。日本語は漢字の画数が多いので、細めのほうが文字がつぶれにくく、手帳やノートに書くなら扱いやすい選択です。プラチナ プロシオンだけは表記が03(細字)となっていますが、位置づけは同じと考えてください。
同じ型番で他の字幅も選べるモデルがあります。ペリカン クラシックM200とパイロット カスタム74はEF・F・M・Bの4種、セーラー プロフィットスタンダードはMFを加えた5種、ラミー サファリとカヴェコ クラシックスポーツはEFとFから選べます。一方でプラチナ プロシオンは03と05の2種のみで、ここだけ選択肢が狭くなっている点に注意してください。
宛名書きや署名のように大きめの字を書く機会が多い人は、MやBといった太めの字幅も検討してみてください。逆に手帳の小さな枠に書き込む人なら、EFという選択もあります。
買ってから引っかかりやすいところをまとめます
良い点だけ並べても選べませんので、購入後に「聞いていない」となりやすい部分を整理しておきます。
いちばん多いのがコンバーターの用意漏れです。セーラー プロフィットスタンダードは別売と明記されていますし、ラミー サファリとプラチナ プロシオンは付属の記載がありません。カヴェコ クラシックスポーツも付属品の記載は純正ボックスのみでした。ボトルインクで使うつもりなら、本体と同時にコンバーターを頼むのが確実です。
次に箱の有無。贈り物にするなら、ここは事前に確認したい項目です。ラミー サファリは箱ナシが標準仕様、カヴェコ クラシックスポーツは純正ボックス付き、ペリカン クラシックM200はケース付き、セーラー プロフィットスタンダードは化粧箱付きと記載されています。金額が高ければ箱が付くとは限らないので、思い込みで注文しないでください。
そして記載がそろっていない項目があるという点も知っておいてください。パイロット カスタム74は重量、ペリカン クラシックM200は軸素材の記載がページにありませんでした。数字がすべて分かっている前提で比較すると、途中で行き止まりになります。
本体と一緒に用意しておきたいもの
- コンバーター(別売・記載なしの機種を選んだ場合)
- ボトルインクまたは予備のカートリッジ
- ペンケース(金属クリップ同士の擦れを防ぐため)
- 拭き取り用の柔らかい布
万年筆は、しばらく使わないとインクが乾いて書き出しが渋くなる道具です。週に一度は書く習慣がある人のほうが、結果的に長く付き合えます。デスクまわりの道具立てを一度に見直したい人は、メンズガジェット 完全ガイドも参考になるはずです。
価格順に、7本をもう一度並べます
2,000円のラミー サファリ、2,926円のパイロット プレラ、3,500円のカヴェコ クラシックスポーツ、6,550円のプラチナ プロシオン、14,080円のペリカン クラシックM200、21,450円のパイロット カスタム74、そして33,000円のセーラー プロフィットスタンダードという並びです。この順番が、そのまま「何が変わるか」の順番にもなっています。
はじめての1本なら、上の三つのどれかで十分です。軸の質感やインクの入れ方に興味が向いてきたら、中間の二つへ。仕事で毎日使う道具として腰を据えるなら、14金の二つが視野に入ります。いま自分がどの段階にいるかさえ決められれば、迷う時間はほとんどかかりません。
契約書にサインする場面や、名刺を出したあとの一筆に万年筆が加わると、手元の印象は変わってきます。名刺入れやバッグとあわせて整えたい人は、下の記事も見てみてください。
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