先に1つ断っておくと、ニキビ目的で男性ホルモンを下げる薬のほうは、日本皮膚科学会のガイドラインで推奨度C2、推奨されない側に置かれています。保険も効きません。だから探す先は薬ではなく、皮脂腺という現場で起きていることに手を当てる側。ガイドラインの記述は記事の後半で引きます。
結論から書きます。ニキビと男性ホルモンは、たしかにつながっています。皮脂を作る方向に働くのは、皮脂腺の中で5αリダクターゼI型という酵素がテストステロンから変換したDHT。ホルモンという言葉が指しているのは、皮脂腺という現場で起きている変換のことです。つながりが分かると、男が実際に手を出せる場所が3つに絞れます。
男が実際に動かせる3つ
- 皮脂によるベタつき … 洗顔してから何分でテカり始めるか
- 毛穴の詰まり … 指の腹でなぞって白い芯が触れるか
- カミソリの刺激 … 顎とフェイスラインに毎朝何回刃を往復させているか
僕は洗顔して1時間でテカる脂性肌で、しかも敏感肌。思春期が終わっても顎とフェイスラインのニキビだけが20代を通して終わりませんでした。ホルモンを疑って調べ尽くした末に効いたのは、3つ目のカミソリです。
この記事を書いた人
30代前半メンズ、都内在住。大手製薬企業 → 大手EC企業 → 大手メーカー企業と、現在3社目です。ファッションや美容といった身だしなみのことから、生活を豊かにするガジェット類、インテリアや雑貨まで、実際に使ってよかったものを発信しています。
洗顔して1時間でテカる極度の脂性肌です。学生時代から肌荒れと戦い続けていて、脂性肌向けとうたわれる化粧水はドラッグストアの棚にあるものからデパコスまで、ほぼ全部試してきました。アゼライン酸・レチノール・ビタミンC・ナイアシンアミドといった成分ものも、セラミド系の敏感肌向けも同様です。
スキンケアだけでは足りず、イソトレチノインや、アドバテックスレーザー・ポテンツァ・アビクリアといった美容医療にも一通り手を出しています。そのうえで「結局これは要る/要らない」を自分の肌で判断してきました。
皮脂を増やしているのは、皮脂腺の中で作られるDHT

5αリダクターゼI型は、皮脂腺の中にある
テストステロンは、5αリダクターゼという酵素によってDHT(ジヒドロテストステロン)へ変換されます。この酵素にはI型とII型があり、皮脂腺に分布しているのはI型のほう。皮脂腺の中でDHTが作られ、皮脂を作る細胞に働きかける、という順序になっています。
この順序を知ると、「自分はホルモンが多い体質だから」という言い方が、話を一段飛ばしているのが見えてくるでしょう。効いてくるのは、皮脂腺という現場でどれだけ変換が進んでいるか。血中のホルモン量とニキビの重さがどう対応するかは、僕が探した範囲では確かな資料が見つかりませんでした。
思春期が終わっても、変換は止まらない
「大人になれば自然に落ち着く」とよく言われます。ただ、皮脂腺の中でのDHT変換は、20歳になったら止まるという性質のものではない。20代後半でも30代でも、皮脂腺は同じ仕事を続けています。
僕は26歳まで「そのうち落ち着く」を信じて待ちました。結果は変わらず、待った年数だけニキビ跡が増えた。待つのが一番コストの高い選択肢だった、というのがいま振り返っての感想です。
額から始まって、顎とフェイスラインに残る
皮脂腺の密度は顔の中で一様ではなく、額・鼻・口の周りから顎にかけて多く集まっています。思春期に額と鼻から始まったニキビが、20代では顎とフェイスラインだけに残る。この経過をたどる男は、僕の周りにもかなりいます。ただし場所そのものから原因を切り分ける話は主題ではないので、そちらはニキビの場所で原因が分かる記事に分けました。
ヒゲが濃い人は、ニキビの出る場所に毎日刃を当てている
髭の毛乳頭は、後頭部の約3倍
培養した毛乳頭細胞で5α-reductase活性を測った国内の研究があります(高安進「培養毛乳頭細胞の5α-reductase活性」順天堂医学 37巻4号 566〜571ページ、1992年)。そこでは髭の毛乳頭細胞が、周辺の線維芽細胞や後頭部の毛乳頭細胞より約3倍高い活性を示したと報告されています。
ヒゲが生えている面は、顔の中でもDHTへの変換が活発な場所。そしてその面は顎とフェイスライン、つまり大人のニキビが最後まで残る場所と重なります。
ここで一本、線を引いておきたい。ヒゲの濃さとニキビの重症度を結びつけた日本人男性のデータは、僕が探した範囲では見つかりませんでした。言えるのは、活性の高い場所と刃が当たる場所が重なっている、というところまで。ただ、その面を毎朝こすっている自覚があるなら、試す価値のある切り口でしょう。
僕がやっていた剃り方の失敗
ニキビを長引かせていたヒゲ剃り3つ
- 逆剃りで往復する … 顎の下を下から上へ2〜3回なぞる
- 何も塗らずに剃る … 水だけで当てて、乾いた面に刃を通す
- ニキビの上をそのまま通す … 引っかかって出血し、翌日かさぶたになる
ニキビが引き切る前に毎朝そこへ刃を通していれば、引く速度より壊す速度のほうが速い。塗り薬を替えるより、刃の当て方を変えるほうが効きました。これは僕の体感の話であって、製品の効能の話ではありません。
具体的に変えたのは3点。ニキビがある面では逆剃りをやめる、往復は1回まで、刃は2週間で替える。道具を買い足す前に、この3つはタダで試せます。深剃りを諦めて電気シェーバーに替える手もありますが、刃が当たる面に何も塗らないまま剃る、という状態だけはどちらでも避けてください。
動かせるのは、ベタつき・詰まり・カミソリの刺激

ここから3つ挙げます。先に断っておくと、どれも男性ホルモンを下げるものではありません。ホルモンの先で起きていることに、それぞれ別の角度から当てるもの。
朝と夜の土台に:キュレル 皮脂トラブルケア 化粧水 150mL
花王キュレルの医薬部外品です。有効成分はアラントイン(消炎剤)で、公式の効能表記は「にきび・肌荒れを防ぎます」。シリーズページには「皮脂による肌荒れを防ぐ」という書き方もあります。
皮脂そのものについて公式が書いているのは「過剰な皮脂によるベタつきを抑制する成分(基剤)配合」というところまで。皮脂の分泌を止める製品ではありません。ベタつきの手触りに効く基剤が入っている、という理解が正確でしょう。
使い方も公式の記載どおりに書きます。「朝晩の洗顔後の肌にお使いください。適量(ポンプ3〜4押し分)をとり、顔全体にやさしくなじませます。」弱酸性・無香料・無着色・アルコールフリー、アレルギーテスト済み、乾燥性敏感肌の方の協力によるパッチテスト済み、ノンコメドジェニックテスト済み。150mLで2,090円前後。
ここからは僕の体感なので、効能の話とは分けて読んでください。まず、しみない。敏感肌でニキビがある時期に、化粧水がしみるかどうかは続くかどうかを直接決めます。化粧水そのものの比較は脂性肌のメンズ化粧水の記事に置いてあります。
毎朝の刃に:サクセス 薬用シェービングジェル スキンケアタイプ 180g
先に言い切っておきます。これはニキビの薬ではありません。花王サクセスの医薬部外品で、承認されている効能・効果は「カミソリ負けを防ぐ。皮膚を保護し、ヒゲを剃りやすくする。」この2文だけです。ニキビに対する効能はうたわれていません。
それでもこの記事に置くのは、顎とフェイスラインに毎朝刃を当てているという条件のほうを変えたいから。花王公式の商品ページに有効成分として明示されているのはグリチルリチン酸2Kで、内容量は180g、販売名はサクセス薬用シェービングジェルS。
使い方は公式のSTEP1どおり「シェービングジェルをスプーン1杯(3〜4g)程度手に取って、まんべんなく塗り広げてください」。泡タイプと違って透明なので、剃っている面がそのまま見えます。ただし公式の使用上の注意は「傷、はれもの、湿疹等異常のあるところ、目のまわりには使用しない。」なので、赤く腫れているものの上は塗らずに避け、その周りだけを剃ってください。スキンケアタイプは保湿成分配合のノンメントールで、カサつく肌向けとされています。180gで518円前後。
サクセス 薬用シェービングジェル スキンケアタイプ 180g
参考価格 518円前後
花王の医薬部外品。抗炎症のグリチルリチン酸2Kを剃る工程に。透明ジェルで剃る場所が見える。
今できている赤いものに:ペアアクネクリームW 24g
ライオンの第2類医薬品。効能・効果は「吹き出物、ニキビ」です。有効成分はイブプロフェンピコノール(IPPN)3.0%とイソプロピルメチルフェノール(IPMP)0.3%。
公式の説明は成分ごとに分かれていて、「イブプロフェンピコノールが炎症を鎮める」「イソプロピルメチルフェノールが症状を悪化させるアクネ菌を殺菌」という2つ。製品全体としては、アクネ菌によるコメド(白ニキビ)の生成を抑える、という位置づけで説明されています。
用法は「1日数回、石けんで洗顔後、適量を患部に塗布します」。そして公式には「本剤は、吹き出物・ニキビのある部位にのみ使用し、周辺の広い部分には使用しないでください。」と続きます。予防のために顔全体へ塗り広げるものではない、ということ。24gで778円前後。
3つを並べます。狙っている場所が全部違うので、同時に始める必要はありません。
| 製品と区分 | どこに当てるか | 容量/参考価格 |
|---|---|---|
| キュレル 皮脂トラブルケア 化粧水医薬部外品/有効成分アラントイン | 朝晩の洗顔後に顔全体。にきび・肌荒れを防ぐ | 150mL/2,090円 |
| サクセス 薬用シェービングジェル スキンケアタイプ医薬部外品/有効成分グリチルリチン酸2K | 剃る前のヒゲの面。カミソリ負けを防ぐ | 180g/518円 |
| ペアアクネクリームW第2類医薬品/IPPN 3.0%・IPMP 0.3% | 今できている患部にだけ。効能は吹き出物、ニキビ | 24g/778円 |
1つに絞るなら、どれから買うか
顎とフェイスラインに毎朝刃を当てている自覚があるなら、シェービングジェルから始めてください(腫れているものの上は避けて塗ります)。洗顔して1時間でテカり、肌荒れが常時あるなら化粧水から。今まさに赤くて痛いものがあるなら、ペアアクネが先です。
僕の順番はジェル、化粧水、薬でした。一番安いものが一番はっきり変わったのは、正直なところ悔しかった。高いものから試すのは、原因の切り分けとしても順番が良くありません。
抗ホルモン薬は、男性のニキビに推奨されていない
ガイドラインでの位置づけ
尋常性痤瘡・酒皶治療ガイドライン2023には、スピロノラクトンなどのホルモン療法についての項目があります。そこで示されている推奨度はC2。これは、根拠が乏しいので推奨しない、という区分です。
あわせて書かれているのが、本邦では保険適用外であること、他の治療法との比較試験がないこと。そして投与の対象については「主として女性例での投与を考慮する」という書き方。男性のニキビに使うことを前提にした記述ではありません。
国内の試験では、男性が全例脱落している
ガイドラインが参照している国内の試験では、男性の症例が全例脱落しています。理由まで踏み込んだ記述はありませんが、抗アンドロゲン薬が男性の体に及ぼす作用を思えば、続けにくいことは想像がつくでしょう。
つまり現時点で言えるのは、効かないと証明されたということではなく、男性に勧められるだけの根拠がまだ積まれていないという一点。この記事で薬の名前を出すのはここまでにして、飲み方も入手先も書きません。
同じホルモンが、ヒゲを濃くして髪を薄くしている
DHTは部位によって逆の仕事をする
DHTは、皮脂腺では皮脂を作る方向に働きます。一方でヒゲなどの体毛では毛を太く濃くする方向へ、頭頂部の毛では細くする方向へ。同じ物質が、当たる場所によって正反対の結果を出します。ここがこのホルモンのややこしさ。
だから「ニキビの分だけ下げる」という調整弁は用意されていません。全身で下げれば、ヒゲも体毛も、それ以外の男性としての働きも一緒に下がる方向へ向かう。ニキビを止める代償として何を差し出すのか、という話になってしまいます。
薄毛の話と同じ土俵に乗っている
髪の相談でDHTという言葉を見たことがある人は多いはず。ニキビと薄毛は、同じ物質の別の出口です。片方を止めにいけば、もう片方にも手が触れる。僕はこの構造を理解した時点で、ホルモンそのものを触る発想を捨てました。打つ手が無いという意味ではなく、触れる場所がホルモンより下流に移るというだけのこと。
ホルモンのせいにして買うと外すもの
サプリを主役に据えない
「男性ホルモンを整える」という売り方のサプリは、検索すればいくらでも出てきます。ただ、ガイドラインではビタミン薬の内服も推奨度C2。効かないという断定ではなく、主役に据えるだけの根拠がないという位置づけ。
補助として飲むのは自由でしょう。ただ、塗るものと剃り方を変えないまま、飲むものだけ足すのは順番が逆です。インナーケアの話はサプリをまとめた記事に分けてあります。
食べ物を一律に断たない
揚げ物、チョコレート、乳製品。「やめれば良くなる」の定番です。ガイドラインは、特定の食品を一律に制限することも、特定の食事指導も推奨していません(いずれも推奨度C2)。
断って調子が良くなる人はいます。それは自分の体で確かめる話であって、全員に当てはめる話ではない。僕はチョコレートを半年やめて、顎のニキビは一つも減りませんでした。半年ぶんの時間だけが消えています。
洗いすぎに逃げない
皮脂が悪者に見えてくると、洗う回数が増えます。ガイドラインが推奨しているのは1日2回の洗顔。1日4回洗う群では脱落例が出ている、という記述もある。
「テカるから昼も洗う」を、僕も職場の洗面所でやっていました。行き着いたのは、乾いてつっぱるのに夕方には脂が浮く、という一番厄介な状態。昼はあぶらとり紙で押さえるだけにしておくほうが、まだ安全でしょう。
個人輸入には手を出さない
抗アンドロゲン薬を個人輸入する、という選択肢が検索結果には並びます。ニキビ目的では国内で承認されていない使い方で、ガイドラインも推奨していない。この記事では飲み方も入手先も書きません。
医師の管理下にない状態でホルモンに触るのは、ニキビの代わりに別の問題を引き受けることになりかねない。皮膚科で処方される薬の実際は処方薬を使った記録に書きました。
この3つで届かないところ
限界も書いておきます。ここで挙げた3つは、どれもホルモンの働きそのものを変えるものではない。だから、皮脂腺の変換が活発だという体質の側は、そのまま残ります。
僕の場合、ベタつき・詰まり・剃り方の3つに手を入れてから、顎に出る数は落ち着いた。ただゼロにはなっていません。特に顎の深いところにできる硬いものには、市販の塗り薬だと時間がかかる。硬い段階のものは固いニキビの市販薬の記事のほうが近いはずです。
皮脂そのものに医療の側から当てたらどうなるかは、レーザーを5回受けた記録に残してあります。市販でできる範囲と、その先の線引きを比べる材料にしてください。膿を持ったものが同じ場所に繰り返し出る、硬いしこりが引かない、跡が凹み始めている。このどれかに当てはまるなら、市販品を積み増すより皮膚科のほうが早い。保険で受けられます。
まとめ
男性ホルモンとニキビの関係は、皮脂腺の中で5αリダクターゼI型がDHTを作り、それが皮脂を作る方向に働くというところまでで説明がつきます。ただ、そこを薬で下げる道は、日本の男性のニキビ治療としては推奨されていません(推奨度C2、本邦では保険適用外、主として女性例での投与を考慮する、という記載)。
だから動かすのは下流の3つ。皮脂によるベタつき、毛穴の詰まり、そして毎朝のカミソリの刺激。このうち一番手つかずで、一番安く変えられるのが3つ目でしょう。
朝晩の土台にキュレル 皮脂トラブルケア 化粧水 150mL、毎朝の刃にサクセス 薬用シェービングジェル スキンケアタイプ 180g、今できている患部にペアアクネクリームW 24g。ホルモンを疑って止まっていた時間を、下流の3つに振り替えてください。
※本記事はプロモーションを含みます

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